【ファッションの“未来”たちに聞く】服を選ぶのは、皆に平等に与えられる試練だと思う。デザイナー横澤琴葉--1/2

2016.06.24
日本ファッションの未来を担うであろう若き才能たちに迫る連載、「ファッションの“未来”に聞く」。第2回となる今回は、コトハヨコザワ(kotohayokozawa)のデザイナーである横澤琴葉に話を聞く。

2013年3月のエスモードジャポン東京校での卒業制作が話題となり、同年8月には京都の「gallery 110」にて個展を開催。卒業後、大手アパレル会社でのデザイナー活動を経て、2015年に自身の名を冠したブランドを立ち上げる。山縣良和、坂部三樹郎がプロデュースする若手デザイナーを集めたプロジェクト「東京ニューエイジ」にも抜擢。きまぐれで、不安定だけど、レディな美しさも垣間見えるガーリールックの提案で、着実にファンを増やし続けている。今回のインタビューは彼女のアトリエにて、裁断の跡が幾筋も残る机上にて行った。


ーーファッションに興味を持ったのはいつ頃?

実はとても早いんです。わたしが生まれる前ですが、祖母が洋裁店を営んでいて、家にはミシンをはじめとする洋裁に必要な道具が揃っていました。だから、布を切ったり、縫ったりは日常的な遊びでした。幼稚園の卒業アルバムには、ファッションデザイナーになりたいって書いたようです。高校もファッション文化科という、普通の授業と洋裁・和裁の授業が半々で受けられるところに通っていたのですが、小学校くらいからそこに入ろうって決めていました。小さいときから「コレ着なさい」って勝手に充てがわれると怒ってましたね。「わたしは自分で選ぶの!」って(笑)。自分でコーディネートした服を友達から褒められるとすごく嬉しかったです。そこで早くも人に認められることに対しての喜びは感じていました。当時からその日着る服を選ぶのにすごく時間を掛けていましたね。

“kotohayokozawa”


ーー朝から何を着ようか選ぶ時って、すごく楽しい時間である反面、面倒に思うこともありますよね?

その日の気分、体調、気温や天候、その日の予定によって、選ぶ服って変わるじゃないですか。わたしにとってはそれが重要な要素の一つで、一日のはじまりに直面する試練というか。皆に平等に与えられる試練だと思っています。それをとても面倒に思う人もいれば、わたしなんかは「楽しい!」って思っちゃいます。でも大概失敗しちゃうんですよ(笑)。「あ、今日イケる」って意気揚々と飛び出していくんですけど、途中で「あれ、なんか違うな。あれ、全然よくないじゃん」ってなることが多々あります。服は上下ともまあ良いのに、「うわ、違うじゃん」みたいな(笑)、それで一日ブルーだったり。でも失敗してもいいんですよ。「へんてこな組み合わせだけど、今日はそのまま来てしまった、恥ずかし!」って思う感じが。ぐちゃぐちゃになっちゃう感じ。それがすごく人間臭くて、好きなんです。

ーーエスモードの卒業製作も、普通の感覚からしてみれば“へんてこ”な感じだと思います(笑)。でも非常に高い評価を頂きましたね?

実は、3年(エスモードの最終学年)になったときに、なんの予告もなしにデザインの先生が山縣良和さん(リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)デザイナー/「ここのがっこう」主宰)と坂部三樹郎さん(ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)デザイナー/「ここのがっこう」講師)になったんです。初めての授業で彼らに「人間に着せることをまったく考えてない」、「どういう人に着てもらいたいのかちゃんと考えてるの」という指摘を受けました。それまでそんなこと1ミリも考えたことなくて。でも、いろいろと模索していく中で、あるとき古着のくたびれたTシャツデニムのショートパンツを履いてたときに「ああ、こういうことなのかな」って気づく瞬間がありました。つまり、自分がいつも着ているものに近い素材、近いデザインで作ればより人に歩み寄った、生々しさが表現できるかもって思ったんです。

“YAMAHA”


それと平行してもう一つ、アイデンティティを掘り下げる作業も同時に進めていて、昔の写真を見返したりしてたのですが、その中の一つに家族写真があったんです。12、3年前の写真の中で、父が胸に「YAMAHA」って書かれていたスウェットを着ていて、すっごくダサくて(笑)。それにピチピチのケミカルウォッシュのジーパンを合わせてて、学校とかのイベントに来ていたんですよ。めちゃくちゃ恥ずかしくて。でも、もしかしたら今の感覚だとかわいいかもって思って、「あのスウェット、自分で着たいから送ってよ」って即実家に電話して。まあ、すでに捨てられちゃってたんですけどね。その頃ちょうどアイテムとしてスウェットも流行ってたし、自分でも着たいから作ってみました。そしたらあのスウェットがメインピースみたいになってしまって、結果としては良かったなと。あの卒業制作を経て、「自分が今着ているもの、着たいもの」をメインのデザインソースに据えるようになりました。

【ファッションの“未来”たちに聞く】誰もが明日着たい服を、今日作れたらいい。デザイナー横澤琴葉--2/2に続く。
森下隆太
  • 横澤琴葉さん
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