チリの建築家スミルハン・ラディックの個展がTOTOギャラリー・間で開催、思考の源と模型で表す現代の寓話集

2016.07.07

建築家スミルハン・ラディックの個展「スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集」が、7月8日から9月10日まで、東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間で開催される。

チリの首都サンティアゴを拠点に独創的な活動を続けるラディックは、近年関心が高まっている南米の現代建築界にあって、独自の世界観で注目を集めている。主な作品に、イギリスロンドンの「サーぺンタイン・ギャラリー・パヴィリオン 2014」や、チリ・ビルチェスの「直角のに捧ぐ家」、サンティアゴの「NAVE-パフォーミング・アーツ・ホール」などがある。

2010年には、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展にインスタレーション作品「魚に隠れた少年」を出品したほか、TOTOギャラリー・間の25周年を記念して開催された展覧会「GLOBAL ENDS-towards the beginning」の7組の建築家のひとりとして、「隠れ家」と題した作品を1,800mm角の展示台の上に提示した。2013年には、銀座メゾンエルメスで、ラディックと同様にサンティアゴを拠点に活動する彫刻家マルセラ・コレアと共に「クローゼットとマットレス」展を開催している。

ラディックは、自身の中にあるチリの原風景やアート作品、お気に入りの童話などにアイディアの源泉を求め、極めて詩的であると同時に、敷地形状や環境に応じ、巨石や樹脂膜など形状の定まらない素材を大胆かつ巧みに構成している。例えば、それは代表作のひとつである「サーペンタインギャラリー・パヴィリオン 2014」が、オスカー・ワイルドの短編『わがままな大男』に着想を得て2010年に試作した模型作品「わがままな大男の家」が発展、作品として結実したことにも見ることが出来る。

「BESTIARY:寓話集」と名づけられた展では、空想上の生き物に見立てた20余りの模型を中心に、ラディックが考える現代の寓話集を提示。さらに、プロジェクトごとにラディックが描き記した70冊にものぼるスケッチブックや、書籍『The Invention of Chile[チリの発明]』に着想を得たという架空の「チリ現代建築ガイド」などが展示される。

イベント情報】
「スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集」
会場:TOTOギャラリー・間
住所:東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
会期:7月8日~9月10日
時間:11:00~18:00
料金:無料
休館日:月曜、祝日、夏期休暇8月6日~8月15日
中村陽介
  • NAVE―パフォーミング・アーツ・ホール(チリ、サンティアゴ/2015年)
  • ビオビオ市民劇場(チリ、コンセプシオン/2011 年~)
  • 直角の詩に捧ぐ家(チリ、ビルチェス/2012 年)
  • スミルハン・ラディック氏
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