手作業の仕上げを堪能。スイス高級時計ブランド「ローマン・ゴティエ」の最新鋭のスケルトンウォッチ

2020.08.28

ローマン・ゴティエは今年、ブランド創立15周年を迎えました。ブランドの節目となる年に新作、インサイトマイクロローター・スケルトンを発表します。2005年のブランド誕生以来高い評価を受ける「手作業の仕上げ」をご堪能いただけるモデルです。

作は自社製自動巻きキャリバーをスケルトン化し、高級時計の伝統を重んじた最新鋭のスケルトンウォッチを目指したものです。そのために、ただスケルトン化するだけでなく、受け(ブリッジ)と地板の素材を超軽量チタンへと変更したうえで、それぞれに面取りが施されています。面取りとはスイス時計産業の伝統的な部品の装飾技法の一つで、角を切り落とし、面を整え、磨きあげます。インサイトマイクロローター・スケルトンではムーブメントの面取りだけで250時間以上を費やします。

インサイトマイクロローター・スケルトンはカスタムオーダーモデルです。各国の正規販売店において、お好きなケース素材、文字盤色、面取り面の仕上げなどをお選びいただくことができます。


インサイトマイクロローター・スケルトン ストーリー
インサイトマイクロローターのスケルトン化


技術的観点と美的観点から、すべてのムーブメントがスケルトン化できるわけではありません。ゴティエは次のように述べています。「プレスティージHMやHMSをスケルトン化すると、大きなスペースが空いてしまうため肌が見えすぎてしまいます。逆にロジカルワンはスケルトン化できる部分がほとんどありません。その点、インサイトマイクロローターはスケルトン化に適していると言えます。」

インサイトマイクロローターは自動巻きの三針モデルであり、自社製自動巻きムーブメントは22Kゴールド製の両方向巻き上げのマイクロローターを搭載しています。2つの「受け(ブリッジ)」の間を回転するマイクロローターは文字盤側、ケースバック側双方からご覧いただけます。摩擦を最小限にし、耐摩耗性に優れるルビーベアリングを使用しているため、その動きは滑らかであり音を立てません。また直列に配置された2つの香箱を効率よく巻き上げます。フルに巻き上げた状態で80時間のロングパワーリザーブを有します。ゴティエは次のように表現します。「受け(ブリッジ)の形、テンプやマイクロローターの位置、香箱と歯車のレイアウトから、このムーブメントをスケルトン化することに新たな可能性を感じました、隠れていたディテールが見えることでさらなる感動をもたらすことができるのではないかと。」


素材の選定:超軽量チタン
インサイトマイクロローター・スケルトンは、地板と8個の受け(ブリッジ)がスケルトン化されています。地板と受け(ブリッジ)はこれまで真鍮で作られていましたが、スケルトン化に必要な強度と軽さを確保するためにグレード5チタンを採用、ムーブメントの重量は28gから16gになりました。またグレード5チタンはガルバニック処理をせずとも自然な色味を実現し、手作業で磨きを施すこともできます。ローマンは次のように述べます。

「チタンを理想通りに加工するのは本当に難しいです。一つ一つのパーツの完成には、既存の素材より多くの工程が必要です。機械もすぐにダメになってしまいがちです。火事の危険もあるので夜中に無人で機械を動かすこともできません。そして何よりオペレーターの手腕が問われます、±2ミクロンの範囲内で仕上げなければならないのですから。ほんの少し穴が小さいだけで、時計師が軸受けの石を置いた際にパーツが割れてしまうのです。」


手作業による仕上げの最高峰


チタンを加工することよりも、さらに大変なのが手作業による仕上げです。2005年のブランド誕生以来、高い評価を受ける「手作業による仕上げ」。その代表的なものが面取りです。面取りの美しさは、表面と側面の間の部分に面を作り、その面に磨きを施すことで生まれます。面取りは次のような工程に分かれます。1.スチールのやすりで丸みを帯びた面取りを行う 2.アルミナで面を整える 3.エメリーペーパーを用いて仕上げる 4.ジャンシャン(ジュウ渓谷に自生するリンドウの一種)の茎からできた棒とダイアモンドペーストを使用して磨く

受け(ブリッジ)と地板のスケルトン化は、高いスキルをもつ面取りのチームをもってしても、初めての取り組みばかりでした。まずスケルトン化に伴い、156もの角が生まれました。とくに内側の角は手作業で使う道具が入りにくく、困難を極めました。そしてチタン特有の素材の問題もつきまといました。

