イヴ・サンローランの没後日本初となる大回顧展が六本木・国立新美術館で開幕

開催日:2023.09.20-12.11
2023.09.21
国立新美術館(東京六本木)では、モードの帝王、イヴ・サンローランの没後日初となる大回顧展「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」が開幕しました。

オフィスでのイヴ・サンローラン、パリのマルソー大通り5番地のスタジオにて、1986年/© Droits réservés
イヴ・サンローランはクリスチャン・ディオールの急死をうけ、1958年にディオールのデザイナーとして鮮烈なデビューを飾り、1962年からは自身のブランド「イヴ・サンローラン」を発表します。それ以来、2002年の引退まで約半世紀にわたって世界のファッションシーンをリードし、サファリ・ルックパンツスーツ、ピーコートトレンチコートといったアイテムを定着させるなど、女性たちのワードローブに変革をもたらしました。

イヴ・サンローラン、アンヌ=マリー・ムニョス、ピエール・ベルジェ、パリのマルソー大通り5番地のスタジオにて、1977年/© Guy Marineau
本展はイヴ・サンローラン美術館パリの全面協力を得て、没後日本で初めて開催される大回顧展です。わずか21歳で衝撃的なデビューを果たしてから、自身のブランドとして初のコレクションを成功させ、美術作品や舞台芸術、そして日本にも影響を受けながら独自のスタイルを確立するまでの40年にわたる歴史を、ルック110体のほか、アクセサリー、ドローイング、写真を含む262点によって、12章構成で余すところなく紹介しています。



20世紀後半における偉大な才能であるイヴ・サンローランから生み出される、唯一無二でありながら、豪華絢爛な美の世界を間近で堪能できる大変貴重な機会となります。


Photo by FASHION HEADLINE

■会場構成
Chapter 0
ある才能の誕生

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幼い頃、家で絵を描くことが好きだったイヴ・サンローランは、絵本の装丁や挿絵を手掛けた後、ファッションに情熱を傾けるようになりました。1953年、17歳でパリに渡り、コンクールのドレス部門で入賞したことをきっかけに、クリスチャン・ディオールのアシスタントに抜擢されます。1957年にクリスチャン・ディオールが急逝した後、21歳の若さでディオールのチーフデザイナーを務めることとなりました。1958年にはディオールで最初のコレクション「トラペーズ・ライン」を発表し、後継者として熱狂的に迎え入れられます。


Chapter 1
1962年:初となるオートクチュールコレクション

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ディオールで6つものコレクションを手掛け、デザイナーとして成功を収めた後、1961年にピエール・ベルジェらと共にオートクチュールメゾン「イヴ・サンローラン」を設立。翌年に発表された初のコレクションでは、船乗りの作業着に着想を得たピーコートなどを発表し、大きな注目と賞賛を浴びました。


Chapter 2
イヴ・サンローランのスタイル:アイコニックな作品

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イヴ・サンローランの代名詞的存在となったデザインの中でも特に革新的だったのは、紳士服からヒントを得て作られたタキシードやジャンプスーツ、サファリ・ルック、トレンチコートなどです。彼は、紳士服のカットの美しさ、快適さ、実用的な側面を維持しつつ、シンプルさとエレガンスを組み合わせた女性のシルエットを生み出しました。これらの作品の発表は女性解放運動が興隆した時期と重なっていたこともあり、時代の空気と呼応したスタイルは、人気を不動のものにしました。そのほか、ネイビールックなど女性らしくアレンジが施された服装も手掛けました。


Chapter 3
芸術性:刺繍とフェザー

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イヴ・サンローランの作品は、織工、染色、捺染(なっせん)、刺繍、金細工、銀細工など、多くの熟練した職人たちによって支えられていました。長年にわたって受け継がれてきた技術を持つ職人たちと密接な関係を保つことで、展示作品に見られるように極めて精緻なデザインを実現可能にしました。彼の厳格なまでの完璧主義は、一つの作品を完成させるのに、何百時間もの作業を必要としました。


Chapter 4
想像上の

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読書や美術作品の収集によって想像を巡らせる「机上の」旅を通じて、モロッコ、サハラ以南のアフリカロシア、スペイン、アジアといった遠い土地へ抱いた幻想をデザインで表現しました。やがて、鮮やかな色彩や独特な形によって表された「異国情緒」は、イヴ・サンローランの作品にとって不可欠な要素になりました。


