ルイ・ヴィトン、フリック・コレクションで2027 クルーズ・コレクションを発表。“パリとニューヨーク”が交差する都市の物語

May 22, 2026
ファッションにおいて“クルーズコレクション”とは、単なるシーズン提案ではありません。、都市、文化、そして時代そのものを横断しながら、メゾンの現在地を示す装置でもあります。

©LOUIS VUITTON

Louis Vuitton は、5月21日午前7時(日時間)、マンハッタンのアッパー・イースト・サイド、セントラルパーク沿いに位置する美術館 The Frick Collection にて、ウィメンズ アーティスティック・ディレクター Nicolas Ghesquière による2027 クルーズ・コレクションを発表しました。

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“ふたつの都市”を巡るコレクション

今回のコレクションのテーマは、「Metropolitan Life: A Tale of Two Cities(メトロポリタン・ライフ:ふたつの都市の物語)」です。ニコラ・ジェスキエールは、パリニューヨークという異なる都市のアイデンティティ、その内側に存在する二面性や矛盾、そして多様性に焦点を当てました。

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アップタウンとダウンタウン、過去と未来、旧世界と新世界──。ニューヨークという都市が内包する多層性を、衣服を通して表現しています。今回のショー会場となったフリック・コレクションもまた、そのテーマを象徴する場所でした。アメリカの視点からフランス装飾芸術を讃えるこの美術館は、まさに“文化が交差する空間”として機能しています。

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キース・ヘリングとの再会

今回のコレクションで重要な存在となっているのが、アメリカ人アーティスト Keith Haring の作品です。

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ルイ・ヴィトンアーカイブから発見された1930年代のレザートランクは、かつてキース・ヘリングによって大胆に再解釈され、“キャンバス”として生まれ変わりました。その偶然の出会いは、ルイ・ヴィトンとポップアートを結びつける重要な原点となり、今回あらためて現在のクリエイションへと接続されています。

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ヘリングのグラフィカルな作品群は、ウェアやアクセサリーへと展開され、それ自体が新たな“移動するキャンバス”として機能しています。



“アメリカン・ワードローブ”の再構築

コレクションでは、ブルージーンズ、ジャージー、レザーといったアメリカンスタイルの象徴的要素が再解釈されています。

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一方で、その表現にはフランス的サヴォアフェールが重ねられ、実用性とクチュール的感覚が共存しています。スロットマシン、自動車のフレーム、型押しレザー、ギルデッド・エイジの装飾性──。アメリカ文化の断片が、服やアクセサリーのディテールとして織り込まれ、都市そのものの記憶がファッションへ変換されているようにも見えます。

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また、鮮やかな色彩や、スパンコール刺繍によるグラフィティ表現も印象的でした。未来的なシルエットと過去の文化的記憶が共存することで、コレクション全体に独特な“時間のレイヤー”を生み出しています。

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“ポップ・ラグジュアリー”という現在地

今回のコレクションで興味深いのは、“ポップ”という概念が単なる軽やかさではなく、文化や都市をつなぐコミュニケーション装置として扱われていることです。Louis Vuitton がリリース内で語るように、「ポップアート」「ポップカルチャー」「ポップ・ラグジュアリー」は、あらゆる人々へメッセージを届けるための強力な言語でもあります。

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パリとニューヨーク。アートとファッション。ヘリテージと未来。

2027 クルーズ・コレクションは、そのすべてが交差する地点で、“都市を着る”というルイ・ヴィトンらしい旅の物語を描き出していました。



The Editorial Team
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