ローマン・ゴティエの面取りチームの責任者であるシルヴィー・デヴォ―は次のように述べます。「面取り職人としてのキャリアは17年になりますが、チタンをこれほどまでに用いたムーブメントに携わったのは初めてです。これまで真鍮、スチール、金、洋銀などを扱ってきて、チタンもロジカルワンのコンスタントフォース機構の部分に用いていますが、この部分だけでも手作業での仕上げに約20時間費やします。インサイトマイクロローター・スケルトンは私自身や私のチームにとって、まさに未知への挑戦でした。チタンは、加工はもちろん手作業の仕上げも困難を極めます。真鍮に面取りを施すのに比べ、すべての工程において時間がかかります。時には同じ工程を繰り返さなければなりません。また、小さな粒子が素材に傷をつけ、スポットが残ってしまった時はやり直さなければなりません。

実際、ローマン・ゴティエの面取りのスペシャリストが、インサイトマイクロローター・スケルトンのナチュラルチタン製の地板と8個の受け(ブリッジ)のすべて面取りを施すのに250時間以上かかります。この250時間は純粋に面取りにかかる時間です。

手作業もしくは手で動かす機械を用いるムーブメントの装飾はさらに時間を要します。ハンドフロスティング、サーキュラーグレイン(円形装飾)、スネイル仕上げなどを施し、さらに100時間以上かかります。

シルヴィー・デヴォ―は述べます。「インサイトマイクロローター・スケルトンは精神面のスタミナが試されます。1ヶ月半にわたり、1日8時間集中しなければなりません。マラソンのようなものです。ゴールにたどり着くまで、あらゆる部品の角という角に面取りを施さなければなりません。」

今回のインサイトマイクロローター・スケルトンにおいては従来の面取りの仕上げに加え、面取り面のマット仕上げもお選びいただけます。主張をやや抑えた仕上げの方法であり、スチールのやすりで削り、面を整え、エメリーペーパーで仕上げ、従来の最後の工程を敢えて行わずマットな質感を残したものです。


スケルトンウォッチとなり、新たに見えるディテールの世界
手作業によりスケルトン化された受け(ブリッジ)と地板により、新たなディテールが現れました。


1時位置と3時位置の間には、巻き上げと時刻設定の機構が、S字のネジ頭をもつネジとともに見られます。5時位置にはスネイル仕上げが施された主ゼンマイ、7時位置にはサーキュラーグレイン(円形装飾)が施され、美しく面取りされた円形のアーム。6時位置には鼓動を刻むテンプはまるで浮かんでいるようであり、地板を丸くくり貫いて特徴的な空間が用意された9時位置ではマイクロローターがスイングしています。


シースルーバックからは、ムーブメントをより良く鑑賞することができます。ここでもまた、マイクロローターが主役となり、この装置の両方向回転を可能にする逆転歯車から始まる輪列の動きにトルクを伝達しています。美しく装飾された主ゼンマイと歯車はスケルトン化に伴い、より見えるようになりました。受け(ブリッジ)が描く曲線は、それらに取り付けられた直線状のプレートと完璧なバランスを見せています。

「インサイトマイクロローターをスケルトン化することで、ディテールをより楽しんでいただけるようになったと思います。この時計を着用した人は、歯車をはじめとする動くパーツを見て、ムーブメントを一層楽しむことができます。また、スケルトン化したことで時計にさらなる立体感が出ました。結果として、理想的なスケルトンウォッチができたと思っています。」―― ローマン・ゴティエ


カスタムオーダーモデルとして
お客様と作り上げる時計
インサイトマイクロローター・スケルトンは、カスタムオーダーモデルです。お好きなケース素材、文字盤色、面取り面の仕上げなどをお選びいただきます。これは、中世の西洋貴族文化における「顧客と時計師」のような関係を築き、顧客のオーダーに応えるブランドとしての取り組みの一環です。例えば、ケースは18Kレッドゴールド、18Kホワイトゴールド、プラチナ、ナチュラルチタン、ブラックチタンよりお選びいただけます。


写真のモデルは18Kレッドゴールドケースです。グランフーエナメル文字盤はハンドフロスティングによりマット仕上げが施され、18Kレッドゴールド針、インデックスは白色と金色です。ムーブメントの受け(ブリッジ)と地板は面取り面がマット仕上げです。またマイクロローター、ロゴのプレート、てんぷは金色で統一されています。ストラップはグレーのナチュラルラバーストラップと18Kレッドゴールドピンバックルです。

