【対談:ファッション×IT】vol.2中山路子(ミュベール・デザイナー)×富永勇亮(WEBプランナー)

2013.05.20

中山路子ファッションデザイナー


――アナログという意味では、ファッションデザイナーの方々って、その最たるものか、と感じますが。

中山:ええ、確かにファストファッションなどと比べると、もう、私達は先進国に憧れ中…といったところかな(笑)。

富永:必要ない感じですか?

中山:そんなことありません、必要です。インターネットでの買い物がこれだけ一般的になっている中で、お店で買うのと同じように、会話ができる関係というか、長く関係の続く顧客になってもらうようにするにはどうしたらいいか、うーん…難しいですよね。
インターネットでモノを買うという部分がもっとグレードアップしていかないといけないなと思います。先ほどのミュージックビデオゲーム(vol.1参照)でメッセージを送信する側と、受け取る側の体験みたいに、バーチャルかもしれないけれど何かが残る間柄、絆的なものが、買う上ではすごく必要なんじゃないか、と。

——他方で、コレクションのテーマを考えたりする上で、インターネットから情報を得るという必要性は感じませんか?

中山:コレクションのイメージは、大体、前のシーズンが終わると次はこうしようというのが頭の中にほわんと浮かんできて、それを具体化していきます。そのほわんとした中にはきっと、ふだん見ているニュースだったり、社会情勢だったり、あるいはインターネットで見た内容だったり、だと思います。特定の何かからインスピレーションを感じるというのではなく、生活の中で経験したこと、感じたこと、思ったこと、社会の様子や空気感が次のアイデアの源になっているんでしょうね。

富永:インターネットはあくまでもツールですが、やはり影響力はあります。確かに世の中の気分は大きく左右されていますね。

中山:ファッションも当に多様化しています。何でも調べられるし、どんなことでも疑似体験ができるという世の中では、自分の頭にあるイメージとのミックスでいろいろとファンタジーをつくったり、仮想旅行だったり仮想なんとかができます。だから日本人の作品、海外の作品という垣根もどんどんなくなっていて、言葉や文化は違うけど人間として作っている服、というように国も人種も関係なくなってきているのが、おもしろいなと思っています。80年代みたいに日本人が作るオリエンタル、というようなものがどんどんなくなってきていて、それがインターネットを通して世界のどこでも生まれてくる。競争も激しいけれど、おもしろい。自由で開放的だと感じています。…午前11時にこういう話は恥ずかしいですけど(笑)。
飯塚りえ
  • ミュベールのデザイナー、中山路子さん
  • AID-DCC Inc.富永勇亮さん
  • ミュベール13-14AWコレクション
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