伊東「ハトヤホテル」でタイム・スリップした日【EDITOR'S BLOG】

2020.01.31
“夢を見ていたかな? ”
を終え、自宅に戻ると必ずやってくる夢うつつとなる感覚。夕刻に飛び立った空港で飲んだビールなどが嘘のように、その数時間後には見慣れた帰路に着く。タイム・リープでもできるようになったのかと思うことすら。その感覚は知らずのうちに、日常がまた動き出した頃には静かに消えてなくなってしまうけど、いまでも余韻の残る忘れられない旅の経験もあります。今日はそれを一つ記録します。

「HATOYA HOTEL 4302」のキー。
ある年の夏の終わり頃、東海道線で東京から熱海、そこから乗り換えて伊豆急行で伊東へ訪れた。夏は風がからっとした避暑地であり、また冬はあたたかくアロエのや水仙の咲く避寒地の伊豆半島。そのうえ、昭和の大観光地として栄えた面影をたっぷり残した街では過去と現在の境界線を歩いているかのような不思議な体験ができ、旅先としてとても気に入っている。

そんな現存する昭和の遺産の一つ、昭和22年の開業の「ハトヤホテル」。TVCMは無論、ロケ地などでも超有名なあのホテル。JR伊東駅より向かって南側の高台にそびえる「ハトヤホテル」と、駅から北側の相模湾の海岸線にある「ホテルサンハトヤ」、この2棟は令和を迎えた今でもリゾート地、伊東の象徴である。

送迎バスに乗ること5分、「ハトヤホテル」着(車体ナンバーが41-26だった)。

「ハトヤホテル」本館から撮影。渡り廊下とその先の新館。

本館と新館をつなぐ渡り廊下。

ハトヤスリッパ。浴衣も創業以来からオリジナルだそう。

ロビー、壁、床、エスカレーター、照明、家具、館内の案内看板…贅を尽くしたディテール。

館内のすべてが当時の名残をとどめながら時を刻んでいる。

温泉があり、スナック、カラオケ、ゲーセン、プール、さらにもう一棟の「ホテルサンハトヤ」には、水族館のようにパノラマ水槽を間近に相模湾を眺望できる温泉、レストラン・シアターでは毎夜(シーズンによる)ディナーショーが開催されている、エンターテイメントが多彩なハトヤ。

「ホテルサンハトヤ」の鳩デザイン。
夜訪れた「バー花」では、ブレイク直前の小林幸子さんを始めとする歌手たちが華々しく飾ったステージや、そういったショーの打ち上げなどで連日大変賑わったかつてのこのバーの話などを聞けば、映画『シャイニング』のダンスホールのシーンのように、当時の繁華な店内の雰囲気を簡単に思い描くことができた。


立って歌うタイプのカラオケ。
そんな唯一無二の体験を経て、変わらないものの偉大さを教えてくれたハトヤ。変わりゆく東京の景観を横目に、“失われた時を求めて”、また次の休暇も伊東やその周辺へ行くのだと思う。

もしも「ハトヤホテル」に行くことがあれば、お土産はハトヤの「ハトヤサブレ」もいいですけれど、とすすめられた梅屋の「ホール・イン」。私もこちらをぜひおすすめしたい。

伊東ナンバーワン土産「ホール・イン」(梅屋)。伊東駅に本店があります。

ホテルハトヤ
住所:静岡県伊東市岡1391
URL:http://www.hatoyahotel.com/home/index.html

ホテルサンハトヤ
住所:静岡県伊東市湯川堅岩572-12
URL:http://www.sunhatoya.co.jp/home/


Ihara Iori
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