ロンシャンとファビエンヌのコラボレーションによる、パリジェンヌの日常とは

2013.11.21

フランスで10月に出版された『私の二人の恋人、バッグとパリ(J'ai deux amours, mon sac et Paris)』は、イラストレーターのファビエンヌ・ルグランが仏ラグジュアリーブランドロンシャンLONGCHAMP)」とのコラボレーションにより書き下ろしたグラフィックノベル。その日語版ローンチのためにファビエンヌが来日し、11月19日の夜、出版記念パーティーが開かれた。

3Dアニメデザイナーだったファビエンヌが、イラストレーターに転向したのは2年前のこと。彼女は、長年の夢を叶えて2012年パリにあるシェルシュ・ミディ社から、処女作となる『フェレ岬の夏(Un ete au Cap-Ferret)』を出版した。

「パリジェンヌの機微を表現するファビエンヌのイラストとシックなパリジェンヌご用達ブランド、ロンシャンの世界観がとても近いと感じました。そこで、ロンシャンのインターナショナル・コミュニケーションズ・ディレクターに彼女を紹介したことからこの本はスタートしたのです」と、ファビエンヌに同行したショルシュ・ミディ社の編集者ポム・ベソはいう。

まずは自由に物語を作って、そこにロンシャンのバッグを登場させればいいとポムに言われたファビエンヌは、最初は半信半疑だったという。結果は心配ご無用、雨に降られて困ればバッグを代わりに使っても、バッグをお尻に敷いてスロープを滑り降りてもOKなのだ。

そして主人公プルーンとその家族を中心に、夫より新しいバッグの方が大切だったり、娘の誕生日と買ったバッグの記念日を同時に祝う、天性パリジェンヌ、プルーンの暮らしをコミカルに描いた第2作目となる『私の二人の恋人、バッグとパリ(J'ai deux amours, mon sac et Paris)』は完成した。

「数あるバッグの中から女性は自分の好きな色、形のバッグを選び出すでしょ、そこからバッグとの関係は始まるの。バッグは女性の人生そのものだと思う。しかも自分を映し出す鏡のようなものよ」とファビエンヌ。確かに、バッグの外見が女性の外見だとすると、バッグの中には所有者の暮らしぶりや趣味までわかる、まさに人生や人格までもしまい込まれているのだ。そうしてそこは、家の中と同じくらい、プライベートな空間。

「プルーンの夫でさえ、彼女のバッグを勝手に覗くことはできないのよ。トップシークレットね」と快活に語るファビエンヌ。バッグに対するファビエンヌの洞察力と深い愛情が同時に伝わる、いい話だ。ちなみに、お気に入りのロンシャンバッグは、本に何度も登場する「ケイト・モス・フォー・ロンシャン」とインタビュー当日持っていた「レジェンド」。アウトルックの良さはいうまでもなく、インナーの色使いや使い勝手の良さも魅力だという。

「超タイトなスケジュールだったから、尊敬するアニメーター・宮崎駿さんの世界観が体験できる、ジブリ美術館も行けなかった。次のチャンスにはぜひ行きたいわ。何しろ初めての日本に戸惑うばかり、今朝、地下鉄で切符を買うだけなのに1時間もかかったの!」彼女のエピソードを聞いていると、まるでプルーンが、そこにいて話しているような錯覚に陥った。

日本語版『私の二人の恋人、バッグとパリ(J'ai deux amours, mon sac et Paris)』はロンシャン直営店とオンラインショップにて発売中。値段は3,150円。
Yuri Yokoi
  • ファビエンヌ・ルグランさん
  • パーティー会場には作中場面のパネルを設置。バッグが頭にかぶってしまうシーンを再現してくれた
  • 『私の二人の恋人、バッグとパリ(j'ai deux amours, mon sac et Paris)』(ショルシュ・ミディ社)
  • 『私の二人の恋人、バッグとパリ(j'ai deux amours, mon sac et Paris)』(ショルシュ・ミディ社)
  • ファビエンヌ・ルグランさん
  • 黒のバッグはファビエンヌさんお気に入りというロンシャンの「レジェンド」
  • パーティー会場には作中場面のパネルを設置。中央がファビエンヌさん、ショルシュ・ミディ社の編集者ポム・ベソさん
  • 快活に質問に答えてくれた
  • クリスマスの場面。ツリーのオーナメントはロンシャンのバッグ
  • ファビエンヌ・ルグランさん
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