A-POC ABLE ISSEY MIYAKE × JAXA、宇宙から見た地球を「一枚の布」へ。南極の衛星画像から生まれたジーンズと未来の衣服

Event Date:2026.10.21-11.19
Oct 23, 2026
宇宙から捉えた地球の風景が、身にまとう一着のジーンズになる。

A-POC ABLE ISSEY MIYAKE(エイポック エイブル イッセイ ミヤケ)が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協業プロジェクト「TYPE-XVII JAXA project」を発表しました。JAXAの気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)が捉えた南極大陸の観測画像を、高度なジャカード織りでデニム生地に表現。11月1日より、この生地を用いたジーンズを国内外の店舗で発売します。

© ISSEY MIYAKE INC.
東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTでは、10月21日から11月19日まで、特別展「『一枚の布の可能性』TYPE-XVII JAXA project by A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」を開催中。ジーンズの制作に加え、折紙の幾何学的な構造を応用した新たな布の研究成果も紹介されています。

宇宙から地球を観測する科学と、身体を包む衣服を設計するファッション。異なる領域が交わることで、「一枚の布」というイッセイ ミヤケのものづくりの思想は、どのような未来へと向かうのでしょうか。



南極の氷と海を、ジャカード織りで描く

プロジェクトの出発点となったのは、気候変動観測衛星「しきさい」が捉えた南極大陸の姿です。「しきさい」は、近紫外から熱赤外まで、人間の目には見えない領域を含む複数の波長を使い、地球の海洋や雪氷、植生などを継続的に観測しています。そのデータは気候変動をはじめとする地球環境の変化を理解するために活用される一方、宇宙から見た地球の多様な表情も映し出しています。

© ISSEY MIYAKE INC.
今回選ばれたのは、広大な南極の氷床と、その亀裂の間からのぞく濃紺の海を捉えた画像。白と紺が入り組む複雑な輪郭は、遠くから眺めると抽象画のようにも見えます。しかし、それは自然がつくり出した地球の実際の姿です。

© ISSEY MIYAKE INC.
A-POC ABLE ISSEY MIYAKEは、この観測画像を高度なジャカード織りによってデニム生地に表現しました。画像を単純にプリントするのではなく、織組織の密度による濃淡と階調によって、氷と海がつくり出す造形を描き出しています。デニム特有の質感と、衛星画像が持つ緻密な造形。二つの要素が重なることで、地球の風景が衣服の表面に現れます。

ストレートジーンズ:93,500円 | © ISSEY MIYAKE INC.
展開されるのは、ストレートジーンズ(93,500円)とワイドジーンズ(99,000円)の2型。いずれもカラーはネイビーヒュード、サイズは00、01、02、03の4サイズです。11月1日から、東京・青山、京都、銀座の国内店舗に加え、パリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンの店舗でも販売されます。

ワイドジーンズ:99,000円 | © ISSEY MIYAKE INC.
このジーンズが興味深いのは、衛星観測という遠い世界の出来事を、日常的に着用する衣服へと結びつけていることです。地球の変化を捉えるために集められたデータが、布となり、身体を包む。その過程からは、ファッションが科学的な情報を人々の暮らしに近づける可能性も見えてきます。



縫わずに形をつくる。折紙の構造から生まれた布

今回のプロジェクトは、ジーンズの制作だけにとどまりません。21_21 DESIGN SIGHTの展示では、南極の観測画像から着想を得て開発された、未来の衣服を見据えた布のプロトタイプが紹介されています。

photo ©FASHION HEADLINE
素材開発に協力したのは、折紙の幾何学や構造を研究する東京大学の舘知宏研究室。折り目の組み合わせによって平面を立体へと変化させる折紙の原理を、布の構造へと応用しています。

photo ©FASHION HEADLINE
展示台に広がる白い布には、細かな幾何学模様が連続しています。近づいて見ると、その表面は単なる装飾的なテクスチャーではなく、折り目によって立体的な凹凸が形成されていることがわかります。布は曲げたり、巻いたり、伸ばしたりすることで、さまざまな形へと変化します。会場では、同じ形のパーツをコードでつなぎ、縫製を用いずに立体的な造形を生み出す研究も紹介されています。コードをほどけばパーツを分解でき、再び組み合わせることで別の形へと変化させることも可能です。

photo ©FASHION HEADLINE

ここで探られているのは、布の表面に新しい模様を与えることだけではありません。布そのものに構造を持たせることで、形を保ち、変化させ、必要に応じて組み替える。衣服のつくり方を、素材の段階から捉え直そうとする試みです。



