エレガント回帰に欠かせないテーラードジャケット。変幻自在な着こなしを参考に【パリスナップ】

2023.03.18
2月28から3月7日にかけて、2023-24年秋冬シーズンのパリファッション・ウィークが開催された。アーカイブを再訪してモダンに再解釈したコレクションで、“リセット&リスタート”をテーマに、先行き不明瞭な未来へ進んでいく強い意思を示すクリエーションが多く見受けられた今季。長く続いたストリートスタイルは完全に影を潜め、格的なモードへと回帰する流れが強い。

オフランウェイにも同様の傾向が見られ、スウェットではなくジャケット、オーバーサイズよりもタイトなシルエットが目立った。エレガントのトレンドをいち早く嗅ぎつけ、日常着に取り入れる業界人の多くが今季味方したのは、テーラードジャケット。タイムレスなアイテムを自己流に着こなすアイデアを参考にしたい。


秋元梢モデル


パリコレ常連のモデル、秋元梢さんは「サカイ」のルックでストリートスタイルフォトグラファーからフラッシュを浴びる。ブランドのハイブリッドな手法が光る、テーラード×ケープを掛け合わせた変形型ジャケットで個性的なスタイルに。ジャケットと白シャツのフォーマルスタイルを、意図的に崩しながらモダンに魅せる手法は今季のランウェイでも要のクリエーションとなった。


松岡モナ/モデル


モデルの松岡モナさんを、「アンダーカバー」のショー会場でキャッチ。流動的で軽やかな素材で作られた、ニュートラルカラーのスーツセットアップで春夏らしいフレッシュな装い。切り裂かれたようなダメージ加工と、ネオンカラーのブローチやシューズがどこかパンキッシュなムードを醸し出す。


アレクサンドラ・カール/ファッション・ディレクター


ミニマルルックを得意とするデンマーク出身のファッション・ディレクター、アレクサンドラ。かっちりとした定番テーラードジャケットを、やや大きめのサイズ感でリラックスした雰囲気で纏う。フォーマルな上半身とは対照的なワイドボトムスでカジュアルダウンさせながら、手元は「エルメス」ケリーバッグで引き締める。プラスマイナスの計算が絶妙!


リンダ・ファーゴ/「バーグドルフ・グッドマン」ファッション・ディレクター


ニューヨーク老舗百貨店「バーグドルフ・グッドマン」に長年勤めるリンダは、私物の「サカイ」を着用。ダウンとテーラードジャケットをハイブリッドしたアウターの上に、ジャケットをベアトップのドレスに組み替えた「サカイ」らしいアイテムをレイヤード。ジャケットスタイルの固定概念を壊す、モードなスタイルが素敵。



番外編
テーラードジャケットは生地やシルエット、ラペルの形や丈感など、そのスタイルはさまざま。オーバーサイズでドレスのように纏ったり、カジュアルルックをエレガントに昇華させたりと、数着持っていても重宝するタイムレスなアイテムに業界人は夢中なよう。




Text by ELIE INOUE
Photo by Yusuke Kinaka

ELIE INOUE
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