シャネル・ネクサス・ホールで個展を開催したヴァサンタ・ヨガナンタン作品集【ShelfオススメBOOK】

2019.09.28
各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿外苑前のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京渋谷神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介。



■『Howling Winds』Vasantha Yogananthan

マグナムが主催する「30 UNDER 30」(30歳以下の写真家30選)に選ばれたフランスフォトグラファーであり、フランスのインディペンデント出版社「CHOSE COMMUNE」の共同設立者でもある、ヴァサンタ・ヨガナンタンの作品集

9月3日から29日までは、銀座シャネル・ネクサス・ホールにて日初の個展「A Myth of Two Souls (二つの魂の神話)」が開催されている。

本書は、紀元前300年頃にサンスクリットの人ヴァールミーキによって記録された全7章からなるヒンドゥー教の聖典であり古代インドの大長編叙事詩「ラーマヤナ」を現代的に再話、各章ごとに1冊ずつ写真集化する長期プロジェクト「A Myth of Two Souls」の第5章として制作された。

作者は、2013年よりインドを北から南へとをしながら「ラーマヤナ」の道筋を辿り、現地の人々と生活を共にする中で見られる「ラーマヤナ」の影響をインスピレーションに撮影を敢行。鮮やかな色に仕上げた写真だけでなく、イラストレーションなどの表現、土地固有のイメージを織り交ぜそれぞれ点在させることで、時代を超えたこのストーリーの層を成す一冊を巧みに編み込む。









このような演出により敢えてフィクションと現実との境界線を曖昧にした作品に仕上げている。

第4章にあたる前作『DANDAKA』のエンディングでは、魔王ラーヴァナがラーマ王子の妃であるシータを連れ去ったところで終わっている。ラーマ王子が酷く悲嘆に暮れていると、シータを探し出すべく何十万もの動物が世界中から集まって来た。動物たちは、はるか遠くに光り輝くランカー島があり、そこにラーヴァナがいることを知っていた。

インド東部のタミル・ナードゥ州とスリランカの海岸線沿いで撮影された本作『HOWLING WINDS』は、カラー写真と手描きのアクリルペインティングを組み合わせ、『ラーマヤナ』が綴る魔法の世界を表現している。『ラーマヤナ』は長い時を経て何度も書き換えられ再解釈され続けており、この作品集自体もインド人作家 Arshia Sattar により新たに書き直されたものである。

本プロジェクト「A Myth of Two Souls」は2016年から制作され、最終的に7冊が刊行予定。



【書籍情報】
『Howling Winds』
写真:Vasantha Yogananthan
出版社:CHOSE COMMUNE
言語:英語
ソフトカバー/76ページ/300×250mm
発刊:2019年
価格:7,800円
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