「ウィメンズウエアのようなメンズウエアで何がいけない」byトム ブラウン【2019-20秋冬メンズ】

2019.02.25
トム ブラウン(Thom Browne)の2019−20年秋冬メンズコレクションが1月19日、パリで発表された。

フランス全土で毎土曜日に行われる黄色いベスト運動(mouvement ‘Gilets jaunes')のデモの影響で、交通機関が制限され、パリ中心部では道路が封鎖。そのため直前のショーから移動するカメラマンやプレスを乗せたバスが到着せず、ショーの開始は予定時間よりかなり遅れた。会場は床から椅子、壁まですべて梱包資材のエアパッキンで覆われ、カメラマンは白衣を着用して開始を待つというトム ブラウンらしい趣向を凝らしたもの。ただ、息を切らせて会場入りしたプレス関係者は、その全体像が分からないままのショーのスタートとなったことだろう。


最初のシーンに登場したモデルはその梱包資材で作られた透明のワンピース。ボディにフィットさせたエアパッキンのロングドレスである。コーディネートされたハット、グローブまで同様のエアパッキン、シューズは白のストラップパンプスのモデルたちが続く。エアパッキンのアイテムジャケットパンツ型のバッグ、へクター・バッグにまで及んだ。それはまるで昨年秋に、同ブランドの買収が発表されたゼニアへの引っ越しを報告しているかのようだ。



すべてのルックはウエストがシェイプされ、ショルダーが強調されている。全ルックの半分以上がスカートにヒール。膝下丈のタイトにシェイプさせたドレススタイルのため、モデルの歩幅は一様に小さい。美しいテーラードの技法、計算されたグレートーンは従来のトム ブラウンと何ひとつ違いがない。ただ、そのジャケットやコートはトロンプルイユになったドレスであったり、アシンメトリーにワンピースがくっ付いていたり、さまざまな技法でパーツやアイテムがハイブリッドされている。ヘムラインはシャツやジャケットの袖や襟元が、アイコンのトリコロールのテープとともに造形を描く。勿論、トム ブラウンを象徴するクロップ丈のパンツスタイルも登場するが、足元は白の短めのソックスにストラップヒールでまとめられている。

2018年春夏からスカートにハイヒールというルックを発表しているトム ブラウンは、昨年インタビューしたときに「皆にオープンマインドで見て欲しいんだ」と話していた。今シーズンのプレスリリースには「ウィメンズウエアをメンズウエアにして何がいけない。ウィメンズウエアのようなメンズウエアで何がいけない」。そうコメントされている。



Text by Tatsuya Noda

野田達哉
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