都市において、誰もが気軽に立ち寄れる場所は年々少なくなっています。カフェや商業施設は増え続ける一方で、世代や国籍、職業を問わず同じ空間を共有できる場所は決して多くありません。そんな中、2026年7月7日、東新宿に「黄金湯 新宿」がグランドオープンします。
photo by ©FASHION HEADLINE
これは単なる新しい銭湯の誕生ではありません。1938年創業の老舗銭湯「金沢浴場」を継承し、現代のライフスタイルや都市環境に合わせて再構築したプロジェクトです。設計を手掛けたのは、2025年大阪・関西万博パビリオンや東急歌舞伎町タワーなどで知られる建築家・永山裕子氏。そこには、銭湯という日本文化を未来へ受け継ぐための建築、コミュニティ、そしてウェルビーイングへの新たな提案がありました。
黄金湯 新宿の前身となる金沢浴場は、1938年に「沢の湯」として創業しました。時代とともに「金沢湯」「金沢浴場」へと名前を変えながら、東新宿の人々の日常を支えてきた銭湯です。1973年にはマンション型銭湯として再建築されましたが、築50年以上が経過し、設備の老朽化は限界を迎えていました。
旧金沢浴場の外観 | Courtesy of KOGANEYU
しかし今回のプロジェクトは、古い建物を取り壊して新しい施設をつくるものではありません。むしろ、残すべきものを見極めながら未来へつなぐ試みでした。
黄金湯 新宿を象徴する空間が、施設の中心に設けられた「番台エリア」です。かつて銭湯の入口、コインランドリー、事務所として使われていたスペースを一体的に改修。島型の番台カウンターを中心に、中庭を囲むような構成となっています。
イメージパース | Courtesy of KOGANEYU
番台は受付機能だけではありません。湯上がりにドリンクを楽しめるバーであり、DJブースであり、人々が待ち合わせをし、語り合う場所でもあります。中庭へ向かって開かれた空間は、かつての銭湯文化を継承しながらも、現代の都市における新しいコミュニティスペースとして設計されています。
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さらに、下駄箱の鍵にはクラウドファンディング支援者の名前が刻まれています。目標300万円に対し約1,500万円、1,942人もの支援者が集まった今回のプロジェクト。その名前は、施設を支えた人々の存在を日常の風景の中に刻み続けます。
永山裕子氏が手掛けた建築で印象的なのは、「新しくすること」よりも「継承すること」に重きが置かれている点です。改修前には切妻屋根だった浴場空間は、創業当初のR天井へと復元されました。天井には照明器具を見せず、壁面からのアッパーライトによって柔らかな曲面を浮かび上がらせています。
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浴場全体を包むグリーンのトーンも特徴的です。タイルの緑と白い目地のコントラストが美しく、光と影の表情を際立たせています。
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さらに、金沢浴場の象徴でもあったモザイク壁画は可能な限り保存。欠損部分はAI技術を活用して補完しながら修復が行われました。
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古いものをそのまま残すのではなく、新しい技術を重ねながら継承する。その姿勢は、この施設全体を貫く思想にも通じています。
サウナエリア「THE CAVE」では、男女それぞれ異なる体験が用意されています。男性サウナ「THE ABYSS」は溶岩タイルによって蓄熱された空間で、オートロウリュによる深い没入感を演出。
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女性サウナ「THE COCOON」は、名前の通り繭に包まれるような柔らかな空間で、セルフロウリュを楽しむことができます。
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どちらも曲線を多用した有機的なデザインで統一されており、浴場建築との連続性を感じさせます。
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地下水を利用した13〜15度の美泡水風呂や外気浴スペースも備えられ、都心にいながら静かなリセットの時間を過ごせる空間となっています。
黄金湯 新宿では、環境への配慮も大きなテーマとなっています。施設には太陽熱給湯システムを導入。屋上の集熱器で太陽熱を集め、浴場やシャワーで使用するお湯を温めています。太陽光発電による電力利用ではなく、熱そのものを直接活用する仕組みは高い効率性を持ち、CO₂排出量やエネルギーコストの削減にも貢献します。この取り組みは、民間企業として初めて東京都の助成承認を受けた事例でもあります。
太陽熱機器 イメージ | Courtesy of KOGANEYU
銭湯文化を残すことと、持続可能な運営を両立させる。その挑戦は、これからの銭湯のあり方を示しているようにも見えます。
東新宿は、歌舞伎町、新大久保、オフィス街が隣接する、多様な文化が交差するエリアです。日々多くの人が行き交う一方で、少し路地へ入ると住宅街が広がり、人々の暮らしの気配が残っています。黄金湯 新宿が目指したのは、そんな街の中に「日常へ還る場所」をつくることでした。
photo by ©FASHION HEADLINE
銭湯、サウナ、クラフトビール、DJ、そして中庭。それらは個別のコンテンツではなく、人々が緩やかにつながるための装置として機能しています。
黄金湯 新宿は、単なるリニューアル銭湯ではありません。それは、失われつつある公共空間を現代の都市に取り戻そうとする試みであり、ウェルビーイングを身体だけでなく、街との関係性から捉え直すプロジェクトなのかもしれません。
