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アーティストJUM NAKAO が見せるファッションの未来「テクノロジーが進化しても本質的なメッセージは変わらない」ーー【INTERVIEW】2/2

2015.08.04




■結婚という物語を紡ぎ、手掛けた麻世妙ドレス

ーー太古から日本人の生活に深く関わってきた大麻布。それを今に甦らせた「麻世妙(まよたえ)」を使って3着のドレスを製作されました。麻世妙という素材に関しては、どのように感じましたか?

JUM NAKAO:ご依頼いただいた際に、日本人と大麻布の関わりをお聞きしました。その上で、麻世妙という素材は日本の文化であり、宝であることを感じました。また現代の技術を持ってしても、大量生産できるものではなく、手間ヒマかけて作られる貴重な布地。麻世妙自体が、まるで芸術作品のようだとも感じました。

ーー円形にカットした麻世妙を繋いだデザイン、また麻世妙を縁取るプラスチック素材のフレームなど、近未来を感じさせる面白いドレスですね。

JUM NAKAO:今年は「日ブラジル外交関係樹立120周年」の記念すべき年。国交を樹立して、お互いの国同士や人同士が結びつき、交流していくことで、120年という年月の中で両国関係がより深まってきました。そのようなことも踏まえて、結びつきを祝福する“結婚”というテーマで製作しました。結婚写真を飾る額のように、麻世妙には異素材のフレームを付けました。そのピースをたくさん作り、それを繋げることで、ひとつのドレスになります。額装された麻世妙という作品は、それを繋げていくことで、女性を彩るドレスへ変貌するのです。

ーー個々が結びつき新たな価値が生まれる、それもひとつの結婚観ですね。使われた素材や技術は特別なものだったのでしょうか。

JUM NAKAO:当初、3D印刷の技術を使うことを考えましたが、試作してもうまくいかなかったので、別の新素材を使いました。車の車内インテリアにも使われる特殊プラスチックを用いて、硬さや輝きを放つような質感を作りだしました。白く輝くフレームは、麻世妙をさらに美しく見せてくれます。

そしてドレスを展示した伊勢丹新宿店に関しては、トレンドとしてのファッションだけでなく、ファッションの未来を見せるべき場でもあると感じました。それも含めて太古からの麻世妙を未来に繋ぐ手法にチャレンジしたかった。太古からの素材と新素材へ繋ぐ、今を未来のファッションへと結ぶ。過去と現在を結び未来へと繋げる、結婚というテーマそのものです。

ーー展示されていたドレスは、値段もついていましたね。実際に着用するシチュエーションはお考えでしたか。

JUM NAKAO:もちろんドレスですから着ることは出来ます。ただ、世界に一点ずつしかない3つの作品です。麻世妙という存在をプロモーションするためのクリエイションとして考えていただければ嬉しいですね。日本だけではなく、世界各国の人々に“麻世妙”のヒストリーや商品価値を伝えていくために、私が手掛けたクリエイションなのです。

ーー最後になりますが、クリエイションをしていく上で3Dプリンティングなどの新たなテクノロジーが、ご自身のファッションやアートを大きく変化させていくと思いますか。

JUM NAKAO:ファッションのプロセス、アイデアをカタチにするプロセスは、100年前と変わっていません。どれだけテクノロジーが進化しても、それは私のメッセージをカタチにするひとつのツールです。それゆえに私のクリエイションの質的な部分が変わっていくことはありません。


■JUM NAKAO(ジュン・ナカオ)

日系3世のブラジル人、デザイナーアーティスト。ファッションブランドをはじめコスチュームデザイン、アート、家具建築アニメーションなど幅広く多岐にわたる分野で活躍。2004年にはNIKE×JUM NAKAOのラインをローンチ。ファッションショーの「ア・コストラ・ド・インビジヴェル」(04年)でファッション界だけではなくアート界からも注目される。12年にはロンドンオリンピック閉会式のディレクション、13年には家具のラインもスタートさせた。
森有貴子
  • 伊勢丹新宿店本館3階で展示販売された3着のドレス
  • 写真のフレームを連想させる円が連なるデザイン
  • テキスタイルには、大麻布「麻世妙」を採用
  • 「トレンドとしてのファッションではなく、ファッションの未来をみせたい」と、NAKAO氏は語る
  • 来日したアーティストのJUM NAKAO氏
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