ラフォーレ原宿が巨大な“遊び場”に。SOAR NY・花原正基が描く「LAFORET THE PLAYGROUND」

Sep 28, 2026
原宿・神宮前交差点に立つラフォーレ原宿。その特徴的な円筒形の外壁を大きく使い、まるで建物そのものが巨大な遊具になったような光景が現れます。

ラフォーレ原宿の2026AW広告ビジュアルを手掛けたのは、ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動するグラフィックデザイナー/ビジュアルアーティスト、SOAR NYの花原正基。ビジュアルのコンセプトは、「LAFORET THE PLAYGROUND」です。

Courtesy of SOAR NY
ブルックリンの公園で撮影されたモノクロームの写真に、鮮やかなピンクやレッド、ブルーのグラフィック。モデルは遊具につかまり、滑り台を滑り、子どものように身体を使って遊んでいます。

そして、そのビジュアルがラフォーレ原宿の外壁に掲出されると、写真の中の遊具の曲線と建物の曲面がつながって見えます。そこには、広告を建築に掲出するというよりも、建築そのものを一つのグラフィックへ取り込んでしまうような発想があります。



ラフォーレ原宿を「PLAYGROUND」と捉える

今回のプロジェクトを考えるにあたり、花原氏が最初に向き合ったのは、「ラフォーレ原宿とはどのような場所なのか」という問いでした。

Courtesy of SOAR NY

ロリータからストリート、ハイファッションまで、カテゴリーにとらわれないファッションが共存する。そのあり方を花原氏は、原宿という街にフィットする「ある種のカオス性」と捉えています。

「ラフォーレ原宿は、自分らしい表現を探しに来る場所だと思っています」

そこから生まれたのが、「LAFORET THE PLAYGROUND」というコンセプトでした。

プレイグラウンドは、子どものように何かに夢中になれる場所であり、誰に対しても開かれている場所。そして今回、こなれたファッションをまとった大人が、本気で子どもの遊び場ではしゃぐ。そのギャップまで含めて「ラフォーレらしいファッション表現」になるのではないかと花原氏は考えました。

Courtesy of SOAR NY

ファッションを、完成されたスタイルとして見せるのではなく、自分自身で楽しみ、遊び、表現するものとして捉える。ラフォーレ原宿を「自分の表現を探しに来る場所。夢中になれる場所。」と捉える今回のコンセプトが、ここでは「PLAYGROUND」という誰もが直感的に理解できる風景へと置き換えられています。



原宿のためのビジュアルを、ブルックリンで撮る

興味深いのは、ラフォーレ原宿のためにつくられたこのビジュアルが、東京ではなくニューヨークで撮影されていることです。舞台となったのは、ブルックリンにある実際の公園。花原氏は当初から、スタジオに遊具を再現するのではなく、本物の公園で撮影することを考えていました。

「スタジオでセットを組むと、表情も身体の動きも、リアリティがなくなってしまうのではないかと思ったからです」

実際の遊具につかまり、登り、滑る。モデルの身体が遊具と接触することで生まれる動きそのものが、ビジュアルを構成する要素になっています。

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もう一つ、ブルックリンで撮影する意味となったのが、ニューヨークの公園にある遊具の色や形です。日本と比べてカラフルで、造形もユニーク。さまざまな要素が混ざり合いながら独自のカルチャーを形成してきた原宿に、ニューヨークの要素を重ねることで、花原氏は「さらにカオスで原宿らしい景色」をつくろうとしました。

東京の原宿を、そのまま東京で表現するのではなく、一度ニューヨークを経由して捉え直す。その距離が、見慣れたラフォーレ原宿の風景に別のリズムを持ち込んでいます。



円筒形の建築を、巨大な遊具に変える

「LAFORET THE PLAYGROUND」というアイデアを、最も端的に表しているのが外壁のビルボードです。ラフォーレ原宿の建物を特徴づける円筒形のファサード。その曲面に沿って掲出される広告は、一般的な平面のビルボードとは条件が大きく異なります。

花原氏は制作中、その特殊な形状に次第に興味を持つようになったといいます。

「このフラットに掲出されない状況を、逆に利用できないかと思いました」

そこで考えたのが、公園にある「うんてい」と建築をつなぐことでした。

Courtesy of SOAR NY

ブルックリンで撮影した写真の中で、モデルがつかまっているうんてい。そのラインをラフォーレ原宿の円筒形の建築に沿わせる。すると、建物そのものが巨大な遊具へと姿を変え、モデルが原宿の街の上空で遊んでいるかのような風景が立ち上がります。

