「1 Hotel Tokyo」──都市を自然へと接続する、新しいラグジュアリーのかたち

Apr 7, 2026
2026年3月、東京赤坂に開業した「1 Hotel Tokyo」。開業から約1ヶ月が経過した今、その空間が提示する価値は、徐々に輪郭を帯びてきています。単なる新規ホテルとしてではなく、都市における自然のあり方、そしてラグジュアリーの意味を改めて考えさせる存在として受け取ることもできそうです。

photo by ©FASHION HEADLINE
都市における“自然”の再考
「1 Hotel Tokyo」は、自然から着想を得たラグジュアリーを掲げるブランド「1 Hotels」による日初のホテルです。その空間は、植物や自然素材を取り入れるだけでなく、人と自然の関係性を空間として再構成するバイオフィリックデザインに基づいて設計されています。

photo by ©FASHION HEADLINE
約5,600㎡の緑地を含む複合開発の中核に位置するこのホテルは、都市の中に自然を持ち込むというよりも、都市と自然の関係を緩やかに接続していくような構成を持っています。

photo by ©FASHION HEADLINE
上昇するランドスケープ
このホテルの体験は、地上から始まる動線そのものに組み込まれています。エントランスのグリーンウォールを抜け、エレベーターで上昇していくプロセスは、どこか木の幹を登るような感覚を伴います。そして38階のロビーに到達すると、植物によるインスタレーションや再生木材、大谷石などが組み合わされた空間が広がり、樹冠(キャノピー)に身を置くような印象を与えます。

photo by ©FASHION HEADLINE
その先に続くラウンジでは、石や砂利、植栽によって構成された静かな空間が広がり、都市の中にありながら時間の流れが緩やかに感じられる設えとなっています。こうした一連の構成は、単なる移動ではなく、環境へと身体を馴染ませていくプロセスとして機能しているようにも見えます。

photo by ©FASHION HEADLINE
素材と日本的感性
館内には、日本の職人文化や素材への感覚を想起させる要素が随所に取り入れられています。再生木材や漆喰、砂目調の壁面、大谷石といった自然素材は、その質感を活かしたかたちで用いられています。

photo by ©FASHION HEADLINE
また、壁際に連なる砂利のラインは、日本の渓流を思わせる穏やかなリズムを生み出し、空間に静けさをもたらしています。これらのディテールは、日本の「侘び寂び」に通じる美意識を、現代的な空間として再解釈したものとも捉えられます。

photo by ©FASHION HEADLINE
滞在という身体的体験
全211室の客室は、自然との関係を感じさせる設えを基調としています。植物を取り入れた空間構成や、オーガニックコットンのリネンヨガマットやフォームローラーといったウェルネス設備など、滞在者の身体感覚に働きかける要素が随所に組み込まれています。

photo by ©FASHION HEADLINE
また、ローカルプロダクトを中心としたミニバーや、リサイクル可能なカプセルを使用したコーヒーシステムなど、細部に至るまで体験の一貫性が保たれています。こうした設計は、宿泊という行為を単なる機能から、時間の過ごし方そのものへと広げているようにも感じられます。

photo by ©FASHION HEADLINE
サステナビリティという体験
このホテルにおけるサステナビリティは、理念として掲げられるだけでなく、具体的な体験として組み込まれています。例えば、客室に設けられた浄水システムによって使い捨てプラスチックの削減が図られているほか、紙のメモ帳の代わりに黒板を用いるなど、環境への配慮が日常の中に自然に組み込まれています。こうした取り組みは、制約としてではなく、滞在の質を損なわないかたちで成立している点も印象的です。

photo by ©FASHION HEADLINE
赤坂という場所
赤坂は、ビジネス、外交、文化が重なり合う東京の中心に位置するエリアです。その都市的な密度の中にありながら、「1 Hotel Tokyo」は、どこか余白のような感覚を持つ場所として機能しているようにも見えます。皇居外苑や東京タワーを望む眺望とともに、都市のスケールを俯瞰する視点が与えられることで、日常とは異なる時間の流れが生まれます。

photo by ©FASHION HEADLINE
ラグジュアリーのあり方
ここで示されているラグジュアリーは、装飾や過剰さとは少し異なる方向にあります。自然との関係、素材の扱い方、そして時間の使い方。それらをどのように組み合わせるかによって、空間の価値が立ち上がっていくようにも感じられます。

「1 Hotel Tokyo」は、都市におけるラグジュアリーのあり方を、静かに捉え直す契機となる存在と言えるかもしれません。


photo by ©FASHION HEADLINE

施設概要
1 Hotel Tokyo
所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目17-22
          (東京ワールドゲート赤坂内・赤坂トラストタワー38〜43階)
総客室数:211室
スイート数:24室
客室面積:32㎡〜117㎡(スイート・ペントハウス含む)
開業日:2026年3月



The Editorial Team
Back to Top