【レポート】「Mark-ing」展がロンドンで開催、日本とヨーロッパのデザインの架け橋に

2013.01.17

ロンドンの繁華街、オックスフォード・サーカスから歩いて5分ほどの距離に位置するギャラリー・リビー・セラーズ(Gallery Libby Sellers)にて、今月25日までとブリティッシュ・カウンシルと日のファーニチャーレーベル「E&Y」が共催する日英デザイン企画展「Mark-ing(マーキング)」が開催されている。

本展には、「マメ(mame)」デザイナー黒河内真衣子建築家の長坂常、中村竜治など、グラフィックインタラクティブ・デザインから建築ファッションまで、幅広い分野から選ばれた日英合計16名のデザイナーが参加。新作彫刻作品と共に、「fragment(断片)」というテーマでそれぞれの作家性に影響を与えたオブジェクトも合わせて展示されている。

また、単に作品を紹介するだけでなく、より深いレベルでデザイナーを理解してもらうおうという工夫がなされている。各デザイナーの名前の横に生まれ年が示されているのも、年齢による差別などを禁ずるイギリスではある種のタブーともいえるが、それぞれが生まれ育った年代、背景からより深くデザイナーや作品を取り巻くコンテクストに入り込めるようにするための試みである。

10日夜に大和日英基金で開催されたトークイベントでも、日英でのデザイン教育の違い、デザインそのものの相違点、そしてその相違点の背後にのはライフスタイルの違いが隠れているのではという考察など、興味深い議論が展開された。

イベント終了後、株式会社E&Yの松澤剛社長に話を伺ったところ、「イギリスではデザインが一般の生活の中に溶け込み、根付いている」とのこと。そういった背景もあって、「たとえ一般層であってもデザインに対する受容力、吸収力が高い。ヨーロッパには、ロンドンの他にもミラノのようなデザインのメッカとされるような街があるが、その生活の中への密着度はその中でも最も高く、それが大きな魅力の一つ」だと指摘する。

現在、高い評価を得つつある日本のデザインではあるが、”一般の生活へのデザインの密着度”という点では、まだまだイギリスから学ぶことは多く、「(そうした)見識を身につけることは一朝一夕でできることではなく、デザインを知るための経験、体験の絶対量がまだまだ足りない」と話す。

日本とヨーロッパがクロスオーバーした今回のようなデザイン展が増えることで、日本でのデザイン文化が本当の意味で我々の生活の中に根付いていくことを期待したい。

【イベント情報】
「Mark-ing」
場所:Gallery Libby Sellers
住所:41-42 Berners Street, London
会期:2013年1月10日から25日
時間:11:00から18:00(土曜は16:00まで)
休館日:日曜日、月曜日
参加アーティスト
【日本】織咲誠、岡本光市、長坂 常、中村竜治 、 福井利佐、二俣公一、スズキユウリ、黒河内真衣子 
英国】モーリッツ・ウォルドメイヤー、イズミニ・サマニドゥー、ポール・コックセッジ、マックス・ラム、ジェフリー・マン、ヘレン・エイミー・マリー、ハンナ・マーティン、ベンジャミン・ヒューバート
天野剛
  • 日英デザイン企画展「Mark-ing」
  • 日英デザイン企画展「Mark-ing」展示風景
  • Geoffrey Mann 「Shine」
  • 織咲誠 「Hole works」
  • 岡本光市 「Light of thought」
  • 日英デザイン企画展「Mark-ing」展示風景
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