「二人三脚で金属と人生を歩む」鎚起銅器職人・渡辺和也【新潟の旅】

2016.07.18
新潟県燕市は、日本一金物産業で栄える町として知られています。

無形文化財にも指定されている鎚起銅(ついきどうき)を200年に渡り、国内で唯一継承する玉川堂や、半世紀に渡り切れ味の良い包丁を追求してきた藤次郎株式会社といった、世界に誇る技術を有す地域のものづくり企業が燕市にはあります。この燕市の地場産業の原点は江戸時代の和釘にはじまりヤスリ、彫金、鎚起銅器と、時代の移り変わりと共に職人たちの技術が受け継がれてきたそうです。

金物の歴史と共にある地に拠点に置く金物を素材にした作品を作る渡辺和也さん。2005年春に自身のアトリエ 鍛工舎を立ち上げて今年で10年、金槌や木槌で金属を打ち延ばしたり打ったりしながら作品を成型する鎚起銅器職人です。

7月20日から2週間、伊勢丹新宿店には、プティローブノアーによるポップアップショップ「Circle of pieces ー プティローブノアーからつながるコトゴト」がオープンします。阿部さんはこのポップアップショップの題材に、自身の故郷である新潟を選びました。店頭には新潟拠点の渡辺和也さんをはじめとする職人さんなどと共に制作に取り組んだ新しいアイテムが展開されるそうです。


今回、渡辺和也さんのアトリエに訪問し、プティローブノアー阿部好世さんとのものづくりの現場に立ち会う機会をいただきました。

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阿部好世さんと渡辺和也さんのクリエーションが生まれる場所。


渡辺さん: 「伝統」は一つの手段であると思っています。伝統工芸品を生み出すというよりも、伝統的な手法というのはあくまでも手法であって、その手法を今の技術とハイブリットしていかなければならないと思っています。

伝統というと消費者の方々は積み重ねられた技術に注視しがちですが、作り手はその一歩先を見て仕掛けるということも重要だと思っています。昔は必要に迫られて生まれた鍛金も、今では工芸文化=装飾文化です。世の中に便利なものは色々あるけれど、鍛金で作られるものには、手癖など手から生まれる歪みなど、視覚的な装飾ではなく直感的に感じられる肌感、温度があると思っています。機械を使えばものはいくらでも量産することができますが、作りすぎない、いいところで手を引くことも大切です。

阿部さん: プティローブノアーのジュエリーも、あえて質感が残る、職人さんの手の跡が残るようなものづくりをしています。これまで綺麗で完璧なものづくりを行ってきている職人さんの方々ですが、「綺麗ではない」という言い方は違いますが、あえて金属の色むらを消さずに残してもらったり、手作業による1つ1つの模様の変化をよしとしたりなど...

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素材を選定する阿部好世さん。


渡辺さん: 言いたい事は分かりますよ、綺麗とか汚いとは言いがたい表現というか言葉にならない感じがあるんですよね。100年前の鉄や鋼も金属が枯れて金味(かなあじ)が出てきます。瞬間的で、最初から最後まで100%で走り抜ける作業の鍛金には、言葉に出来ない直感的なものを作品に入れ込めたらと思っています。

阿部さん: どんな時に金属を打てる、打ちたくなる気分になりますか?

渡辺さん: 車も走っていない静かな夜に取りかかるのが好きです。鼻歌混じりで(笑)空の低い新潟ならではの、曇天はしょぼんとします。独立して今年の3月で10年になるのですが、思い返せばこの仕事が好きなんだと思います。好きじゃないとなかなか出来ないですよね、田園に囲まれるアトリエで一日中金物を叩いているので。

阿部さん: 金属との向き合い方は昔と今とでは変わりましたか?

渡辺さん: 最初は一方向でしたね、自分から金属に挑戦するみたいな感じでした。最近は、例えば素材を擬人化するのであれば、素材が持つポテンシャルや表情を自分の技術でどう引き出してあげられるか?と考えます。昔よりも、きっと二人三脚的な気持ちです。なのでいろんな素材やコトに挑んでみたくなったりします。そんなタイミングで阿部さんからお話をいただきました。

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イラストをトレーにどう落とし込むかを考える渡辺和也さん。



今回のイベントに向けて、真鍮のジュエリートレイが作られました。阿部さんが描いた丸形を渡辺さんが形成したトレイには、ロンドングラフィックアーティストIan Stevensonがプティローブノアーをイメージして描き下ろしたイラストがひとつひとつ手打ちで刻印されています。大小2サイズ、ゴールドとシルバーの2色展開で各10枚限定です。

【イベント情報】
「Circle of pieces ー プティローブノアーからつながるコトゴト」
会期:7月20日~8月1日
場所:伊勢丹新宿館3階=ウエストパーク/プロモーション


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