カスタムオーダーでカスタマイズできるのはケース、文字盤、ムーブメント、ストラップ、バックルと多岐に渡ります。(詳細は次項記載)


インサイトマイクロローター・スケルトン 仕様
機能 および 表示
オフセンター時表示、 分・スモールセコンド表示、自社製自動巻きムーブメント(手作業によりスケルトン化と面取りが施された、ナチュラルチタン製の受け(ブリッジ)と地板)、22Kゴールド製両方向回転マイクロローター、 80時間パワーリザーブを実現するダブルバレル

文字盤 および 針
グランフーエナメル製文字盤、 スケルトン化された時分針、スモールセコンド
【カスタマイズ内容】時分秒針の素材・色、グランフーエナメル文字盤の従来仕上げ/マット仕上げ、ローマ数字/アラビア数字

ムーブメントおよび仕上げ
サイズ:32.1mm × 6.8mm
パワーリザーブ:80時間
石数:33
部品数:206
振動数:毎時28,800回/4Hz
部品の素材:22Kゴールド製マイクロローター、 スチ―ル、 ステンレススチール、 ベリリウム銅、 真鍮、 洋銀
【カスタマイズ内容】受け(ブリッジ)と地板における面取り面のポリッシュ仕上げ/マット仕上げ、プレート上のエングレービング文言

ケース
サイズ:39.5mm × 12.9mm (最も高い位置)
防水性:50m/5気圧
風防およびシースルーバック:内側にも反射防止加工をしたサファイアクリスタル
2時位置に巻き上げおよび時刻調整用リューズ
【カスタマイズ内容】ケース素材(18Kレッドゴールド、18Kホワイトゴールド、プラチナ、ナチュラルチタン、ADLCチタンより選択可)

ストラップ および バックル
【カスタマイズ内容】ナチュラルラバーストラップ/ハンドステッチアリゲーターストラップ(色選択可)、ピンバックル/Dバックル(ケース素材に合わせたものとなります。但し、プラチナケースを選択した場合は、バックル素材は18Kホワイトゴールドとなります。)

価格
18Kレッドゴールドケース:マット仕上げの面取り 1,370万円(+税)~
18Kレッドゴールド:ポリッシュ仕上げの面取り 1,720万円(+税)~
18Kホワイトゴールドケース:マット仕上げの面取り 1,420万円(+税)~
18Kホワイトゴールド:ポリッシュ仕上げの面取り 1,770万円(+税)~
ナチュラルチタンケース:マット仕上げの面取り 1,330万円(+税)~
ナチュラルチタンケース:ポリッシュ仕上げの面取り 1,680万円(+税)~
ブラックチタンケース:マット仕上げの面取り 1,350万円(+税)~
ブラックチタンケース:ポリッシュ仕上げの面取り 1,700万円(+税)~
プラチナケース:マット仕上げの面取り 1,700万円(+税)~
プラチナケース:ポリッシュ仕上げの面取り 2,050万円(+税)~


ローマン・ゴティエ
ローマン・ゴティエはスイス・ジュウ渓谷の高級時計ブランドです。2005年に創業し、2020年はブランド創立15周年を迎えました。創業者であるローマン・ゴティエは、スイス高級時計産業発祥の地であるジュウ渓谷の伝統的な時計作りの継承者であり、同時にエンジニアのバックグラウンドを活かした理論的なアプローチを、伝統的な時計作りと組み合わせることで世界の時計愛好家から高い評価を得ています。2013年にはジュネーブ・ウオッチメイキング・グランプリ(GPHG)のベストメンズコンプリケーション賞グランプリを受賞しました。すべての時計はムーブメントも含めてローマン・ゴティエ本人により設計され、彼の指揮の下、自社工房にて仕上げまで行われます。極めて高いレベルの仕上げを有するのが特徴です。年間生産本数は約60本です。

ローマン・ゴティエ正規販売店
タカシマヤ ウオッチメゾン 東京日本橋
〒103-0027 東京都中央区日本橋3-1-8
TEL 03-3211-4111
営業時間10:00~19:30

カミネ 旧居留地店
〒650-0036 神戸市中央区播磨町49旧居留地平和ビル1
TEL 078-325-0088
営業時間:10:30~19:30



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