衣服は、どこまで変化できるのか

展示空間でひときわ目を引くのが、幾何学的な凹凸を持つ白い衣服をまとった人体のプロトタイプです。フードや袖、胴体、脚部には、折り重なった布が連続的な凹凸を形成しています。柔らかな素材でありながら、彫刻のような存在感を持ち、身体の輪郭を新たな形へと変化させています。

photo ©FASHION HEADLINE
それぞれの衣服には異なる構造が採用され、布の重なり方や折り目の方向によって、シルエットも変化しています。布は通常、裁断し、縫い合わせることで衣服になります。しかし、この研究では、布の構造そのものが形を生み出すための重要な役割を担っています。

photo ©FASHION HEADLINE

さらに、この素材研究が見据えているのは、衣服だけではありません。布の持つ柔軟性と立体構造を生かし、将来的には住環境の内装材や建材など、身体を取り巻く幅広い領域への応用も想定されています。その先にあるのが、宇宙や極地といった、人間が活動するうえで多くの制約を伴う環境です。

photo ©FASHION HEADLINE
使用できる素材や設備が限られた場所で、どのような構造を生み出せるのか。必要に応じて形を変えられる素材には、どのような可能性があるのか。今回展示されているのは、こうした問いに向き合う研究段階のプロトタイプです。宇宙や極地などの制約の多い環境も視野に入れながら、布の構造や機能が持つ可能性を探っています。



三宅一生が問い続けた「一枚の布」の現在地

このプロジェクトを理解するうえで欠かせないのが、イッセイ ミヤケのものづくりを貫く「一枚の布」という思想です。1998年、三宅一生は「A Piece of Cloth」を意味する「A-POC」を発表しました。従来の服づくりの工程を見直し、布と衣服の関係に新しい可能性を提示した取り組みです。

その思想を受け継ぎ、2021年に誕生したのがA-POC ABLE ISSEY MIYAKE。宮前義之率いるエンジニアリングチームが、異なる分野の専門家や技術との協業を通じて、ものづくりの可能性を探究しています。

photo ©FASHION HEADLINE

今回のJAXAとのプロジェクトにも、その姿勢が表れています。衛星観測のデータをジャカード織りによって衣服へと変換すること。そして、折紙の幾何学を布の構造へと応用し、衣服の未来を考えること。いずれも、技術を装飾のためだけに用いるのではなく、布のあり方や衣服のつくり方そのものを問い直す試みです。会場に並ぶ小さな紙の模型や布の試作からは、複雑な構造が生まれるまでの思考の積み重ねもうかがえます。

photo ©FASHION HEADLINE

一枚の平面が立体へと変化し、やがて身体を包む衣服になる。その過程を追うことで、完成された服の背後にある研究や発想にも目を向けることができます。



21_21 DESIGN SIGHTで体験する、服づくりの未来

21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で開催中の特別展「『一枚の布の可能性』TYPE-XVII JAXA project by A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」は、こうしたプロジェクトの成果を、実際の衣服と素材研究の両面から紹介しています。

photo ©FASHION HEADLINE
会場では、南極の観測画像から生まれたジーンズと、幾何学的な構造を持つ白い布のプロトタイプが対照的に展示されています。衛星が捉えた地球の風景が、織物として身体に近づいていく。一方で、布の構造を探る研究は、衣服からさらに広い環境へと思考を広げていきます。その両方を同じ空間で見ることで、科学とデザインの接点から、衣服のあり方を根本から考え直そうとする、このプロジェクトの姿勢が浮かび上がってきます。

photo ©FASHION HEADLINE

展覧会は11月19日まで開催。入場は無料です。また、11月1日から12月30日までは、東京・南青山のA-POC ABLE ISSEY MIYAKE / AOYAMAに新設されたギャラリー空間「A-POC SPACE」でも、企画展「TYPE-XVII JAXA project」が開催されます。

地球を観測する科学から生まれた一着のジーンズ。そして、未来の環境を想像することから生まれた新しい布の構造。A-POC ABLE ISSEY MIYAKEとJAXAの協業は、「一枚の布」が持つ可能性を、地球という大きなスケールから改めて考える機会を提示しています。



INFORMATION
A-POC ABLE ISSEY MIYAKE「TYPE-XVII JAXA project」

発売日:2026年11月1日(日)
展開アイテム(税込):
 ・ストレートジーンズ:93,500円
 ・ワイドジーンズ:99,000円
カラー:ネイビーヒュード
サイズ:00、01、02、03
取扱店舗:
 A-POC ABLE ISSEY MIYAKE / AOYAMA
 A-POC ABLE ISSEY MIYAKE / KYOTO
 ISSEY MIYAKE GINZA / 442
 ISSEY MIYAKE / PARIS
 ISSEY MIYAKE / MILAN
 ISSEY MIYAKE / NEW YORK
 ISSEY MIYAKE / LONDON 10 BROOK


特別展「『一枚の布の可能性』TYPE-XVII JAXA project by A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」

会期:2026年10月21日(水)〜11月19日(木)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
開館時間:10:00〜19:00
※10月31日(土)は六本木アートナイトに伴い22:00まで開館
休館日:火曜日(11月3日は開館)
入場料:無料
主催:株式会社イッセイミヤケ
協力:宇宙航空研究開発機構(JAXA)


企画展「TYPE-XVII JAXA project」

会期:2026年11月1日(日)〜12月30日(水)
会場:A-POC ABLE ISSEY MIYAKE / A-POC SPACE
住所:東京都港区南青山5-3-10 FROM-1st




The Editorial Team
  • ストレートジーンズ:93,500円
  • ストレートジーンズ:93,500円
  • ストレートジーンズ:93,500円
  • ストレートジーンズ:93,500円
  • ワイドジーンズ:99,000円
  • ワイドジーンズ:99,000円
  • ワイドジーンズ:99,000円
  • ワイドジーンズ:99,000円
Back to Top