エルメス、ムーブするメゾンのヘリテージ【2018-19秋冬ウィメンズ】

2018.03.08
ナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキー(Nadège Vanhée-Cybulski)によるエルメス(HERMÈS)は、ヴィクトール・デュリュイ高校の庭に建てられた特設会場を舞台に2018-19年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。会場は半屋外だったが、客席にはヒーターがめぐらされ、さらに各自にウールのブランケットが配布された。

エルメス2018-19年秋冬ウィメンズコレクション / Photographer Jean-François José
メゾンのコードを様々なアプローチで表現することがナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキーによるコレクションの大きなコンセプトであり、今シーズンは特にエルメスのアイコンであるレザーに焦点を当てている。

夕暮れ時を狙ってドラマティックにショーがスタート。ウエストを左右3のラインでマークしたカーフレザーのコートには、バッグ「Verrou」(フランス語で差し金の意)のチェーンのディテールを配し、レザーのシャツドレスにはバッグ「Piano」のメタルパーツを打ち、シルクプリントのワンピースや、ブランケットステッチのダブルフェイスウールカシミアジャケットにはバッグ「Medor」のスタッズをモチーフにしている。キルティングジャケットのステッチや、背負うスタイルのミンクの付け襟を合わせたブルゾンなどにも、よく見ると「Medor」のスタッズの様にダイヤモンド型が見えてくるのが興味深い。その他にも、繊細なビーズ刺繍を配したウエスタンシャツや、「Medor」のスタッズ型に仕上げたレザーボタンを配したコーデュロイ風カットミンクのコートなど、どれも目を引くアイテムばかり。

素材、ディテール、カッティング、それぞれにエルメスらしさを持たせ、各ルックを完成形に導く手法は、ナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキーの得意とするところだが、今シーズンは今まで以上にエルメスらしさとモダニティーを感じさせ、インテリジェントな印象を与える内容となっていた。
Tomoaki Shimizu
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