原美術館、名画に扮したセルフポートレイトで知られる森村泰昌の凱旋展を開催

開催日:2020.01.25-04.12
2019.12.06
原美術館では、現代美術家・森村泰昌の展覧会「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020−さまよえるニッポンの私」展を、2020年1月25⽇から4⽉12⽇まで開催する。

映像作品「エゴオブクスクラ」より2020(参考写真)撮影:福永一夫 ©Yasumasa Morimura
名画や映画の登場⼈物あるいは歴史上の⼈物に⾃らが扮するセルフポートレイト作品で知られる森村泰昌。巧みなメイクや⾐装で、時代や⼈種、性別を超えて様々な⼈物に⾃らが成り代わり、制作を通して原作やその背景に独⾃の解釈を加えてきた。1985年に「肖像(ゴッホ)」で鮮烈のデビューを果たし、以降、⼀貫して「私」とは 何かという問いに取り組む森村は、さらに⾃らが脚を⼿がけ⾃演する映像作品や、ライブパフォーマンスへと表現の領域を広げている。

2018年には、ニューヨークのジャパンソサエティーで展覧会「Yasumasa Morimura: Ego Obscura」を開催。その凱旋展と位置づけられる、東京2020展⽤に再編集された映像作品「エゴオブスクラ」と、この映像を⽤いて会期中開催される作家⾃⾝によるレクチャーパフォーマンスを通じて、日本近現代史、文化史に言及する。

「ポートレイト(女優)/駒場のマリリン」1995‒2008 ©Yasumasa Morimura

映像作品「エゴオブスクラ」 には、⽇本⼈の記憶に深く刻まれている昭和天皇とダグラス マッカーサー、あるいはマリリン モンローや三島由紀夫らに扮した森村が登場。1951年、大阪に生まれた森村は、戦前の教えが否定され、日本人に広がった「空虚」が、西洋の価値観で埋められていった時代の日本で教育を受けた。その個人的経験から、やがて「真理や価値や思想というものは(中略)いくらでも自由に着替えることができるのだ。」(映像作品「エゴオブスクラ」より)という発想を導く。

「モデルヌ・オランピア2018」2018 ©Yasumasa Morimura

30年に渡り⻄洋美術史に侵⼊しながら、森村は何を考えて⼈種や性別を超えてきたのだろうか。⾃らの⾔葉で⾃作が⽣まれた背景、そして、そこに込められた思いを語る「エゴオブスクラ」は、ニューヨークでも⼤きな反響を得た。森村は「エゴオブスクラ(Ego Obscura)」という耳慣れない言葉に「闇に包まれた曖昧な自我」という意味を込め、愛情のみでは⽚付けられない⺟国への複雑な感情をにじませながら、セルフポートレイトという形で、「さまよえるニッポンの私」とは何かという命題に挑む。

会期中、作家自身によるレクチャーパフォーマンス「エゴオブスクラ 東京2020バージョン」を実施。スケジュールは、1月25日、26日、2月22日、23日、3月20日、21日、4月11日、12日のいずれも16時から17時まで。事前申し込み制となり、詳細はウェブサイト(https://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/)にて確認を。

戦後⽇本の復興を印象付けた先の東京オリンピックから55年を経た2020年、再び東京でオリンピックが開かれる年に、森村泰昌は「私」とは何かを我々にも問いける。

【展覧会情報】
森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020−さまよえるニッポンの私
会期:2020年1⽉25⽇〜4⽉12日
会場:原美術館
住所:東京都品川区北品川4-7-25
時間:11:00〜17:00(⽔曜は20:00まで、⼊館は閉館時刻の30分前まで)
休館⽇:⽉曜⽇(祝⽇の場合は翌平⽇)
料金:⼀般1,100円、⼤⾼⽣700円、⼩中⽣500円、70歳以上550円※原美術館メンバーは無料
編集部
  • 映像作品「エゴオブクスクラ」より2020(参考写真)撮影:福永一夫 ©Yasumasa Morimura
  • 「モデルヌ・オランピア2018」2018 ©Yasumasa Morimura
  • 「ポートレイト(女優)/駒場のマリリン」1995‒2008 ©Yasumasa Morimura
  • 「なにものかへのレクイエム(MISHIMA 1970.11.25-2006.4.6) 」2006 ©Yasumasa Morimura
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