野宮真貴が語るピチカート・ファイヴの普遍的な魅力【interview】

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2019.11.06



――ファッションについてもお聞きしたいです。ピチカート・ファイヴ時代から日本のみならず海外でも活動してきた野宮さんからみて、東京のファッションの特徴はどのように感じますか?

東京はお洒落の平均値が高いですよね、特に若い女性はみんなお洒落に関心が高いですし、素敵に着こなしていると思います。でも、個性があるかというと残念ながらそうではない。お洒落はその人のライフスタイルが反映されるものだから、もっと自由でいいと思いますね。年齢を重ねた女性は、お洒落から遠ざかってしまいがちですが、決して女性として魅力的であり続けることをあきらめないこと。赤い口紅を塗るだけでも、見違えるので是非トライしてみてください。フランスのマダムのようにね(笑)。

――過去のインタビューでは、「自分の好きなファッションを楽しむためには、客観的な視線を持つこと」「街を通り行く人も、パーティーでお会いする人も、とにかくよく観察しています」とおっしゃっていました。そんな野宮さんから見た、ファッションの変化について伺いたいです。

年齢を重ねるにつれて、自分の好きなもの、似合うスタイルが確立されてきますね。今は、あまりトレンドに影響されることはなくなりました。自分を客観的に観察すると、今まで自信を持ってきていた服が似合わなくなったり、逆に今まで似合わなかった色がしっくりきたり、微妙な変化に気づきます。その変化に対応していくことが大切。人をつい観察してしまうのは、素敵な人も、残念な人も、どちらもお手本になるから。若い頃はお金もないし、欲しい服もなかなか手に入らなかったけれど、今はファストブランドで、すぐにトレンドを取り入れることもできますよね。上手に利用すれば、それはそれで良いけど、信頼の出来るお店で対話をしながら、本当に似合う服と出会うことも大事だと思います。

――ファッションのトレンドについてはいかがでしょうか? ある程度同じようなサイクルで回っていくものとよく言われていますが。

私もそう思います。80年代や90年代リバイバルなどと言われているようなスタイルを見ると、懐かしくもありますし、同時に新しく刺激的な部分も感じられます。ただ、実際にその時代を知る私にとっては、その当時の記憶が呼び起こされて複雑な気持ちにもなりますね。

――11月には「野宮真貴、ピチカート・ファイヴを歌う。」と題したライブも決まっています。今作のリリース後のタイミングとだけあって、ファンも野宮さんもこれまで以上に想いがこもったものになるのではないでしょうか。

そうですね。今回はピチカート・ファイヴの曲だけを歌います。全曲ピチカートの曲だけでライブをするというのは、解散以来初になると思います。ピチカート・ファイヴの野宮真貴ではなく、今の私が、ピチカート・ファイヴの名曲を21世紀のスタンダートナンバーとして新鮮な気持ちで届けたいと思っています。衣装も当時のイメージを残しつつ進化したものを考えていますので、当時ファンだった方も、若い方にも、音楽とヴィジュアル両方でも楽しんで頂けると思います。

――やはりファッションと音楽は切っても切り離せない関係にあると。

はい。私にとっては絶対に切り離せない関係です。渋谷系って、お洒落だからこそ、「流行りのお洒落な音楽」みたいに捉えられていたけど、「お洒落で何が悪い」という気持ちもありました。お洒落で、カッコいい音楽をやる。それが私たちにとってはとても重要なことだったんです。

――ちなみに、息子さんは現在20代前半ですよね。息子さんの音楽やファッションに対する接し方を見ていて何か感じることはありますか?

息子は私の影響なのか、今でもCDを買ってきたりします。ファッションも好きで楽しんでるようですが、「それはちょっと……」というコーディネートの時は何も言わず、良い時だけ褒めるようにしてます(笑)。若い時はできるだけ冒険した方がいいですから。

――色々なところで聞かれていることだとは思うのですが、2020年になろうかという今、改めて渋谷系という潮流とは何だったのか、何が特殊だったのかを、野宮さんご自身はどのように考えますか?

当時、“渋谷系”と言われても、当の本人たちは正直ピンときてなかったんですけどね(笑)。

渋谷系と呼ばれるミュージシャンたちに共通していたのは、60年代を中心とした過去の素晴らしい音楽や映画、デザインやファッションなどのカルチャー全般の影響を受けていること。その自分たちのルーツに対する愛を存分に表現していたっていうことだと思います。そうやって、自分たちのバックグラウンドにある様々なカルチャーへの入り口みたいな役割を果たしたんだと思います。あとは、アートディレクターの信藤三雄さんが手がけたアートワークも含めて、そういったスタイリッシュなカルチャーを、東京から発信していたということも大きかったと思います。それで海外からも注目されて、ピチカートの曲がパリコレで流れたり、「プレタポルテ」をはじめ映画に起用されたり。今回の7インチ・ボックスセットや、ベスト・アルバムを通じて、当時ファンだった方はもちろん、若い世代の方にもピチカートの音楽を通して、ピチカートが愛した音楽も発見してほしいですね。


【プロフィール】
野宮真貴(のみやまき)
昭和35年、北海道生まれ。90年代にピチカート・ファイヴ3代目ヴォーカリストとして、一世を風靡した「渋谷系」ムーブメントを国内外で巻き起こし、音楽・ファッションアイコンとなる。 2019年はソロデビュー38周年を迎え、音楽活動に加えヘルス&ビューティーのプロデュース、エッセイストなど多方面で活躍中。11/26より「野宮真貴、ピチカート・ファイヴを歌う。」ビルボードライヴ東名阪ツアーを予定。11/7『おしゃれはほどほどでいい』の文庫版が発売予定。ソロアルバム「野宮真貴 渋谷系ソングブック」発売中。

【問い合わせ】
日本コロムビア株式会社
https://columbia.jp/
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