photo by ©FASHION HEADLINEこれは単なる新しい銭湯の誕生ではありません。1938年創業の老舗銭湯「金沢浴場」を継承し、現代のライフスタイルや都市環境に合わせて再構築したプロジェクトです。設計を手掛けたのは、2025年大阪・関西万博パビリオンや東急歌舞伎町タワーなどで知られる建築家・永山裕子氏。そこには、銭湯という日本文化を未来へ受け継ぐための建築、コミュニティ、そしてウェルビーイングへの新たな提案がありました。
1938年から続く銭湯の記憶
黄金湯 新宿の前身となる金沢浴場は、1938年に「沢の湯」として創業しました。時代とともに「金沢湯」「金沢浴場」へと名前を変えながら、東新宿の人々の日常を支えてきた銭湯です。1973年にはマンション型銭湯として再建築されましたが、築50年以上が経過し、設備の老朽化は限界を迎えていました。
旧金沢浴場の外観 | Courtesy of KOGANEYUしかし今回のプロジェクトは、古い建物を取り壊して新しい施設をつくるものではありません。むしろ、残すべきものを見極めながら未来へつなぐ試みでした。
番台を“都市の広場”へ
黄金湯 新宿を象徴する空間が、施設の中心に設けられた「番台エリア」です。かつて銭湯の入口、コインランドリー、事務所として使われていたスペースを一体的に改修。島型の番台カウンターを中心に、中庭を囲むような構成となっています。
イメージパース | Courtesy of KOGANEYU番台は受付機能だけではありません。湯上がりにドリンクを楽しめるバーであり、DJブースであり、人々が待ち合わせをし、語り合う場所でもあります。中庭へ向かって開かれた空間は、かつての銭湯文化を継承しながらも、現代の都市における新しいコミュニティスペースとして設計されています。
photo by ©FASHION HEADLINEさらに、下駄箱の鍵にはクラウドファンディング支援者の名前が刻まれています。目標300万円に対し約1,500万円、1,942人もの支援者が集まった今回のプロジェクト。その名前は、施設を支えた人々の存在を日常の風景の中に刻み続けます。
過去と未来を重ねる建築
永山裕子氏が手掛けた建築で印象的なのは、「新しくすること」よりも「継承すること」に重きが置かれている点です。改修前には切妻屋根だった浴場空間は、創業当初のR天井へと復元されました。天井には照明器具を見せず、壁面からのアッパーライトによって柔らかな曲面を浮かび上がらせています。
photo by ©FASHION HEADLINE浴場全体を包むグリーンのトーンも特徴的です。タイルの緑と白い目地のコントラストが美しく、光と影の表情を際立たせています。
photo by ©FASHION HEADLINEさらに、金沢浴場の象徴でもあったモザイク壁画は可能な限り保存。欠損部分はAI技術を活用して補完しながら修復が行われました。
photo by ©FASHION HEADLINE古いものをそのまま残すのではなく、新しい技術を重ねながら継承する。その姿勢は、この施設全体を貫く思想にも通じています。
“洞窟”をテーマにしたサウナ空間
サウナエリア「THE CAVE」では、男女それぞれ異なる体験が用意されています。男性サウナ「THE ABYSS」は溶岩タイルによって蓄熱された空間で、オートロウリュによる深い没入感を演出。
photo by ©FASHION HEADLINE女性サウナ「THE COCOON」は、名前の通り繭に包まれるような柔らかな空間で、セルフロウリュを楽しむことができます。
photo by ©FASHION HEADLINEどちらも曲線を多用した有機的なデザインで統一されており、浴場建築との連続性を感じさせます。
photo by ©FASHION HEADLINE地下水を利用した13〜15度の美泡水風呂や外気浴スペースも備えられ、都心にいながら静かなリセットの時間を過ごせる空間となっています。
銭湯を未来へつなぐ仕組み
黄金湯 新宿では、環境への配慮も大きなテーマとなっています。施設には太陽熱給湯システムを導入。屋上の集熱器で太陽熱を集め、浴場やシャワーで使用するお湯を温めています。太陽光発電による電力利用ではなく、熱そのものを直接活用する仕組みは高い効率性を持ち、CO₂排出量やエネルギーコストの削減にも貢献します。この取り組みは、民間企業として初めて東京都の助成承認を受けた事例でもあります。
太陽熱機器 イメージ | Courtesy of KOGANEYU銭湯文化を残すことと、持続可能な運営を両立させる。その挑戦は、これからの銭湯のあり方を示しているようにも見えます。
都市の中の“日常へ還る場所”
東新宿は、歌舞伎町、新大久保、オフィス街が隣接する、多様な文化が交差するエリアです。日々多くの人が行き交う一方で、少し路地へ入ると住宅街が広がり、人々の暮らしの気配が残っています。黄金湯 新宿が目指したのは、そんな街の中に「日常へ還る場所」をつくることでした。
photo by ©FASHION HEADLINE銭湯、サウナ、クラフトビール、DJ、そして中庭。それらは個別のコンテンツではなく、人々が緩やかにつながるための装置として機能しています。
黄金湯 新宿は、単なるリニューアル銭湯ではありません。それは、失われつつある公共空間を現代の都市に取り戻そうとする試みであり、ウェルビーイングを身体だけでなく、街との関係性から捉え直すプロジェクトなのかもしれません。
【INFORMATION】
黄金湯 新宿
所在地:東京都新宿区新宿7-22-11
アクセス:
東京メトロ副都心線・都営大江戸線「東新宿駅」より徒歩5分
グランドオープン:
2026年7月7日
営業時間:
12:30〜翌9:30
定休日:
第1・第3火曜日
黄金湯 新宿
所在地:東京都新宿区新宿7-22-11
アクセス:
東京メトロ副都心線・都営大江戸線「東新宿駅」より徒歩5分
グランドオープン:
2026年7月7日
営業時間:
12:30〜翌9:30
定休日:
第1・第3火曜日











































