東京駅八重洲口の目の前に、新たな街の風景が生まれます。大規模複合再開発「TOFROM YAESU(トフロム ヤエス)」の中核となる「TOFROM YAESU TOWER」が、2026年9月10日に開業します。地上51階、地下4階、高さ約250m。オフィスや商業施設、劇場・カンファレンス、バスターミナル、医療施設などを備える巨大な複合施設です。
photo by ©FASHION HEADLINE
東京駅前の新たなランドマーク——そう表現すれば、この再開発の規模は伝わります。しかし実際に建物を歩いてみると、むしろ印象に残るのは、その大きさとは対照的な「街の細かさ」です。路地があり、店が外を向き、古くからこの街で営まれてきた店が戻ってくる。そして館内には、八重洲に積み重なった時間をたどるアートが点在する。TOFROM YAESUが目指したのは、新しい街をゼロからつくることではなく、八重洲にあったものを読み解き、現在の都市へとつなぎ直すことでした。
TOFROM YAESUが建つ八重洲一丁目は、再開発以前、小規模な建物や飲食店などが密集し、人ひとりが通れるような細い路地も残る街でした。事業に約250名もの権利者が関わり、地域の再生におよそ四半世紀をかけてきたこととのこと。施設が掲げるコンセプトは「人・時・場をつなぐ」。名称の「TOFROM」も、「TO YAESU(八重洲へ)」と「FROM YAESU(八重洲から)」を組み合わせた言葉です。
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その思想がわかりやすく表れているのが、低層部の建築です。八重洲では古くから、規模も業種も異なる店舗が路面に顔を出し、その連なりによって独特の「界隈性」が生まれてきました。そこでTOFROM YAESUでは、一般的な大型商業施設のように人を建物内部へ誘導して館内を回遊させるのではなく、多くの店舗を街に向けて配置。外壁には凹凸や隙間をつくり、小さな建物が積み重なったように見せる「箱積み」のデザインを採用しました。
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さらに2階にも、街から直接アクセスできる階段やエスカレーターを設置。店舗ごとの外観デザインにもある程度の自由を与え、それぞれの店が異なる“顔”を街へ見せられる構成としています。つまり、高層ビルの低層部をひとつの巨大な商業施設としてまとめるのではなく、小さな店が連なっていた八重洲の街並みを、建築のスケールや動線によって再解釈しているのです。
もうひとつ特徴的なのが、建物を“通り抜けられる”ことです。施設内には、八重洲通り、八重洲仲通り、外堀通り、さくら通りという周辺の4つの主要道路を結ぶ3本の通路が整備されています。巨大な建物によって街の流れを分断するのではなく、その内部に歩行者の動線を通し、東京駅から八重洲、日本橋、京橋へと人の流れをつなげていきます。
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その中心となる約1,200平方メートルの「檜物町スクエア」の名前は、再開発エリアにかつて存在した旧町名「檜物町」に由来します。檜を用いた家具が置かれ、山王祭で地域を巡行する檜物町の神輿も常設展示されます。
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再開発によって街の形は大きく変わる。それでも、通りや町名、祭りといった、その場所を形づくってきた要素を消してしまうのではなく、新しい建築の中に別のかたちで残していく。TOFROM YAESUの設計からは、そんな都市の更新方法が見えてきます。
商業ゾーン「TOFROM YAESU Shop & Restaurant」には、飲食店を中心に計68店舗が集結します。TOFROM YAESU THE FRONTとTOFROM YAESU TOWERの地下階から地上階にかけて、約6,000平方メートルに展開。9月10日時点ではTOWER内の55店舗が開業し、そのほかは2026年冬以降、順次オープンする予定です。
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そのテーマは、「個性がつながり、新しきが生まれる」。流行の店を集めた大型フードゾーンというより、八重洲の路地文化や町人のにぎわいを現代へと再編集することを目指しています。その象徴となるのが、長年この街や周辺地域で味を守ってきた店です。
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創業170年を超える「割烹 嶋村」は、江戸時代末期の1850年代頃に残されたレシピをもとに当時の料理を再現する「幕末会席」を提供。
