“不完全だけど最高の形”がとびっきりのおいしい!を届ける--「YOU BOX」【INTERVIEW】

2015.11.22

YOU BOX? それは、中村優さんが日本国内や世界で出会ったとびっきりのおいしいモノをとびっきりの笑顔でおすそ分けするプロジェクト。そんなYOU BOXを始めた優さんとプロジェクトを支えるメンバーたちに、彼らの出会いとこれからのことを伺ってきました。


■はじまりは発酵スムージーだった

――中村優さんが、先で選んだ材をストーリーブックとともに箱詰めしてお届けするというYOU BOX。もともと優さんがほそぼそと(?)始めたこのプロジェクトに共鳴するメンバーが集まり、14年秋のスリランカからミクロネシア、スペインと旅を重ねています。全国で旅の報告ディナー会などのイベントも開催しているという、超アクティブで変幻自在なYOU BOXの成り立ちに興味津々なのですが…。

優:一人ひとりのストーリーを説明したら、それだけで陽が暮れてしまいそうなほど千差万別です(笑)。

―― ではまず、片山さんはYOU BOXの報告ディナー会を開催するなどの拠点となっている「テーブルギャラリー」を運営されていますね。

片山:たまたまテーブルギャラリーという拠点の場があったことと、僕がやりたいことの延長上にリンクしてきたのがYOU BOXだったんです。もともとクリエーターのマネジメントをやっていたのですが、食の分野に興味が出て来たときに「食のことをやっている面白子がいるよ」と、中上くんに優ちゃんを紹介されたのが始まりで。中上くんが全員を結び付けた張人だよね。

中上:とりあえず紹介すれば自走してくれると思っていましたから。僕の本業は建築なので、基本、裏方。ロジックの組み立ては得意というか、交通整理が好きなので交差点に立っているおばちゃんみたいな役割です。

片山:その後、新宿で酵素浴のお店を立ち上げたときに、中上くんから発酵や菌に詳しい人がいると紹介されたのが朝比奈さん。朝比奈さんから菌を使ったスムージーを提案され、それならば優ちゃんにレシピを開発してもらおうと集まったのが始まりです。

優:そうだ!発酵スムージーを作ろうと思ってプロジェクトチームが始まったんですよ!

中上:まず何事を始めるのもビジュアルは必要なので、友達だったデザイナーの渡邊さんに声をかけました。

渡邊:普段は企業やブランドなどのアートディレクションをしていますが、ここではYOU BOXのロゴやストーリーブックおよびサイトをデザインしました。

―― 小島シェフ発掘はどのように?

優:小島シェフは前回から料理を担当してもらっています。最初の2回はのYOU BOXイベントは、一人でしゃべって同時に料理も作ってと、なかなか大変で。そんなときに、友人の紹介で今住んでいるシェアハウスに入居して来たのが、なんと世界コンクールで3位になった実績もある小島シェフ! YOU BOXの話をしたら、「興味ある」と言うので、「ぜひ一緒にやろう!」とお誘い。スペイン編から、いきなり超クオリティの高いごはんが出て来るようになったんです(笑)。

優:そして、フィクサー的な役割が朝比奈さん。

朝比奈:僕はオーガニック食材などの輸入業をしているんです。だから、仕事を通じて知った面白い食ネタの提供をしています。

優:第1回がスリランカに決まったのも朝比奈さんのアドバイスからなんです。でも、発酵スムージーに関しては、超健康オタクの中上さんと朝比奈さんが「冷たい飲み物って身体を冷やすよねー」みたいに女子トークを始めちゃって、結局実現しなかったんですよね(笑)

■旅するYOU BOX

――行き先とかはどうやって決めているのですか?

優:たとえば、発酵スムージーの話から朝比奈さんが「スリランカでは朝みんな緑のお粥を食べるんだよね」という話になり、現地での緑のお粥のレシピを探していました。「でも、やっぱり実際に触れてみないと分からないから行ってみよう!」と思い、そのときには1週間後に出発のチケットをとっているという感じです。

朝比奈:雑談が本当に実現してしまったんですよね。

優:私、次は「コスラエスープ」を求めてミクロネシアまで行きましたよね、まんまと。挙句、なかなかおいしいものが見つからなかったという…。

渡邊:無事に帰ってくるまでは心配するよね。ミクロネシアでは途中でネット環境がなくなって音信不通になったし。

優:行く場所が1週間前に決まるんですよ。決まっているのは、往復のチケットと1泊目に泊まる場所だけ。あとは現地で情報収集をしながら、北に行くか南にいくか美味しい匂いにつられて旅してます。

渡邊 フェイスブックで生きているのを確認しますね(笑)。

■チームでやることの楽しさ

――優さんはなんでもひとりでやるタイプに思えたのですが、実際チームでやり始めてどうですか?

