荒木経惟の妻・陽子を追想するセンチメンタルな旅【NADiffオススメBOOK】

2017.09.21
木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiffナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、『荒木経惟 センチメンタルな 1971-2017-』。東京恵比寿東京都写真美術館内にあるミュージアム・ショップ、NADiff BAITEN(東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内 東京都写真美術館2F)によるご紹介です。


■『荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-』

「陽子によって写真家になった」(書「ごあいさつ」より抜粋)

1960年代から活動を始め、国内外での評価も高い写真家・荒木経惟(のぶよし)。これまでに多岐にわたるテーマや手法で500冊を超える写真集を上梓している。

本書はその中でも妻・陽子をテーマにした作品群で構成された、東京都写真美術館にて開催中の『総合開館20周年記念 荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-』の展覧会図録である。

“私写真宣言”で有名となった、陽子との新婚旅行の様子を撮影した「センチメンタルな旅」、陽子の手料理をクローズアップで撮影した淫靡さ漂う「食事」、陽子の死後撮影した空にペインティングを施した「空景」「遺作 空2」など、表現方法は異なれど、どの写真からも荒木と陽子の関係性、そして荒木の深い愛情を感じることができる。

荒木にとって陽子は最愛の妻であり、重要な被写体でもあった。そして死後もなお、荒木の写真に多大な影響を与え続けている。

さらに本書では「一枚の写真」という題で、森山大道、石内都、古屋誠一、吉増剛造や生前の荒木陽子(!)など、豪華な面々が荒木の写真を1枚選び、その写真についての文章が掲載されている。写真のセレクトもさながら、各々の荒木(と陽子)に対する思いが感じられる文章は必読。

荒木の作品に存在する「生と死」について、そして陽子という存在を通して浮かび上がる撮影者と被写体の関係性、また私写真の在り方を展覧会と合わせてぜひご覧いただきたい。

書籍情報】
『荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-』
写真:荒木経惟
版元:HeHe
言語:日本語
ハードカバー/288ページ/B5判ヨコ
発売:2017年7月25日
■NADiffオフィシャルサイト『荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-』購入ページ

【展覧会情報】
「総合開館20周年記念 荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-」
会期:7月25日~9月24日
会場:東京都写真美術館2階 展示
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
時間:10:00~18:00(木・金曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌火曜)
観覧料:一般900円(720円)、学生800円(640円)、中高生・65歳以上700円(560円)
※()内は20名以上の団体料金
URL:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2795.html
NADiff
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