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1902年創業の「八重洲 日本橋やぶ久」は、初代から伝わる足踏み製法のそばと、本枯節を使った濃い汁を受け継ぐ日本橋の老舗。名物のカレー南蛮そばとともに、新たな八重洲へ店を構えます。
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そして「Mixology salon」を手掛けるのは、ミクソロジストの南雲主于三。2009年に開業した1号店は、まさに今回の再開発区域内にありました。抹茶や玉露など日本茶を使ったティーカクテルを軸に、再び創業の地へ戻ってきます。
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古い店だけを保存するのでも、新しい店だけに入れ替えるのでもない。長く八重洲で営まれてきた味と、これから東京の食文化をつくる店を同じ街並みの中に置くことで、「東京・八重洲 王道 New & Classic」という考え方を表現しています。
さらに注目したいのが、館内各所に展開されるパブリックアートです。「TOFROM YAESU TOWER ART:人魚の街」は、映画監督・岩井俊二が八重洲を舞台に書き下ろしたオリジナルストーリーから始まるプロジェクト。その物語をもとに、8組のアーティストがそれぞれの視点から作品を制作。地下のバスターミナル階から4階まで8つの作品を点在させ、一つの物語によって緩やかにつなげています。
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ここでモチーフとなる「人魚」は、単なるファンタジーとして現れるわけではありません。現在はビルが立ち並ぶ八重洲ですが、この場所にはかつて海や川、江戸城の外堀といった“水辺”の記憶があります。
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TOFROM YAESU THE FRONTの1階に設置される小林博人の《風紋》は、風を受けて揺れるステンレスパネルによって水面のゆらぎを表現。かつて海であり、紅葉川や江戸城外堀を擁していた八重洲の水辺の記憶と、変わり続ける都市の姿を重ねます。
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3階のさくら通りテラスに設置された、加藤智大の《Anonymous-human #68: The Veiled》は、水盤の中央に重なり合う鉄の輪郭によって人魚を表現した彫刻作品です。人魚が時代や地域によって異なる姿で語り継がれてきたことに着想し、特定の像を示すのではなく、見る位置によってその姿が変化する構造に。人と風景、現実と伝承の境界を揺らしながら、一つの存在にさまざまな物語や記憶が重なっていく様子を浮かび上がらせます。
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また、MULTISTANDARDによる《loading》は、都市を支える規格化されたコンクリートブロックを加工・再構成し、腰掛けられるアートファニチャーへと変換。変化を続ける八重洲という都市そのものを、素材の再編集によって読み直します。
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作品を順番に鑑賞していけば、アートを見るという行為そのものが、館内を歩き、八重洲の記憶をたどる体験へと変わっていきます。
東京駅前では今、大規模な再開発が続いています。その中でTOFROM YAESUが示しているのは、高さや延床面積、新しい店舗の数とは少し異なる都市の価値です。
小さな建物が連なっていた風景を「箱積み」という建築へ置き換える。路地のように街から店へ入れる動線をつくる。周囲の道路を建物の中で再びつなぐ。かつての町名や祭りを残す。老舗が新しい建物へ戻り、そこに新しい店が加わる。そして、土地に残された水や人の記憶をアートとして可視化する。
姿は大きく変わっても、街を構成してきたものまで消してしまわない。
「TO YAESU」と「FROM YAESU」。
人やもの、文化が八重洲へやって来て、ここで交わり、また八重洲から外へ向かっていく。その名前に込められた往復運動は、施設のネーミングだけでなく、街と建物、過去と現在をつなごうとする設計そのものにも表れているようです。
photo by ©FASHION HEADLINE東京駅前の新たなランドマーク——そう表現すれば、この再開発の規模は伝わります。しかし実際に建物を歩いてみると、むしろ印象に残るのは、その大きさとは対照的な「街の細かさ」です。路地があり、店が外を向き、古くからこの街で営まれてきた店が戻ってくる。そして館内には、八重洲に積み重なった時間をたどるアートが点在する。TOFROM YAESUが目指したのは、新しい街をゼロからつくることではなく、八重洲にあったものを読み解き、現在の都市へとつなぎ直すことでした。