Chapter 5
服飾の歴史

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キャリア全体を通じて、イヴ・サンローランはヨーロッパの様々な時代に特徴的な装いを自身のデザインに取り込みました。古代ギリシア・ローマ彫刻がまとっているようなドレスや、中世の装いを思わせるガウンなど、幅広い時代のスタイルを自在にデザインソースとしていることから、過去の服飾の歴史に敬意を払いながらも、自由な創造性を発揮していることがわかります。


Chapter 6
好奇心のキャビネット:ジュエリー

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アクセサリーはイヴ・サンローランの表現にとって非常に重要な要素でした。天然の真珠や宝石に固執することなく、木 材、金 属、ラインストーン、ビーズなどのイミテーションを多用することで、素材の無限の組み合わせを可能とし、想像力と表現の幅を広げていったのです。


Chapter 7
舞台芸術─グラフィックアート

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生きた芸術に魅了されたイヴ・サンローランは、演劇、バレエ、ミュージックホール、映画などの衣装を数多く制作しました。色彩や素材を駆使した絵画的手法と、綿密で生き生きとしたコントラストの強い線から伝わる描画の才能は、本展で展示されるスケッチに色濃く表れています。


Chapter 8
舞台芸術─テキスタイル

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イヴ・サンローランは、オランで過ごした少年時代から演劇や舞台に夢中になりました。カトリーヌ・ドヌーヴ主演の映画『昼顔』やジャン・コクトーの演劇『双頭の鷲』、ローラン・プティが芸術監督を務めたミュージックホールなど、生涯を通して様々な演劇や映画の衣装を手掛けています。


Chapter 9
アーティストへのオマージュ

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イヴ・サンローランは画家や作家など多くのアーティストたちと交流し、彼らの才能へ敬意を払った作品を多く発表しました。特にピカソ、マティス、ブラック、ファン・ゴッホ、ボナールといった過去の画家への強い尊敬と親愛の念は、作品の中でも表現されました。美術作品とファッションの融合は、伝統的なオートクチュールの世界に新風を吹き込んだのです


Chapter 10
嫁たち

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オートクチュールのファッションショーに欠かせないのがフィナーレを飾るウエディングドレスです。イヴ・サンローランは、19世紀の終わりから続く伝統的なガウンの形式と、新しい女性像として斬新なデザインの両方を展開しました。


Chapter 11
イヴ・サンローランと日本

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1963年の来日をきっかけに、イヴ・サンローランは日本の文化や伝統工芸品に魅せられ、その後の創造にも多くの示唆を与えました。一方、彼が発信するスタイルは、日本のファッションやデザインの世界にも様々な影響を及ぼすものでもありました。本章では、イヴ・サンローランと日本の関係を、資料を通して紐解きます。


初来日時のイヴ・サンローラン、1963年4月/© Droits réservés



展覧会実施概要
【展覧会名】イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル Yves Saint Laurent, Across the Style
【会期】2023年9月20日(水)~12月11日(月) 毎週火曜日休館
【開館時間】10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
【会場】国立新美術館 企画展示室1E 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2  https://www.nact.jp
【主催】国立新美術館、産経新聞社、TBS、ソニー・ ミュージックエンタテインメント
【特別協力】イヴ・サンローラン美術館パリ
【特別協力】SAINT LAURENT
【後援】在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、BS- TBS、TBSラジオ
【協賛】SOMPOホールディングス、野崎印刷紙業
【協力】日本航空
【企画協力】Ueki & Associes
【展覧会HP】 https://ysl2023.jp
【お問合せ】050-5541-8600(ハローダイヤル)
【音声ガイド】津田健次郎
編集部
  • 「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 会場入口
  • オフィスでのイヴ・サンローラン、パリのマルソー大通り5番地のスタジオにて、1986年
  • イヴ・サンローラン、アンヌ=マリー・ムニョス、ピエール・ベルジェ、 パリのマルソー大通り5番地のスタジオにて、1977年
  • 初来日時のイヴ・サンローラン、1963年4月
  • 開催ポスター
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