エイリアンは、隣人であり、自分自身でもある── kolor 2027年春夏、堀内太郎が描く新しい関係性

Jul 13, 2026
kolorカラー)は、パリファッションウィークにて2027年春夏コレクションを発表しました。2025年に創業デザイナーの阿部潤一氏の後任としてクリエイティブディレクターに就任し、2026年春夏コレクションからkolorを手がける堀内太郎氏にとって、3シーズン目となるコレクションです。テーマは「Aliens」。

Courtesy of kolor

今季のショーは、一見するとSF的なタイトルを掲げています。しかし、堀内氏が語る「エイリアン」とは宇宙人のことではありません。隣人であり、家族であり、恋人であり、そして自分自身でもある。理解したいと思いながらも、決して完全には理解しきれない他者。その距離と関係性こそが、今季のkolorを貫くテーマとなっています。



エイリアンは宇宙人ではない

今回のコレクションノートで堀内は、「私たちは異なる人々と共存している」と語ります。互いを理解しようとしながら、同時に理解できない存在として見続けている。その感覚は、現代社会における人間関係そのものを表しているようです。

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そして彼は続けます。

もし地球の外から私たちを眺めたなら、国籍や人種、文化や言語の違いは、実はとても些細なものとして映るかもしれない、と。

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ここで語られているのは、多様性を称賛するためのスローガンではありません。むしろ、人は質的に他者を完全には理解できないという前提に立ちながら、それでも共に生きようとする態度です。



堀内太郎にとっての「Alien」

このテーマは、堀内氏自身の歩みとも重なります。

日本で生まれ、ベルギーのアントワープ王立芸術アカデミーでファッションを学び、その後、自身のブランドTARO HORIUCHI」や「th products」を手がけてきた堀内。2025年にはkolorのクリエイティブディレクターに就任し、新たな環境でブランドを率いる立場となりました。

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新しい環境に加わることは、ある意味で「エイリアン」になることでもあります。そこには、既に築かれた文化や価値観があり、自分はその外側からやって来た存在です。同時に、自分にとっても新しい環境は未知の世界です。

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今季の「Aliens」というテーマには、そうした堀内自身の立場や実感が少なからず反映されているようにも見えます。



理解しきれない他者と共につくる

今回のショーは、多様な文化背景を持つクリエイターたちとの協働によって形作られました。

音楽台湾のサイケデリック・ミュージックプロジェクトMong Tong。テキスタイルパターンはギリシャ・アテネを拠点とするKlaus Jurgen Schmidt。グラフィック中国出身で日本を拠点に活動するペインター、Yang Bo氏が担当しています。

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異なる言語、文化、歴史を持つ人々が集まり、一つのコレクションをつくり上げる。重要なのは、それぞれが同じ価値観を共有しているからではないということです。むしろ完全には理解しきれない相手だからこそ、そこに新しい創造の可能性が生まれる。

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コレクションノートに記された、「理解しきれない他者と向き合い、共に何かを生み出そうとする」という言葉は、その姿勢を端的に表しています。



kolorというブランドの新たな輪郭

kolorはこれまでも異なる要素を組み合わせることで独自の世界観を築いてきました。

スポーツウェアとテーラリング
クラシックと実験性。
機能と装飾。

そうした異質なもの同士の接続は、ブランドのDNAとも言えるものです。

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一方で堀内氏のアプローチは、服そのものの構造だけでなく、人と人との関係性へも視線を向けています。異なる背景を持つ者同士が出会い、すれ違い、対話しながら新しい関係を築いていく。そのプロセス自体を「Aliens」というテーマへと昇華しているように見えるのです。



私たちは誰かにとってのエイリアンなのかもしれない

コレクションノートの最後に記された一文は、今季のkolorを象徴しています。

「私たちは皆、きっと誰かにとってのエイリアンなのだろう。」

それは孤立を意味する言葉ではありません。むしろ、他者との違いを認めることから関係が始まるという考え方です。理解できないから距離を置くのではなく、理解しきれないまま向き合う。その先に生まれる対話や創造の可能性を、堀内太郎氏はkolor 2027年春夏コレクションを通して提示しました。

Courtesy of kolor

今季のkolorが描いたのは、宇宙からやって来る未知の存在ではありません。私たちのすぐ隣にいる他者であり、そして自分自身でもある「Alien」の姿でした。



The Editorial Team
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