優:最初は箱詰めから発送作業まで全部ひとりでやっていたんです。でも、チームになったことで出来ることが広がった。スリランカやミクロネシアは、絶対自分では選ばないし(笑)。一人だと発信する手段も限られるうえ、見方もなので私自身も受け取る人も飽きてしまったかもしれない。私は楽しいし、心の支えにもなっています。

片山:BOXの中に詰めるものをどうやって持って帰ってくるかが大変です。箱に入れるのに適したものがあるかどうか、行ってみないと分からない部分もあるので。

優:前回のスペインのときは初のインポートとあってなかなか苦労したんですけど、朝比奈さんが何でも答えてくれて。

朝比奈:何回も輸入したことがあるので、関税についてアドバイスしたり。

片山:スペインは大変でしたね。けっこうコストもかかりました。

優:スペインからやたらクオリティを上げてしまって。クオリティが毎回違いすぎるのもYOU BOXの良さということに私はしたいんだけど(笑)。

中上:あまりキメキメになりすぎないことも大事ですね。ある程度ゆるくしておかないと優ちゃんの推進力を止めてしまうことにもなるので、敢えて行き当たりばったりのままにしておくという考えもあります。

優:敢えてだったんだ(笑)。

■これからのYOU BOX

―― 全員が絶妙のバランスですよね。これからの方向性や目標はありますか?

優:毎回各地でイベントを開催するのですが、小島さんと一緒にその土地の食材を探して、農家さんと会ったりすることで、その場所でしか生まれないものとなる。ジョージアのヨーグルトを持ってきたのですが、朝比奈さんがそれを培養や分析してくれる(笑)。プロフェッショナルな人たちと動くのはとても面白い。可能性がぐっと広がります。

片山:製品化はしたいですね。イベントで提供しているものやBOXに入れるもの含め、現地のもののままではなく、優ちゃんのフィルターを通したプロダクトになるはずですから。

渡邊:僕も製品化はぜひやりたい。でも、デザイナー視点から提案をしても、結局それをやると優ちゃんらしさがなくなって、窮屈になってしまうのを感じることがあるんです。あんまりデザインで押し込めないように、出てきたものをふわっとパッケージするのがいいのかなとは思っています。

エンターテインメントとしてのYOU BOX

片山: YOU BOXのイベントに来たお客さんの満足度が異常に高いんですよ。もちろん小島シェフのおかげで料理のクオリティはものすごく上がりました。でも、そのおいしさを何倍にもしているのがストーリーであったり、彼女の伝える力であったり。それが完全なエンターテインメントになっている。各地の素材を使った料理が出るタイミングで、優ちゃんが各国で出会った人の話や生産者のストーリーを語る、ちょっとしたディナーショーに近いから、レストラン化したりメニュー化するのがするのが難しいんです。今の状態は不完全だけど、ある種最高の形にはなっているのかもしれません。

中上:僕はこのアナログ感は残していきたい。たいがいのものはネットで調べられるけれど、匂いや空気は出てこないし、だからこそ価値がある。あまり窮屈にしないようにしつつ、でも外枠は固めたいとは思っています。

小島:優ちゃんが国内外問わず見つけてきた色んなものを、まだ発信しきれていない部分もあります。でも、続けていくことが大事だと思うので、僕は少しでも料理で貢献できればいいなと感じています。

朝比奈:僕は単純に、世界中にいいものがあるのでそれをみんなに届けたい。日本だけでなく、海外にもある素晴らしいものを、その空気感とともに持って帰ってきてくれるのがすごくいいんです。最近は、食べるときにカロリーやアレルギーなどの制約を考える機会が多いですが、YOU BOXは、その土地の文化でいただいているものを単純にワクワクしながら楽しめるイベントなので、そういった場が作っていけるるのはいいなと思います。

優:嬉しいですね。みんないつの間にか巻き込まれていたようだから、私もメンバーって言っちゃっていいのかなと思うこともあったんです。でも、今日メンバーだと思っていてくれたことが分かって嬉しいです(笑)。続けることで、YOU BOXらしさが出て来るのかなと思います。私がいる限り、どうしてもふわっとなってしまうんですけど。

■いざ、ジョージア編へ!