巨大な建築の中に、八重洲の“路地”を残す
TOFROM YAESUが建つ八重洲一丁目は、再開発以前、小規模な建物や飲食店などが密集し、人ひとりが通れるような細い路地も残る街でした。事業に約250名もの権利者が関わり、地域の再生におよそ四半世紀をかけてきたこととのこと。施設が掲げるコンセプトは「人・時・場をつなぐ」。名称の「TOFROM」も、「TO YAESU(八重洲へ)」と「FROM YAESU(八重洲から)」を組み合わせた言葉です。
photo by ©FASHION HEADLINEその思想がわかりやすく表れているのが、低層部の建築です。八重洲では古くから、規模も業種も異なる店舗が路面に顔を出し、その連なりによって独特の「界隈性」が生まれてきました。そこでTOFROM YAESUでは、一般的な大型商業施設のように人を建物内部へ誘導して館内を回遊させるのではなく、多くの店舗を街に向けて配置。外壁には凹凸や隙間をつくり、小さな建物が積み重なったように見せる「箱積み」のデザインを採用しました。
photo by ©FASHION HEADLINEさらに2階にも、街から直接アクセスできる階段やエスカレーターを設置。店舗ごとの外観デザインにもある程度の自由を与え、それぞれの店が異なる“顔”を街へ見せられる構成としています。つまり、高層ビルの低層部をひとつの巨大な商業施設としてまとめるのではなく、小さな店が連なっていた八重洲の街並みを、建築のスケールや動線によって再解釈しているのです。
建物を通り抜ける。街の流れを閉じない再開発
もうひとつ特徴的なのが、建物を“通り抜けられる”ことです。施設内には、八重洲通り、八重洲仲通り、外堀通り、さくら通りという周辺の4つの主要道路を結ぶ3本の通路が整備されています。巨大な建物によって街の流れを分断するのではなく、その内部に歩行者の動線を通し、東京駅から八重洲、日本橋、京橋へと人の流れをつなげていきます。
photo by ©FASHION HEADLINEその中心となる約1,200平方メートルの「檜物町スクエア」の名前は、再開発エリアにかつて存在した旧町名「檜物町」に由来します。檜を用いた家具が置かれ、山王祭で地域を巡行する檜物町の神輿も常設展示されます。
photo by ©FASHION HEADLINE再開発によって街の形は大きく変わる。それでも、通りや町名、祭りといった、その場所を形づくってきた要素を消してしまうのではなく、新しい建築の中に別のかたちで残していく。TOFROM YAESUの設計からは、そんな都市の更新方法が見えてきます。
68店舗が集う「食の街」。老舗が新しい八重洲へ戻ってくる
商業ゾーン「TOFROM YAESU Shop & Restaurant」には、飲食店を中心に計68店舗が集結します。TOFROM YAESU THE FRONTとTOFROM YAESU TOWERの地下階から地上階にかけて、約6,000平方メートルに展開。9月10日時点ではTOWER内の55店舗が開業し、そのほかは2026年冬以降、順次オープンする予定です。
photo by ©FASHION HEADLINEそのテーマは、「個性がつながり、新しきが生まれる」。流行の店を集めた大型フードゾーンというより、八重洲の路地文化や町人のにぎわいを現代へと再編集することを目指しています。その象徴となるのが、長年この街や周辺地域で味を守ってきた店です。
photo by ©FASHION HEADLINE創業170年を超える「割烹 嶋村」は、江戸時代末期の1850年代頃に残されたレシピをもとに当時の料理を再現する「幕末会席」を提供。
photo by ©FASHION HEADLINE1902年創業の「八重洲 日本橋やぶ久」は、初代から伝わる足踏み製法のそばと、本枯節を使った濃い汁を受け継ぐ日本橋の老舗。名物のカレー南蛮そばとともに、新たな八重洲へ店を構えます。
photo by ©FASHION HEADLINEそして「Mixology salon」を手掛けるのは、ミクソロジストの南雲主于三。2009年に開業した1号店は、まさに今回の再開発区域内にありました。抹茶や玉露など日本茶を使ったティーカクテルを軸に、再び創業の地へ戻ってきます。
photo by ©FASHION HEADLINE古い店だけを保存するのでも、新しい店だけに入れ替えるのでもない。長く八重洲で営まれてきた味と、これから東京の食文化をつくる店を同じ街並みの中に置くことで、「東京・八重洲 王道 New & Classic」という考え方を表現しています。
岩井俊二が書いた“人魚”の物語。アートでたどる八重洲の記憶
