「年商1000億円を視野に、ファッションの“独自性”強化を」銀座三越リモデルグランドオープン【大西洋社長会見全文】

2015.10.29

「年商1000億円に向けて」とニュースに見出しが踊った10月14日の銀座三越のリモデルグランドオープン。2010年の増床リモデルから5年が経過し、売上は当時の約600億円から750億円へと拡大。インバウンドの増加とともに、2020年に向けて周辺は大型商業施設のオープンも続々と控えている。街自体が大きく変化しつつあり、1,000億円は夢の数字ではなく実現可能な目標となった。

三越伊勢丹ホールディングスの大西洋・代表取締役社長が集まった記者たちに「1,000億円は視野に入った」と語った、銀座三越グランドオープン時の会見インタビュー全文。


―まず、今回のリモデルに関しての感想はいかがでしょうか?

大西:リモデルというのはスポット的に行うというよりも、お客様の変化に対してお応えできているかが全てです。5年前のリモデルで大きな課題だった婦人服の売上が厳しかったことで、結果的に品のシェアが大きくなってしまいました。今回のリモデルでは婦人服の独自性や編集ショップの強化が課題でしたが、正直、まだ道半ばと言わざるを得ません。この銀座の街で独自性を出していくには、ブランドに頼らない、婦人服の当の編集平場をもっと作らないといけないと思っています。

―その課題とは具体的にどういう部分でしょうか?

大西:今回の課題は、5年前に増床した東側4階で大きなブランドを集積して効率が非常に悪かったという部分をどうするか、ということでした。結果的に、その修正がブランドの入れ替わりになってしまったということは否めません。そこは思い切って編集にするとか、本館の3、4階(の自主編集売り場)があるなかで、もう少し自分たちでMDを構成するべきではなかったか、という反省点はあります。

伊勢丹新宿店でできている“独自性”がなぜ、銀座店で実現するのが難しいのでしょうか?

大西:難しい質問ですね。お客様のテイストが違うことも事実です。今は商品統括部が横串で通っており、バイヤーがMDを統括しているので、新宿店でやったことを銀座店でということは可能なはずですが、この2年で実施した組織の変更がまだ十分に機能しきれていないということと、後は、ブランドの入れ替えではなく、“独自性”を持ったMDをまず優先して店づくりを行うという強い意志が十分に発揮されていないということだと思います。

―自主編集に関して、全体のどのくらいの売上シェアを目標としているのでしょうか?

大西:会社全体では仕入構造改革を含めて中期的に25%を目標にしています。ただ、銀座店と新宿店はこれを上回らないといけないと思っています。銀座店では、新館4階のラグジュアリーと本館平場MDの精度向上をどのように行っていくかが鍵だと思っています。

―今回のリモデルによって売上はどの程度増加を見込んでいますか?

大西:私は5年前に銀座4丁目の角でこの店を構えたら最低1,000億円はやらなければダメだと言いました。当時の店長、統括部長にそれは無理だと言われましたが、今やそれは実現可能な目標となりつつあります。8階にオープンする空港型免税店の売上は公表していませんが、それを含めると現在800億円強は目指せるので、将来的には1,000億円が視野に入ってきていると思います。

―2020年に向けて銀座の街が大きく変化してきていますが、その中で銀座三越が目指す方向性は何でしょうか?

大西:銀座の街自体が大きく変化しています。以前の銀座は良い意味で整備されて「世界の銀座」と評価されましたが、今は良い意味で多様性のある街になりつつあります。この店を中心に晴海通りの東西の街並みは全然違います。その中心で商売をさせていただいているからには、当社の強みを発揮していかなければいけないと思っています。銀座の街にどう影響を与えるかということも重要ですが、新しいお客様に来ていかなければならないと思っています。ご来店いただいているお客様は年間2,000万人いらっしゃいますが、売上は1,000億円にも満たないということが課題ですので、ご来店いただいたお客様に対して本当に一対一のおもてなしをして、買い回りしていただける環境を作ることが重要だと考えています。

―新しいお客様というのはどの層でしょうか?

大西:この数年、特に都内東部、湾岸エリアにお住まいの比較的若いファミリーのお客様が増えていますが、銀座は本来商圏が広い場所なので、都内西部のお客様にも来ていただける店作りをと考えています。

―今後さらに銀座は来街者が増えることが予想されますが、入店客数はどのくらいの伸びを見込んでいらっしゃいますか?

大西:銀座店の店舗面積(約37,000平米)なので、現在の2,000万人を3,000万人にとは考えていません。それよりも一人あたりの購買額を増やすことの方が重要だと思います。婦人服が弱いため、食品のバランスが高くなり、どうしても客単価が下がってしまいます。もっとファッションを打ち出す店にすべきだと考えています。

―今回のリモデルにおける外国人観光客に向けての対応はございますか?

大西:外国人観光客だけということではなく、対象とするお客さまの関心度を分析して店作りをしなければならないと考えています。現状この店の外国人のお客様の売上は20%を超えており、そのお客様に対応したMD構成にしていきますが、一方的にそちらに向かって対応を進めていくと言うことではありません。そういう意味で、今回のリモデルでは外国人のお客様に関しては、年内にオープンを予定している空港型免税店で対応していきたいと考えていますが、決して外国人のお客様向けの店づくりを進めるわけではありません。

―来春にはロッテも市中免税出店というニュースもあり、今後、市中免税店は増えていくと思いますが、市中免税店での三越伊勢丹らしさはどう打ち出していく方針でしょうか?

大西:大きな括りの中でラグジュアリーや化粧品というのはありますが、我々らしさということでは「ジャパンプレミアム」をしっかりブランディングしていきたいと思っています。8階の市中免税店は、その初めてのお披露目となる予定なので、我々にしかできない日本の良いモノをどれだけプレゼンテーション出来て、評価いただけるかがロッテさんなど他の市中免税店との差別化になっていくかと思います。

Text:野田達哉
野田達哉
  • 大西洋・三越伊勢丹HG代表取締役社長
  • 大西洋・三越伊勢丹HG代表取締役社長
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