モリー・ゴダードによって再定義される“かわいい”の概念【2018春夏ウィメンズ】

2017.09.20

9月16日、モリー・ゴダード(Molly Goddard)が2018年春夏コレクションを発表した。彼女はロンドンで最も輝かしい新たな才能の一人と目されているウィメンズデザイナー。セントラル・セント・マーティンズ在学中の2014年にブランドを立ち上げてからわずか3年のうちに、ファッション・アワード(Fashion Awards)の若手デザイナーの登竜門ブリティッシュ・エマージング・タレント(British Emerging Talent)部門に2年連続ノミネートされて2度目に受賞を果たし、今年度のLVMHプライズのファイナリストにも選出された。おとぎの国から飛び出してきたかのような、チュールとタフタを多用したフェアリーなドレスがシグネチャー。「ピンク色でフリルのついた服だって、力強いし、かっこよくなれる。既存の“かわいい”という概念を覆せるのか、試しているの」と自身のブランドについて語った。ジーンズ、フーディ、スニーカースタイリングされた数々のルックは、奇妙なバランスで退廃的な美しさを持つ。それらはほぼ全て、手作業で作られるという技術の高さも、評価されている理由の一つ。

そんな彼女が描く今季のコレクションは、よりリラックスして安心感に満ちている。コレクションノートには「私の主治医は“飲酒に注意するように”と言った。今、私は鏡の前で飲んでいる」とストーリー設定が一行書かれており、ファーストルックはウィスキー片手にタバコをくわえる、真っ白なドレスに身を包んだ女性が酔ったような心もとない足取りで登場。日本アーティストのテイ・トウワ(TOWA TEI)の『Technova』のBGMとともに、観客は彼女の世界へと一気に引き込まれた。ウエストから大きな膨らみを持った少女のようなドレスは、ヴィンテージ風のダボダボとしたブーツと対照的でありながら、互いに引き立て合っているようにも見える。これまでのコレクションよりもチュールのフワフワとしたドレスは少なく、その分コットンギャザー、オーガンジー、スパンコールなど新たな生地による巧みなシルエットも披露した。

ショー後、バックステージでは自身の洋服に身を包み、シャンパンで祝杯をあげる彼女の姿があった。リラックスしたその様子はコレクションに登場した女性像そのもの。ブランドが彼女の写し鏡だとすると、弱冠27歳の女性の内面の変化に伴うブランドの成長も、楽しみでならない。
ELIE INOUE
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