【INTERVIEW】アートディレクター長嶋りかこ「HUMAN_NATURE」始動。第1弾はワイヤーアクセサリー

2013.04.03

ラフォーレ原宿などの広告を手掛け、数々の広告賞を受賞しているアートディレクター長嶋りかこが個人として発信するデザインプロジェクト「ヒューマンネイチャー(HUMAN_NATURE)」。その第1弾として、アクセサリーシリーズ「ワイヤー(WIRE)」がリリースされた。

HUMAN_NATUREを始動させた長嶋りかこに、その背景や今後の展開について話を聞いた。

――今回リリースするアクセサリーHUMAN_NATUREとは?

これは’相反するもの’の「あいだ」を表現する、という自分なりの試みの一部です。’相反するもの’の「あいだ」とは、例えば「都市」と「田舎」、「意識」と「無意識」、「整理」と「混沌」などいろいろありますが、今回は「『作為』と『無作為』の間」をテーマに、アクセサリーを製作しました。それがこのアクセサリーのシリーズ「WIRE」です。

――今回、アクセサリーを製作したきっかけや背景にはどういったことがあるのでしょうか?

例えば日常にはオートマチックなものが増えました。トイレの水は自動で流れるし、鍵は自動で閉まります。でも人間はどうでしょうか。決して自動ではないし、決して絶対ではない。私は田舎育ちなので、都市のすべてがシステムや秩序で整理されすぎたことに対してのストレスや違和感があります。

もちろんそれは便利だし、否定はしません。でも、コンクリートの下には土がある、人間の中には自然があるってことを忘れちゃいけないと思うんです。だから「秩序」と「混沌」をはっきり分けるのではなく、その「あいだ」にあるものを良しとしてみてはどうかと。「あいだ」には、“選択”があり、“自由”や“おおらかさ”といった居心地の良さがある。「意識」と「無意識」、「作為」と「無作為」、「秩序」と「混沌」、「人間」と「自然」。相反する事柄の「あいだ」に宿るもの。私はそれを形にしていきたいんです。どんな形になって現れるのかは、テーマによって様々です。

今回、初めて製作したアクセサアリーはどこにでもある、ただ曲げただけのワイヤーです。無作為なワイヤーの形は、ただのワイヤーであったはず。でも、ワイヤーをワイヤーでなくしたのは、“着飾る”というの摂理のような「能」です。それは人間が本来持っているもの、「HUNMAN NATURE=人間らしさ」です。

――これからはどんな活動を展開される予定ですか?また、チャレンジしたいことなど教えてください。

今は『HUMAN_NATURE』という本を作っている最中です。ルールや秩序で少し心が弱っている人が元気になれるような本になるかもしれません。
アクセサリーは第2弾を考えています。10月に銀座個展がありますので、本やその他のものも含めて、そこでまとめてお見せできたらいいなと思っています。グラフィックデザインが本業ですので、そこを主軸としながらメッセージを形にしていきたいです。


長嶋がデザインしたWIREは3日から伊勢丹新宿店本館2階センターパーク/TOKYO解放区で開催される「東京デザインコミット(TOKYO DESIGN COMMIT)装苑×TOKYO解放区」に出品される。会期は4月9日まで。

長嶋は1980年茨城県生まれ。2003年武蔵野美術大学卒業後、同年博報堂入社。「イヴァン・ヴァレンティンYVAN VALENTIN)」やラフォーレ原宿など企業の広告デザインやブランディングを行う傍ら、パーソナルワークとして現代美術家の宮島達男氏とともにアートプロジェクト「ピースシャドープロジェクト(PEACE SHADOW PROJECT)」や水のような鏡のプロダクト「みずかがみ(mizukagami)」を発表。東京ADC賞、ニューヨークADC銀賞、カンヌデザイン部門銀賞受賞など国内外で評価を高めている。10月3日よりに銀座グラフィックギャラリーで個展が開催される。
奥麻里奈
  • HUMAN_NATURE 「WIRE07」3万3,000円
  • HUMAN_NATURE 「WIRE01」2万6,000円
  • HUMAN_NATURE 「WIRE」
  • HUMAN_NATURE 「WIRE」
  • グラフィックデザイナー/アートディレクター 長嶋りかこ氏
  • TOKYO DESIGN COMMIT 装苑×TOKYO解放区(伊勢丹新宿店本館2階=センターパーク、4月3日から9日)
ページトップへ