エフェクト・ボイスの新しい時代を予言するVoidolのキャラクター、音宮いろはを起用した「TOKYO“妄想”2020」

2019.12.27
2018年春夏、2018-19年秋冬のアマゾン ファッション ウィーク東京(AFWT)のキービジュアルのアートディレクションを手掛けた「螢光TOKYO」の手島領がミュージシャンネーム、LUDWIG3rd.(ルードヴィヒ3世)名義で発表した曲「TOKYO “妄想”2020 feat.音宮いろは」が話題を集めている。



同曲は、東京でのオリンピック開催が決定した翌年の2014年に、手島が「KEI-KO TOKYO」名義でYoutubeにアップした動画「KEIKO TOKYO 2020」がオリジナル。当時はボーカロイド、初音ミクのボーカルで制作されたものが、2020年を迎えるタイミングでインターネット配信用にリメイクされた。このニューバージョンでは最新のAIリアルタイム声質変換ソフトウェア「Voidol(ボイドル)」のキャラクター「音宮いろは」をボーカルに起用し、80年代テクノポップ風のサウンドにキャッチーなメロディと歌詞が印象に残る2020年のアニバーサリーソングとなっている。


Voidolとは初音ミクなどのボーカロイドとは違い、鍵盤で音程を打ち込むことなく特定のキャラクターにリアルタイムで声質を変換するソフト。この数年、急激に増加しつつあるVチューバー(バーチャル・ユーチューバーの略語)に向けたアプリケーションとして知られていたが、今回初めて楽曲に使用された。

AIリアルタイム声質変換技術の開発の元となったのは、声を失った人が過去の自分の声のアーカイブからその声を再現することを目的に医療用に研究されていたもの。必要な音声データさえそろえば、機械学習によりリアルタイムで男女関係なく声質変換できるという。誰でも憧れの人の声で歌える時代が来るかもしれないという“妄想”が現実になりつつあるわけだ。

エレクトロニックミュージックシーンのエフェクト・ボイスの人気やNHKの放送で話題を集めた美空ひばりのAI歌唱など、2020年代は“声”の進化がさらに進みそうだ。
編集部
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