―― 優さんは、つい先日まで次のYOU BOXのためにジョージアに行かれていました。この様子はFASHON HEADLINEでも紹介するので、乞うご期待ですよね。

優:ジョージアでは、実は心が折れそうな体験もしました。でも、途中からすべてギャグに見えてきて、もう私、何がきても大丈夫!っていうくらい生命力をあげて帰ってきたので、その報告も期待してください。旅がどんどん過酷になるんじゃないかって、正直心配していますが…。

―― どれだけ面白いことが起こるかをつい、期待してしまいますね(笑)。楽しみにしています!

「次は、どこにいこう」。いつもそこからスタートする、『YOU BOX』。今回の行き先がジョージア(アメリカでは無く、南コーカサス地方)に決まったのも、何を隠そう出発の2週間前。いつも通り、往復チケットと初日に泊まる場所だけ確保し、あとは現地での聞き込み調査の出たとこ勝負! ……のはずが、今回は1ミリも言葉がわからず苦戦。想像以上のむき出しの自然とOut of controlさに心折れそうになりつつ、一回りおおらかになった末に出会った美味しさとは……?

過去のYOU BOXでは、「知恵が詰まった美味しさ」に出会ったスリランカ、「プリミティブな美味しさ」に出会ったミクロネシア、そして「洗練された美味しさ」に出会ったスペインと続きましたが、今回出会ったのは、その全てを凌駕する「何でも楽しみに変えてしまう美味しさ」でした。

今回も、私が家庭で習って来たジョージア料理を、高松の素材を使ってとびきりに仕上げてくれるのは、ジョエル・ロブションで腕をふるい、世界最大規模の料理コンテスト「FHA2014」において2部門で銅賞獲得のスーパーシェフ。高松の特別な場所で、唯一無二のゲストのみなさんとだからこそ生まれる「楽しい美味しさ」を、コース仕立てで味わって頂きます。

■YOU BOX イベントスケジュール

11月30日(月)19:00~ @高松、Kinco. (http://peatix.com/event/127937
12月11日(金)19:00~@名古屋 Cafe Kinari+Shop Kemuri(http://peatix.com/event/130306
12月13日(日)19:00~ @京都 KYOCA (http://peatix.com/event/129944
12月17日(木)19:00~ @東京 Table Gallery (http://ptix.co/1LjkxDA
1月15日(金)19:00~ @高雄(台湾)挑食Gien Jia (https://www.facebook.com/GienJia/

【YOU BOX メンバープロフィール】
中村優
40creations代表。編集者と料理家に弟子入りしたという異色の経歴をもち、料理は人を笑顔にする!を信念に国内外の家庭などで料理を習いながら世界30カ国以上を放浪。食に関するイベント開催や、最近はおばあちゃんのレシピ集めにも夢中。

片山 裕介
株式会社テーブルカンパニー代表取締役。YOU BOXの企画・マネジメント担当/拠点となっている「テーブルギャラリー」を運営。

中上 俊介
建築家。テーブルギャラリー内装設計も担当。YOU BOXの健康アドバイザー兼見守り係。

渡邊 将志
ダブリューデザイン主宰。アートディレクター。YOU BOXのアートディレクション、ロゴやストーリーブック、WEBサイトなどデザインを担当。

朝比奈 学之
アスパック企業株式会社代表取締役・ナチュラル、オーガニック関連の食品等の輸入、企画、販売会社を経営。。YOU BOXの情報提供担当&輸入アドバイザー。

小島 三生(みお)
ジョエル・ロブションで腕をふるい、世界最大規模の料理コンテスト「FHA2014」において2部門で銅賞獲得のスーパーシェフ。YOU BOXの料理担当。
和田安代
  • 第3回スペインからのおすそ分けは、ハーブから生まれたナチュラルハニーとその蜜蝋から作られたナチュラルキャンドル、オーガニックゴードチーズ、カンタブリアのサスティナブルアンチョビ。こちらで、5500円(現在は、販売終了)
  • おすそ分けのバックグラウンドや旅の様子はストーリー仕立にしてYOU BOXで一緒にお届け。こちらは過去3回のスリランカ、ミクロネシア、スペインのストーリーブック
  • YOU BOXメンバーを、テーブルカンパニーの前でパチリ
  • 左から、渡邊 将志さん、片山裕介さん、中村優さん
  • 左から、小島 三生さん、中上俊介さん、朝比奈学之さん
  • ミクロネシアからのおすそ分け。第2回目のYOU BOイベントで
  • 第3回目は、スペインからのおすそ分け。こちらは高松でのYOU BOXイベントの様子
  • 第3回目は、スペインからのおすそ分け。こちらは京都でのYOU BOXイベントの様子
  • 第3回目は、スペインからのおすそ分け。こちらは東京でのYOU BOXイベントの様子
  • インタビュー後の撮影タイムでも、笑いが絶えないYOU BOXのメンバー
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