日本文化は、一つじゃない。伊勢丹新宿店「JAPAN SENSES」が映す、日本の“SENSE”の現在地

Event Date:2026.09.23-10.06
Sep 16, 2026
刀と民藝、餅、アニメゲーム、落語、そして現代美術。一見すると異なる領域にあるものが、すべて「日本」という一つの言葉のもとに並びます。

伊勢丹新宿店では、2026年9月23日から10月6日まで、日本が世界に誇るクリエーションに焦点を当てた「JAPAN SENSES」を開催します。伝統技術からポップカルチャーまで、本館各階を舞台に70以上の企画を展開。工芸アートファッションビューティー、食などを横断しながら、日本で受け継がれてきた技や美意識、そして現在進行形で生まれている感性を紹介します。

Courtesy of Isetan Shinjuku
日本文化という言葉から、何を思い浮かべるでしょうか。長い時間をかけて磨かれてきた職人の技もあれば、世界中の人々を熱狂させるゲームやアニメもあります。日々の暮らしの中で親しまれてきた食も、現代の作家が生み出す新しい表現もある。

「JAPAN SENSES」が映し出すのは、一つの様式では捉えきれない日本の姿です。



刀と器から見えてくる、日本のものづくり

その奥行きを象徴する企画の一つが、本館6階 催物場で9月24日から28日まで開催される「JAPAN ART×ISETAN」です。日本刀、民藝、日本工芸の名品が集まる会場には、刀匠・河内國平とその一門の作品をはじめ、民藝運動を牽引した河井寬次郎、濱田庄司、木漆工芸家・黒田辰秋らの作品が並びます。

なかでも対照的なのが、河内國平による太刀と、河井寬次郎の《手扁壷》です。

Courtesy of Isetan Shinjuku
河内國平の太刀は、古刀の美を追求して作刀された一振り。優美な姿の中に力強い地鉄と繊細な刃文を見せます。日本刀は刀匠だけによって完成するものではなく、研師をはじめ、漆芸、金工、組紐など、さまざまな分野の技術が結集して形づくられてきました。

一方の《花手扁壷》は、河井寬次郎が陶という素材を通して生み出した造形です。河井は柳宗悦や濱田庄司らとともに民藝運動に深く関わり、名もなき職人による日常のや道具に宿る美にも目を向けました。

刀と器。用途も素材も、その成り立ちも異なります。それでも二つを並べて見ると、素材と向き合い、手を動かし、技術を積み重ねながら形へと導いていく、日本のものづくりの異なる表情が浮かび上がります。日本文化の奥深さは、一つの象徴的なモチーフだけで語れるものではありません。



身近な「もち」にも、文化は受け継がれている

日本の文化を伝えてきたのは、美術品や工芸品だけではありません。本館地下1階 フードコレクションでは、9月23日から29日まで、「もちえぼりゅーしょん」を開催。古くから日本で親しまれてきた「もち」をあらためて見つめ、その可能性を現在の食の感覚から広げます。

Courtesy of Isetan Shinjuku
<和果 あんまき堂>の「みたらしまき」は、大粒のみたらし団子をふんわりとした生地で包み、「フワッ」と「モチッ」という二つの食感を組み合わせた一品。

Courtesy of Isetan Shinjuku
<あいと電氣餅店>の「3種の生大福」は、もち米100%のつきたての餅に、北海道産小豆「朱鞠」、国産の蓬、黒胡麻をそれぞれ異なる仕立てで合わせます。保存料を使わず、賞味期限はわずか5時間。つきたての餅そのもののおいしさに向き合います。

Courtesy of Isetan Shinjuku
さらに<すずや>の「あんバタートック」は、宮城県産餅粉を使った生地にバターと3種の餡を組み合わせ、和菓子と洋菓子の境界を越えた味わいへ。

Courtesy of Isetan Shinjuku
いずれも中心にあるのは、日本人にとって身近な「もち」です。しかし、昔ながらの姿をそのまま再現するのではなく、食感や素材の組み合わせ、つくり方によって新しい楽しみ方が生まれています。

受け継がれてきた食文化もまた、現在の感覚と出会うことで姿を変えていきます。



ゲーム、アニメ、落語。東京から生まれる文化の現在形

9月30日から10月5日まで本館6階 催物場で開催される「TOKYO ISSUE」は、視点を現在の東京へと移します。アニメ、ゲーム、アイドル、食、落語、映画スポーツ、アート。ジャンルを横断しながら東京のサブカルチャーを伊勢丹の視点で編集し、現在の都市から生まれている文化を一堂に集める新企画です。

Courtesy of Isetan Shinjuku
世界的な支持を集めるゲーム『ELDEN RING NIGHTREIGN』からは、<TORCH TORCH>による「夜渡り」のアクリルスタンド全10種を伊勢丹新宿店で先行販売。今 敏監督による長編アニメーション『PERFECT BLUE』は、<WIND AND SEA>とのコラボレーションによってTシャツに。作品を象徴するネオンテトラに囲まれた主人公・霧越未麻が、グラフィックとして現在のファッションへと接続されます。

