隈研吾、藤本壮介、長谷川豪らが原寸大で具現化した“未来の家”。この夏注目のHOUSE VISION!【Report】

2016.08.01

「家」を未来産業の交差点と見立てるプロジェクト「HOUSE VISION 2 TOKYO EXHIBISION」が、東京お台場・青海ではじまった。日本を代表するグラフィックデザイナーである原研哉が展覧会ディレクターを務めるHOUSE VISIONでは、新進気鋭のクリエイターや世界で活躍する建築家たちが企業とともに手掛けた未来の家を提案している。

そんな“未来の家”をFASHION HEADLINEでは巡ってきた。その全貌をレポートする。

エントランスからメイン広場、また12棟ある展示ハウスに至る会場全体の構成は、世界的な建築家・隈研吾が担当。和の大家と呼ばれる隈らしく、エントランスや広場、通路には、ふんだんに木材が使われ、やすらぎや心地よさが感じられる空間だ。

木々の香りに導かれて訪問したのは「吉野杉の家」。この家は、気鋭の若手建築家・長谷川豪との概念を変革したアメリカ・サンフランシスコの企業Airbnb(エアビーアンドビー)が手掛けた家。「Airbnbと“ホストとゲストの関係性を問い直す家”というテーマで家作りを検討。また作って終わりではなく、過疎地域を活性化させる取り組みとして、その家を地域に移築してAirbnbで貸出すプロジェクトに」と長谷川。

この取り組みに賛同し協力したのが奈良・吉野町。杉や檜などの産地である吉野の木々を使って、吉野町の人たちのコミュニティスペースになり、国内外から旅行者が訪ねてくる家を生み出した。「コミュニティがホストになる」という家は、大テーブルや広い縁側のある1階をみんなの空間として、小屋裏のような2階はゲストの空間として、作られている。「だから1階と2階では木々の香りも違う、1階は甘い香り、2階は爽やかな香りがするのでそれも体験して欲しい」と長谷川はコメントする。会期を終えた今秋11月には吉野町に里帰りしてAirbnbに登録され、宿泊予約を受け付ける。

次に訪ねたのは「遊動の家」。ここは建築家の谷尻誠×吉田愛と三越伊勢丹が手掛けた極上のリノベーション空間。パソコン一つもって世界中を飛び回るニューノマドな仮想施主にむけて、三越伊勢丹がモノの選定や調達を行い施主個人のライフスタイルをそのままカタチにした家。「だから建築はシンプルに黒皮鉄、杉古材、モルタルのみで構成しモノや生活を際だたせる空間にしました。また室内に配した小屋には、余白を多くとりそこに縁側的な部分をもうけて仲間たちとのコミュニケーションの場に」と谷尻は語る。

また12棟のなかで一番高い家は「賃貸空間タワー」。こちらは国際的な建築展の受賞も数多い藤壮介氏×大東建託の建てた家。“個人空間と共用空間を再定義した賃貸住宅”がテーマ。キッチンやお風呂、ライブラリー、庭などを広々とした共用空間に対して、ベッド、トイレ、収納と生活の最小限要素をまとめたプライベート空間。お年寄りと若者、単身者と若夫婦、世代や職業を超えた人々が住むことで、そこに新鮮なつながりが生まれていくだろう。共用スペースの至るところで、ゆるやかなコミュニケーションが生まれる賃貸だ。

そして家ではないけれども、夏空の下取材を続ける我々を癒してくれたのは、住友林業×プラントパンター西畠清順×隈研吾の「市松の水辺」。樹木と水と木材で作られた心地のいい庭だ。市松模様の柄を1ユニットとして組みたてているので、都会のどこにでも庭を生み出せる。陽射しをさえぎる木陰の下で、冷たい水辺にちゃぽんと足をつけて、真夏の涼を楽しみたい。

また休憩処であるAGF(味の素ゼネラルフーヅ)と長谷川豪が手掛けた「冷涼珈琲店 煎」では、日本の軟水にあう豆を選び焙煎した「煎」のアイスコーヒーと江戸時代から続く和菓子処・榮太樓總本鋪の冷菓子を提供。海風にはためく麻の暖簾、爽やかな香りが漂う吉野檜のベンチシートでいただくアイスコーヒーは、今も未来も私たちを癒してくれるはずだ。

他にもメインホールには蔦屋書店代官山蔦屋書店2階のラウンジAnjin(アンジン)がサテライト出店。約3千冊にのぼる「住まい」をテーマにした書籍が並び、HOUSE VISIONの関連書籍も先行発売している。さらに会期中(8月28日まで)は毎日、建築家やアーティスト、デザイナーなど多彩なゲストのトークセッションが予定されている。

HOUSE VISION会場をぐるりと巡ることで、経済の停滞、人口の縮退、自然災害の頻発、コミュニケーションストレスの増大など今の日本が抱えるさまざまな問題や未来に対する12のアプローチを見てとることができるはず。確認申請を経て、建てられた展示ハウスは明日にでも利用可能な家も多い。絵空事ではないリアリティのある未来の家たち、どの家でどんな暮らしを望みますか?

【展覧会情報】
HOUSE VISION 2016 TOKYO EXHIBITION
会期:2016年7月30日~8月28日
時間:11時~20時(最終受付19時30分)
料金:一般 1,800円 学生 1,500円
森有貴子
  • 木材をふんだんに採用した会場構成は建築家・隈研吾によるもの
  • 「HOUSE VISION」の開催は2013年に続き、2度目となる
  • 会場に入ると青空が広がり、やわらかなシルエットの木が迎えてくれる
  • 会場内は海の近くで陽射しも強いため、帽子やサングラスを持参することをオススメ。会場内でも麦わら帽子を販売している
  • TOTO・YKK AP×五十嵐淳・藤森泰司による「内と外の間/家具と部屋の間」
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  • TOYOTA×隈研吾「グランド・サード・リビング」
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  • カルチュア・コンビニエンス・クラブ×日本デザインセンター 原デザイン研究所×中島信也「電波の屋根を持つ家」
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  • AGF×長谷川豪「冷涼珈琲店 煎」
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  • ヤマトホールディングス×柴田文江「冷蔵庫が外から開く家」
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  • Airbnb×長谷川豪「吉野杉の家」
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  • パナソニック×永山祐子「の家」
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  • 無印良品×アトリエ・ワン「棚田オフィス」
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  • 三越伊勢丹×谷尻誠・吉田愛「遊動の家」
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  • 大東健託×藤本壮介「賃貸空間タワー」
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  • LIXIL×坂茂「凝縮と開放の家」
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  • 住友林業×西畠清順×隈研吾「市松の水辺」
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  • 凸版印刷×日本デザインセンター 原デザイン研究所「木目の家」
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