防災・災害時、Twitterはどう活用された? 初開催の「FUKKO STUDY」【レポート】

2019.12.18
組織を超えた有志が集まる復興支援の団体「FUKKO DESIGN」によるイベント「FUKKO STUDY」が12月1日、Twitter Japan社にて開催された。


日本全国で多発する地震、台風、豪雨といったさまざまな災害に対し、従来の復興支援の在り方を見直す必要があるのではないか。という考えのもと、発起人である河瀬大作(一般社団法人FUKKO DESIGN代表理事、NHKエンタープライズ)氏と木村充慶(一般社団法人FUKKO DESIGN理事、TBWA HAKUHODO)氏により始動した、“復興をデザイン”するプロジェクト「FUKKO DESIGN」。

前回のレポートこちらをチェック。

9月1日のキックオフイベント以来2度目、「FUKKO STUDY」としては初回となる今回は、「防災・災害時に、SNSをどう使う? 」というテーマを掲げ、ゲストスピーカーを招いたトークセッションが行われた。本レポートでは、トークセッションの#1~#3の内容について紹介する。


FUKKO DESIGN代表理事である河瀬大作氏の挨拶から始まり、FUKKO DESIGN設立の経緯や今までの活動について振り返りを語った後、本題に突入ということで、今秋の台風15号、19号の話題に。関東甲信越や東北地方の多くの河川で堤防が決壊し、大きな被害をもたらしたこの歴史的大災害時にFUKKO DESIGNがどのような活動を行い、どのような気付きを得たのか。同じく発起人の木村充慶氏も登壇し、岡氏智美(館山市地域おこし協力隊)氏、明城徹也(JVOAD 事務局長)氏らとともに「CtoCによるボランティア募集」というテーマでトークセッション#1が始まった。

河瀬大作(一般社団法人FUKKO DESIGN代表理事、NHKエンタープライズ)氏
写真:ボラ写プロジェクト

木村充慶(一般社団法人FUKKO DESIGN理事、TBWA HAKUHODO)氏
千葉県の館山市周辺で暴風によるライフラインの停止、屋根瓦の損壊や広範囲に及ぶ倒木といった被災地の状況を目の当たりにした木村氏は、早速、TwitterやFacebookといったSNSと連携した「bosyu」というWebサービスを使用し、ボランティア募集の告知に活用していった。災害が起きた際は通常、その地域のボランティアセンターやNPO団体等を通じてボランティアを募るが、SNSを使うことで、もっと身近に“ボランティアの自分ごと化”がしやすくなるという。また、ユニークな切り口のボランティア募集やSNSからの発信により、いつもとは違う層の人々が集まり“新たなボランティアの創出”が生まれやすく、“被災者との直接コミュニケーション”を取りながら詳細を決める過程で、密なコミュニケーションが生まれる利点があると語った。災害が頻発する中、毎回問題となるボランティア不足の解決策として、このCtoCによる「bosyu」サービスは有効的である。

岡氏智美(館山市地域おこし協力隊)氏、明城徹也(JVOAD 事務局長)氏

続くセッション#2では、荒木健太郎(気象庁気象研究所研究官・雲研究者)氏と白井明子(ローソンプロモーション部シニアマネジャー)氏が登壇した。荒木氏は気象庁に勤務する傍ら、新海誠監督による映画『天気の子』の監修や著書の執筆の他に、SNSを利用した雲や雪の結晶の観測を行っている。SNS投稿によって各地からのデータを集めた市民参加型の「#関東雪結晶プロジェクト」や、気象に興味をもってもらいやすく工夫を凝らした自身のSNS活用方法について語った。

荒木健太郎(気象庁気象研究所研究官・雲研究者)氏、白井明子(ローソンプロモーション部シニアマネジャー)氏
一方、457万人ものフォロワー数を抱えるローソン公式ツイッター(通称、ローソンクルーあきこちゃん)の管理・運営担当の白井氏からは、台風19号上陸に際し、店舗休業の告知を公式ツイッターから行った経緯と反響への振り返りが語られた。異例ともいえる店舗休業を事前に決めた判断について、新商品のプロモーションやキャンペーン告知が中心の公式ツイッターで、防災・災害情報をツイートすることへの是非、ホームページとツイッターの使い分けなど、試行錯誤する中で見えてきた、企業アカウントが担う新たな役割について話し合った。




セッション#3では、窪田優希(長野県災害対策本部室総括・調整担当)氏が登壇し、「台風19号、長野県防災がTwitterで行ったこと」というテーマで講演を行った。台風19号で千曲川の堤防が決壊し水害が起きた際、長野県防災公式アカウントが被災者への励ましのリプライをした背景や救助要請処理フローの解説、ユーザーから信頼を受け、見てもらえる自治体公式SNSにするために日々意識していることなどについて語った。


窪田優希(長野県災害対策本部室総括・調整担当)氏
次々と起こる災害に対して備えることの大切さ、SNSの普及により進化し続ける情報発信の在り方、それに伴いボランティアの形にも変化が生まれていることなど、現在進行形の事象へ取り組みが語られた今回の「FUKKO STUDY」。一人ひとりの“何かできないか”という思いが集まり、確かな力となって減災と復興へ繋がる道を形作っていることが感じられるトークセッションだった。

次回のFUKKO DESIGNの活動報告は春に開催を予定。今後もFASHION HEADLINEでは動向をレポートで紹介していく。




<FUKKO DESIGNの活動について>
ホームページ:https://fukko-design.jp/
note:https://note.com/fukko_design
Twitter:@FUKKO_DESIGN
ハッシュタグ:「#fukkodesign」「#FUKKOSTUDY」

FUKKO DESIGN発足に際し、クラウドファンディングに挑戦中! (12月26日23:00まで)
https://readyfor.jp/projects/fukko-design
 
Aiko TSUJI
  • 河瀬大作(一般社団法人FUKKO DESIGN代表理事、NHKエンタープライズ)氏
  • 木村充慶(一般社団法人FUKKO DESIGN理事、TBWA HAKUHODO)氏
  • 岡氏智美(館山市地域おこし協力隊)氏、明城徹也(JVOAD 事務局長)氏
  • 荒木健太郎(気象庁気象研究所研究官・雲研究者)氏、白井明子(ローソンプロモーション部シニアマネジャー)氏
  • 窪田優希(長野県災害対策本部室総括・調整担当)氏
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