世界各地と東京を繋いだビジュアルコミュニケーションが一冊の美しい本に【NADiffオススメBOOK】

2017.04.20

木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、写真家の大野俊輔と、アーティストドミトリー・ソコレンコのアートブック『flactal2』。東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)によるご紹介です。

■『flactal2』大野俊輔&ドミトリー・ソコレンコ

写真家の大野俊輔とロシアのアーティスト、ドミトリー・ソコレンコによるアートブック。

2011年にパリで開催された二人展「Fractal」での出会いをきっかけに、世界各地を旅するドミトリー・ソコレンコから、東京で暮らす大野のもとにレシートやカフェのナフキンが入った大量の手紙が届くようになる。大野はそれらをパズルのように組み立て、自宅の生活空間を背景に撮影を始める。5年の月日のなかで二人のアーティストのビジュアルコミュニケーションは複雑さを増していき、その後大野はロシアのサンクトぺテルブルクにあるソコレンコの自宅とアトリエに赴き、東京で撮影した写真を配置して写真を撮る。さらにその写真をまた東京の大野の自宅に置いて撮影するという入れ子のような構造になっており、本書は大野の写真群と、ソコレンコの書いた15の物語によって構成されている。

また本書はチェスの名人、ボビー・フィッシャーへのオマージュを込めて、1972年のフィッシャーVSスパスキーの1戦を取り上げ、大野とソコレンコのやり取りをチェスのムーブになぞらえている。チェスというゲーム性が加わることによって、二人のビジュアルコミュニケーションは二人だけに分かる遊びにも、アーティスト同士の緊張感のある戦いようにも見えてくる。

フィンランドの出版社より刊行された本書は同国のFinnish book art committeeという団体で「2016年最も美しい本(artbook部門)」に選ばれた。無地の帯が表紙のタイトルを覆い隠し、鮮やかなオレンジ一色となる美しい装丁。

【書籍情報】
『flactal2』
著者:大野俊輔&ドミトリー・ソコレンコ
版元:Parvs Publishing
言語:英語、日本語、フィンランド語
192ページ/280×225mm
発行年:2016年
価格:4,800円
NADiff
  • 『flactal2』大野俊輔&Dmitry Sokolenko
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