ケイスケヨシダ、“今”を体現する自由な表現者【2018春夏ウィメンズ】

2017.10.22

ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)が、「Amazon Fashion Week TOKYO 2018 S/S」期間中の10月17日、表参道ヒルズ2018年春夏コレクションを発表した。会場には、アマゾンファッションに招待された服飾業界を目指す学生たちが大勢つめかけ、熱気あふれるムードに包まれた。

客席の照明が落ち、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン(The Jon Spencer Blues Explosion)の名曲『ベルボトムズ(Bellbottoms)』とともにショーがスタート。疾走感のある音楽とともに、ヒッピースタイルを思わせるヘアスタイル、リボンを結んでつなげたピンクのジャンプスーツに厚底ブーツを履いたモデルが登場。続いて、フロントに大きく穴が開いたジャージの下に超ミニのトップスを合わせたルック、ネックや膝、スカートの裾部分にリブ使いが施されたルックなど、スポーティなテイストのルックをまとったモデルたちが現れた。ファーストルックで見られたリボンを結んでつなげたデザインやフロントに大きく穴が開いたデザインは、今回のコレクションの特徴的なルックといえるだろう。

前回のコレクション発表後、無力感にさいなまれた吉田は、初心に戻って“日常の中のリラックス”をテーマに制作に取り組んだという。その中で、資料で見た70年代のヒッピーのファッションにインスパイアされ「彼らの“フリーな姿勢”や“自由な人としての在り方”に惹かれ、作っていた服にはさみを入れたり穴を開けてみたら、それまで感じていた“硬さ”がなくなり自由な質感が生まれた」と語った。

リボンの結び方でシルエットが自在に変えられるルックや、ジャケットに開けた穴から全くテイストの異なるスポーティーな服が現れるルックで、その時の気分で“ありのままの自分を自由に表現できる”ことの喜びを表したのだという。

プログレッシブロックの曲とともに迎えられたフィナーレには、70年代のヒッピーたちが感じていた、新しい時代の始まりを予感させる高揚感が重ねられていたようだ。“穴”によって無力感を打破し、自由を手に入れた吉田は、装うことの楽しさをまた一歩進んだ表現で提示して見せた。
辻あい子
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