アンブッシュが東京で初のランウェイ、世界とシンクロするストリートのモード化【2018-19秋冬コレクション】

2018.03.27

東京タワー下のスターライズタワーで行われたランウェイは、館内にまったく違う二つの空間が用意された。エントランスで違う色のテープを手首に巻かれたゲストは、それぞれ違う部屋に案内され、まったく違う環境、演出で同じルックを時間差で見る。

お互いはそれぞれの存在にまったく気がつかず、片方は芝生が敷かれた着席スタイル。もう一方は頭の位置に道が作られたスタンディング形式でショーのスタートを待つ。芝生ゾーンではアマゾンのボックスにシ−ルパッケージされたオリジナル弁当付き。中身はNYのブロンクスのシェフ集団、ゲットーガストロ製だ。ショー終了後はスタンディング会場の花道がそのままバーカウンターとなって、モエのシャンパンがふるまわれる。

今のファッションシーンにおけるヒップホップカルチャーラグジュアリーストリートブランドとアマゾンのパワーをそのままイベントに仕上げたアンブッシュ®(AMBUSH®)の2018-19年秋冬コレクションが3月20日、「Amazon Fashion Week TOKYO 2018 A/W(AFWT)」のスペシャルイベント「AT TOKYO」の一環として行われた。

パリで1月にインスタレーション形式で発表された今シーズンのコレクションはビッグシルエットのスポーツアイテムを、ブランドの核となるアクセサリーが完成させ、その存在感を際立たせた。

デザイナーのユン(YOON)が幼少期を過ごしたというシアトルの北部、“NOBO”をテーマとした今シーズンのストーリーはアスレジャー、グランジといったアイデアに落とし込まれている。ニットがパッチークされたデニムや、パーカーのドローストリング、ビッグダッフルのカットアウト、チェックのネルシャツなどのスカーティングなど、どれもそのままこのどちらの会場に溶け込めるスタイル。ダウンジャケット、マウンテンジャケットなどのアイテムもユニセックスでグローバルに伝わりやすい。

シーズントレンドのガンクラブチェックのコートにはガンホルダーを思わせるベストが合わせられ、さまざまなパーツのアイデアのミックス具合はブランドパートナーのバーバル(VERVAL)がDJであることからもサンプリングネタは豊富といったところ。ミックスダウンとマスタリング、いやフィニッシュワークの上質さはランウェイ上からも伝わり、このブランドが現在シーンの中核として期待されている理由が伝わってくる。

会場には東京ストリートシーンを代表するデザイナー、モデル、DJやEXILE ファミリーを始めLDHのメンバーらの顔もずらり。NYからアンブッシュ同様、DJ活動とハイプなブランド展開で注目を集めるスパゲッティーボーイズ(Spaghetti Boys)とノー バカンシー イン(NO VACANCY INN)のメンバーも来日し、パフォーマンスで盛り上げる。さらにビーツバイドクタードレ(Beats by Dr. Dre)とコラボレーションしたワイヤレスヘッドホーンの発表と、深夜まで東京タワー下に人が集まり、都市を代表するファッションウィークらしい夜となった。


Text: Tatsuya Noda
野田達哉
ページトップへ