東京で本格デビューした砂川卓也によるmister it.

2017.10.28
東京を拠点とする様々なデザイナーたちをメインに、数々のドラマが繰り広げられた2018年春夏東京コレクションショーウィークが幕を閉じた。引き続きその翌週からスタートした東京での展示会にて日本初ローンチした、それらのブランドとは少し異なるアプローチで独自の世界観を提示するブランドがあった。パリにてメゾン マルタン マルジェラ(現メゾン マルジェラ)でデザイナーの経験も持つ砂川卓也に(イサガワタクヤ)よるウィメンズブランド・ミスター イットmister it.)だ。
「ちょうどいい非日常を提案する」をコンセプトに掲げるミスター イットは、都内のビルの一室(30日まで開催中)にて、個展形式で2018年春夏シーズンに向けた展開としてコレクションを発表。今回が、日本で初めての格的なお披露目の場となる。テーマは「その時、感じている空気やムード」をシーズンごとに表現すること。具体的に言えば、デザイナー自身と関わりのある“ある人”に贈る感謝やちょっとした心遣い、ともに過ごしたシーンがインスピレーション源。要は、人(や、もの)へのリスペクトがデザインソースになっている。例えば、いつも斜め掛けの鞄を愛用するワンピースの肩にはダメージ軽減のためにちょうどいいリブを、初対面の人と名刺交換の場が多いシャツの袖口には話のネタになるよう♥マークの刺繍を、抱きかかえた赤ちゃんの頬があたる肩には肌触りの良い素材を、といった非常にハートフルな具合だ。

先述のアイテムは、量産することを目的にした一つのラインとして展開。一方もう一つのラインとして、ヴィンテージのファブリックなど希少な素材や特殊なディテールを用いた数量限定アイテムを展開する計2ラインでコレクションは構成される。後者のラインのそれぞれのアイテムには、ある部分に一枚の紙製のトランプが縫い付けられており、「洗わずに大事に着てもらいたい」という思いが込められている。

コレクションに内包するエッセンスは一見コンセプチュアルであるが、忘れてはならない人やものに対するリスペクトと、ファストファッションが横行する現代において、ものに愛着を持ち大切にするというシンプルなメンタリティーに基づいた表現はとても軽やかで、リアルな日常の中ですっと腑に落ちる。

編集部
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