Courtesy of SOAR NY

実際の掲出を想定したビジュアルでは、建物の曲面と遊具のカーブ、モデルの身体が一続きの構図として設計されています。ここでは建築は、広告を載せるための背景ではありません。ラフォーレ原宿という建築そのものが、「LAFORET THE PLAYGROUND」を成立させる一つの素材になっています。




パソコンの画面ではなく、原宿の交差点から考える

もう一つ、このビジュアルを特徴づけるのが「どこから見られるのか」という視点です。

Courtesy of SOAR NY

ラフォーレ原宿は、明治通りと表参道が交わる神宮前交差点に位置します。街を歩く人、信号を待つ人、観光で原宿を訪れた人。異なる世代や国籍の人々の視界に、外壁のビジュアルは自然に入ってきます。だからこそ花原氏が意識したのは、説明を読まなければ理解できるデザインではなく、見た瞬間に身体感覚として伝わることでした。

「世代も国籍も多種多様な人が通る場所なので、説明的ではなく直感的に伝わるものが必要だと考えました」

さらに重要なのが、視線の角度です。外壁広告は、制作中のパソコン画面のように真正面から見られるものではありません。歩行者は、地上から大きく見上げることになります。その違いを確認するため、花原氏は縮小したビジュアルをプリントし、実際に手で持ち上げて下から見上げる作業を繰り返したといいます。

「それを何度も何度も繰り返しながら、遊具と建物がシンクロするアングルを探しました」

グラフィックを画面の中だけで完成させるのではなく、原宿を歩く人の視点まで制作工程へ取り込んでいく。街に置かれたとき、初めて完成するグラフィックです。



ニューヨークから見えた、ラフォーレ原宿という存在

現在ニューヨークを拠点とする花原氏にとって、ラフォーレ原宿はかつて東京で暮らしていた頃には「日常の風景の一部」だったといいます。しかし、東京から離れたことで、その存在は違って見えるようになりました。

「一つの建物が何十年も若い世代の受け皿であり続けているというのは、あまり例のないことだと思います」

花原氏は、ニューヨーカーにとっても原宿は、日本のアイコニックな若者ファッションが生まれる場所として認識されているのではないかと感じています。その中でも、ラフォーレ原宿は中心的な役割を担ってきた場所だと捉えています。東京にいると当たり前に見えていた風景を、遠く離れたニューヨークからもう一度見る。

Courtesy of SOAR NY

今回のプロジェクトには、ブルックリンの公園と原宿をつなぐだけでなく、花原氏自身が東京との距離を経て見つけた、ラフォーレ原宿への新しい視点も重なっています。



憧れていた場所に、自分のグラフィックを重ねる

花原氏にとってラフォーレ原宿は、クリエイターとしてキャリアが浅かった頃から憧れてきた場所でもあります。


Courtesy of SOAR NY

これまで多くのクリエイターが広告表現を手掛け、その蓄積もまた、ラフォーレ原宿のイメージを形づくってきました。その歴史の上に、自身のビジュアルが加わることについて、花原氏は「喜びと緊張感の両方がある」と話します。そして今回、目指したのは「とにかくエネルギーに溢れるもの」。

「原宿を歩く人が見上げたときに、ファッションをもっと自由に楽しんでいけるような前向きな気持ちになるといいなと思っています」

ニューヨーク・ブルックリンの公園で遊ぶ身体が、グラフィックとなり、東京へ運ばれ、ラフォーレ原宿の円筒形の建築と重なる。そこで生まれるのは、ニューヨークの公園でも、東京の建築でもない、新しい「PLAYGROUND」です。

街と建築、ファッションとグラフィック。そして、そこを行き交う人の視線までを一つの表現へ取り込む。「LAFORET THE PLAYGROUND」は、ラフォーレ原宿という建物そのものを使って、原宿の街に新しい遊び場をつくる試みです。





【INFORMATION】
LAFORET THE PLAYGROUND
-ラフォーレ原宿 2026AW 広告ビジュアル-
掲出期間: 2026年8月〜2027年2月(期間中、不定期・複数回にわたり掲出)
掲出場所: ラフォーレ原宿 外壁ビルボードほか館内外
主催: 株式会社ラフォーレ原宿

Art Direction: Masaki Hanahara (SOAR NY)
Design: Aoi Sejima (SOAR NY)
Motion Graphics: Takayuki Yoshida (SOAR NY)
Photograph/Movie: Kosuke Matsuo
Makeup: Aimi Osada
Hair: Rei Kawauchi
Styling: Taylor Kim




The Editorial Team
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