三陽商会、バーバリー終了もビジネス拡大期待。200億減で既存ブランド強化

2014.05.19

三陽商会は、三井物産と共同で行っている英国バーバリー・リミテッドとの「バーバリーブランドライセンス契約について、「バーバリーロンドン」婦人服および紳士服は2015年春夏シーズンをもって事業を終了、バーバリー子供服は2015年春夏シーズン終了後に事業をバーバリーグループへ移管することを発表、5月19日に記者会見を行った。

記者会見には代表取締役社長杉浦昌彦、代表取締役副社長小山文敬、取締役経理財務部長松浦薫、取締役経営統轄本部長岩田功が列席。現在三陽商会が事業展開している「バーバリー・ブルーレーベル」「バーバリー・ブラックレーベル」は2015年秋冬シーズンより新たなサブブランド名を付して「ブルーレーベル」「ブラックレーベル」の事業を継続し、現在のブランドコンセプトを継承することで合意したことを説明した。「これまでバーバリーブランドとしての制約があったが、雑貨アイテムを増やすことも、禁止されていたインターネットでの販売も可能になり、販売チャネルも増え自由度が高まるのでビジネスの拡大が期待できる」と小山氏は述べた。

また、三陽商会にとっての基幹事業の一つであった「バーバリー」事業の終了により売り上げの減少が見込まれることを受けて、抜本的な事業構造改革の必要性から中期5カ年経営計画(2014年から2018年)を構築、発表。「MACKINTOSH LONDON」「Paul Stuart」「EPOCA」の基幹3事業と「AMACA」「EVEX by KRIZIA」「TO BE CHIC」「LOVELESS」の準基幹4事業に積極的な投資を行うことでの利益基盤の確立、オリジナルブランド事業の拡大、M&Aによる新たな販路の獲得の三つが今後の経営指針。14から17年は前売額が1,380億から1,190億まで減少する見込みだが、4年後の2018年には1,300億まで回復させていきたい」と岩田氏が説明した。

杉浦社長は「“バーバリー”の名前は偉大なもので三陽商会はこれまでバーバリーに支えられ育てられてきた。その間ものづくりの面でしっかりとしたノウハウを培ってきたので独り立ちしても大丈夫だと思っており、これを契機に更なる成長ができるだろうと確信している。これからは『MACKINTOSH LONDON』を一番大きなとして取引先に紹介していくことに全力を尽くしたい」とコメント。小山副社長は、「バーバリーグループのグローバル戦略と三陽商会の戦略とがwin-winになる結論を契約期間短縮の発表があった2009年から5年間模索してきたが、いい結論になったという感触がある。2015年からはバーバリーの冠を外した『ブルーレーベル』『ブラックレーベル』について3年契約を交わしており、まずは3年やってみようというストーリー計画がある」と述べた。

また、現在百貨店にある「バーバリー」売り場は他のブランドで活用していくこと、バーバリーグループによるロンドンラインの百貨店での出店は三陽商会の売り場とは別となるインポート・ラグジュアリーフロアに展開されること、今回の改変による人員削減は計画の中には含まれていないことなどを回答した。

「バーバリー」は1965年コートの輸入販売を契機に、1970年マスターライセンシーとなった三井物産からのサブライセンシーとして三陽商会がライセンスビジネスをスタート。1980年には三井物産との共同ライセンシーとして20年契約を交わし、それ以降日本での「バーバリー」事業が大幅に拡大。約半世紀に渡り日本国内での「バーバリー」ブランドの地位確立を三陽商会が築いてきたと言える。
奥麻里奈
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