さらに注目したいのが、館内各所に展開されるパブリックアートです。「TOFROM YAESU TOWER ART:人魚の街」は、映画監督・岩井俊二が八重洲を舞台に書き下ろしたオリジナルストーリーから始まるプロジェクト。その物語をもとに、8組のアーティストがそれぞれの視点から作品を制作。地下のバスターミナル階から4階まで8つの作品を点在させ、一つの物語によって緩やかにつなげています。
photo by ©FASHION HEADLINEここでモチーフとなる「人魚」は、単なるファンタジーとして現れるわけではありません。現在はビルが立ち並ぶ八重洲ですが、この場所にはかつて海や川、江戸城の外堀といった“水辺”の記憶があります。
photo by ©FASHION HEADLINETOFROM YAESU THE FRONTの1階に設置される小林博人の《風紋》は、風を受けて揺れるステンレスパネルによって水面のゆらぎを表現。かつて海であり、紅葉川や江戸城外堀を擁していた八重洲の水辺の記憶と、変わり続ける都市の姿を重ねます。
photo by ©FASHION HEADLINE3階のさくら通りテラスに設置された、加藤智大の《Anonymous-human #68: The Veiled》は、水盤の中央に重なり合う鉄の輪郭によって人魚を表現した彫刻作品です。人魚が時代や地域によって異なる姿で語り継がれてきたことに着想し、特定の像を示すのではなく、見る位置によってその姿が変化する構造に。人と風景、現実と伝承の境界を揺らしながら、一つの存在にさまざまな物語や記憶が重なっていく様子を浮かび上がらせます。
photo by ©FASHION HEADLINEまた、MULTISTANDARDによる《loading》は、都市を支える規格化されたコンクリートブロックを加工・再構成し、腰掛けられるアートファニチャーへと変換。変化を続ける八重洲という都市そのものを、素材の再編集によって読み直します。
photo by ©FASHION HEADLINE作品を順番に鑑賞していけば、アートを見るという行為そのものが、館内を歩き、八重洲の記憶をたどる体験へと変わっていきます。
新しい建物をつくることと、街をつくり直すこと
東京駅前では今、大規模な再開発が続いています。その中でTOFROM YAESUが示しているのは、高さや延床面積、新しい店舗の数とは少し異なる都市の価値です。
小さな建物が連なっていた風景を「箱積み」という建築へ置き換える。路地のように街から店へ入れる動線をつくる。周囲の道路を建物の中で再びつなぐ。かつての町名や祭りを残す。老舗が新しい建物へ戻り、そこに新しい店が加わる。そして、土地に残された水や人の記憶をアートとして可視化する。
姿は大きく変わっても、街を構成してきたものまで消してしまわない。
「TO YAESU」と「FROM YAESU」。
人やもの、文化が八重洲へやって来て、ここで交わり、また八重洲から外へ向かっていく。その名前に込められた往復運動は、施設のネーミングだけでなく、街と建物、過去と現在をつなごうとする設計そのものにも表れているようです。
【INFORMATION】
TOFROM YAESU TOWER
開業日:2026年9月10日(木)
所在地:東京都中央区八重洲1丁目6番1号
規模:地上51階・地下4階
高さ:約250m
主要用途:オフィス、店舗、バスターミナル、劇場・カンファレンス、医療施設、駐車場ほか
TOFROM YAESU Shop & Restaurant
飲食店を中心に68店舗
※2026年9月10日時点ではTOFROM YAESU TOWER内55店舗が開業予定。その他の一部店舗およびTOFROM YAESU THE FRONT内の店舗は2026年冬以降順次開業予定。
TOFROM YAESU TOWER ART:人魚の街
展示開始:2026年9月10日(木)
会場:TOFROM YAESU TOWER 地下バスターミナル階〜4階各所
料金:無料
企画・統括:東京建物、彫刻の森芸術文化財団、CEKAI
TOFROM YAESU TOWER
開業日:2026年9月10日(木)
所在地:東京都中央区八重洲1丁目6番1号
規模:地上51階・地下4階
高さ:約250m
主要用途:オフィス、店舗、バスターミナル、劇場・カンファレンス、医療施設、駐車場ほか
TOFROM YAESU Shop & Restaurant
飲食店を中心に68店舗
※2026年9月10日時点ではTOFROM YAESU TOWER内55店舗が開業予定。その他の一部店舗およびTOFROM YAESU THE FRONT内の店舗は2026年冬以降順次開業予定。
TOFROM YAESU TOWER ART:人魚の街
展示開始:2026年9月10日(木)
会場:TOFROM YAESU TOWER 地下バスターミナル階〜4階各所
料金:無料
企画・統括:東京建物、彫刻の森芸術文化財団、CEKAI






