Courtesy of Isetan Shinjuku
そして、そこに並ぶのが新宿三丁目の寄席「末廣亭」です。<Takeshi Wada>とのコラボレーションでは、末廣亭の寄席札をモチーフにした手ぬぐいが登場。1872年創業の梨園染 戸田屋商店が、伝統的な染色技法「注染」によって染め上げます。

Courtesy of Isetan Shinjuku
ゲームやアニメと、寄席文化。一見すれば異なる時代に属するように見える表現が、同じ「TOKYO ISSUE」の中に置かれます。東京の文化は、新しいものだけでできているわけではありません。長く街に根づいてきた文化と、現在生まれている表現が同じ都市の中で共存し、その両方が東京の現在をつくっています。



職人の技と現代美術が出会う「CONSERVATORY」

そして「JAPAN SENSES」は、現在進行形のアートへと視点を広げます。9月30日から10月6日まで、本館1階 ザ・ステージでは、現代美術作家・平子雄一によるエキシビション「CONSERVATORY」を開催します。

平子雄一《Lost in Thought 259》2026 | Courtesy of Isetan Shinjuku
平子氏は、植物や自然と人間の共存、その関係の中に生まれる曖昧さや疑問をテーマに作品を制作してきました。今回は《Lost in Thought 259》(2026)をはじめとする新作を発表します。さらに会場では、九谷焼の三ツ井為吉や、旭川の木製家具メーカー・匠工芸など、日本各地の職人とのコラボレーションアイテムも展開されます。

平子雄一《Walking Palm》2026 | Courtesy of Isetan Shinjuku
最初に見た日本刀や民藝から、食、東京のサブカルチャーへ。そして最後に現代美術へ。その先にも、再び職人の技があります。受け継がれてきたものづくりは過去の中だけに存在するのではなく、現代の作家やデザイナーと出会い、新しい表現を生み出す技術として現在にも続いています。



日本文化は、一つの形では語れない

河内國平の太刀と河井寬次郎の器。昔から親しまれてきた餅。『ELDEN RING NIGHTREIGN』や『PERFECT BLUE』、新宿末廣亭。そして平子雄一の現代美術。

これらを一つのカテゴリーに分類することは難しいかもしれません。しかし、異なる時代や領域で生まれたそれぞれの表現には、日本で培われ、受け継がれ、更新されてきた感性があります。そして、美術館でも工芸館でもない百貨店だからこそ、工芸、食、ファッション、アート、ポップカルチャーを同じ場所に並べることができます。


「JAPAN SENSES」が提示するのは、決まった形をした「日本らしさ」ではありません。長い時間をかけて受け継がれてきたものと、いま生まれているもの。その両方が混在し、ときに交わりながら、日本文化は変化を続けています。伊勢丹新宿店に集まる70以上の企画をめぐることは、そんな多面的な日本の“SENSE”を、現在の視点から見つめ直す機会になりそうです。



【INFORMATION】
JAPAN SENSES

会期:2026年9月23日(水・祝)~10月6日(火)
会場:伊勢丹新宿店 本館各階


JAPAN ART×ISETAN
会期:9月24日(木)~9月28日(月)※最終日18:00終了
会場:本館6階 催物場

もちえぼりゅーしょん
会期:9月23日(水・祝)~9月29日(火)
会場:本館地下1階 フードコレクション

TOKYO ISSUE
会期:9月30日(水)~10月5日(月)※最終日18:00終了
会場:本館6階 催物場

CONSERVATORY
会期:9月30日(水)~10月6日(火)
会場:本館1階 ザ・ステージ
※本館ウィンドー展示:9月16日(水)~10月6日(火)





The Editorial Team
  • 左)河内國平 太刀 6,600,000円、右)河井寬次郎 花手扁壷 8,800,000円  (陶器/幅16.5×奥行12.2×高さ27cm)
  • <和果 あんまき堂>みたらしまき 701円(1本)
  • <あいと電氣餅店>3種の生大福 3,975円(7個)【伊勢丹新宿店限定】
  • <すずや>あんバタートック 381円(1個)【伊勢丹新宿店限定】
  • ©C・A ©KADOKAWA NHFN/1996 ©Bandai Namco Entertainment Inc. ©FromSoftware, Inc. ©Calbee/グルメマイスターよぴチャン ©1997 MADHOUSE ©AKB48
  • 『ELDEN RING NIGHTREIGN』 ×<TORCH TORCH>アクリルスタンド 各2,200円(1点)【伊勢丹新宿店先行販売】※一般販売11月予定
  • 『PERFECT BLUE』 × <WIND AND SEA>  Tシャツ 各12,100円(綿100%/S〜XL)【三越伊勢丹限定販売】
  • 『末廣亭』 × <Takeshi Wada>手ぬぐい 2,750円(綿100%/約H90×W37cm)【三越伊勢丹限定販売】
  • 平子雄一《Lost in Thought 259》2026
  • 平子雄一《Walking Palm》2026
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