過去20年間のポスター作品からゲームのように紐解く、M/M(Paris)の軌跡--前編【INTERVIEW】

2015.04.17

フランスを拠点に活動するクリエイティブデュオ、M/M(Paris)のポスター展「M/M(PARIS)SUGOROKU DE L’OIE(エムエムパリス スゴロク ドゥロア)」が4月20日まで、渋谷パルコミュージアムにて開催中だ。2008年に行われた展覧会「The Theatre Posters」以来となる展は、日本の“すごろく”に似たフランスの伝統的ボードゲーム「LE JEU DE L'OIE」を題材に、これまでに制作したポスターをマス目に見立てて展示するという、ユニークな内容。会場内はまるで迷路のように入り組んだ回廊で構成されている。どうしてこのようなポスター展を日本で行うことに決めたのか?今回、本展の開催に合わせて来日していたM/M(Paris)のマティアス・オグスティニアックに話を聞いた。

2014年秋冬シーズンから、パルコの広告を手がけている「M/M(Paris)」だが、今回パルコで展覧会を行うことにしたのは「他よりもさまざまなトレンドがミックスされている場所なので、展示会のテーマにもふさわしいと思ったから」だそう。「展示会場も螺旋のようなレイアウトにし、ポスターもフランスのボードゲームである『LE JEU DE L'OIE』のマス数である、“63”に合わせてフランスからアーカイブの63枚の厳選されたポスターを運んできた」という言葉通り、まさにマティアスが話す“テリトリーがあってルールがある、ゲームのような感覚の展覧会”が創り上げられていた。

ところで、どうしてマティアスは日本の「すごろく」を知っていたのだろうか。「もちろん、リサーチして見つけたんだよ。やったことはないけれど、だいたい、同じようなゲームが各国1つずつ存在するもの。それで『すごろく』が『LE JEU DE L'OIE』と同じような気がしたので、それらの名前を混ぜ合わせた展示会名にしたんだ」。展覧会の構成をゲーム仕立てにした理由について、「ゲームのように駒を進めていくようにするなかで、自分たちが決めたことがどのような運命を歩むことにつながったのか、ということを表現している。20年続けてきたポスター作りのアーカイブを並べることで、それを伝えることにもなる」と話す。つまり、ゲームというものは、サイコロを振ることでさまざまな人生が決まる。次にどんな目が出るか予想できないように、これまでM/M(Paris)が経験した出会いもまた偶然。彼らのクリエイションとゲームとを重ねる展示方法が、彼らの作品特有の神秘性や暗号性を現わしている。

まさに「すごろく」のボードを彷彿とさせるレイアウトの展示会場では1996年に芸術センター「Le Theatre de Lorient」とのコラボレーションで制作したポスター作品「Brancusi contre Etats-Unis」から2014年に公開した最新作まで、順を追って展示している。その中には、M/M(Paris)がタッグを組むことが多いフォトグラファー、イネス・ ヴァン・ラムスウィールド&ヴィノード・ マタディンとのコラボレーション作品で、俳優のビル・マーレイをコラージュのように見せた「Opening Parenthese」、カール・ラガーフェルドビョークが登場するビジュアルなど、アーティストクリエイターとの共同作品も展示。彼らのこれまでの“軌跡”とも呼べるマス目に見立てたポスターを、来場者が“コマ”を進むように1枚ずつ観ていく、ユニークな体験ができる会場になっている。

--後編はM/M(Paris)と日本との繋がりについて。
MIE.F
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