二階堂ふみ×キャンディストリッパー板橋よしえが語る「ファッションのこと。未来のこと。」--2/2【INTERVIEW】

2015.09.07

ファッションブランド、キャンディストリッパー(Candy Stripper)とコラボレーションした、女優二階堂ふみさん。今回、キャンディストリッパーのデザイナー・板橋よしえさんと共にインタビューに応じてくれた。

二階堂さんは、今回の洋服の作り手になるという経験から「高いものには、その理由があり、質的なもの見る目が大切だ」ということを、強く感じたという。映画の世界で俳優として活躍する二階堂さんが感じた、映画とファッションに通ずるものとは。前編(1/2)に続き、コラボブランド「FUMI NIKAIDO “Roots” Candy Stripper」のファーストコレクションと、今の日本のファッションに対する考えを語った。


■ファッションのチカラ、ファッションのときめき。

--二階堂さんにとって、今回、ファッションブランドとの初めてのコラボレーションになります。ファッションの作り手になってみていかがでしたか。

二階堂ふみさん(以下、二階堂):洋服を作ったのが初めてというだけで、普段映画屋として作品を作っているのと近い感覚はありました。もちろん洋服は作るという表現だけではなく、売らなくてはいけない商品になるという点で、映画と違う部分もあります。映画だと、どれだけクオリティが高いものを作れるのかを目指しているけど、洋服だとそれだけではないですよね。例えば、価格のことを気にしなくてもよいのなら、いくらでもいいものを作ることが出来ますが、商品として買ってもらうためには、どこかで差し引きをして価格を決めなくてはいけないということを、今回学びました。高いお金を払えば、もちろんいい洋服は手に入るけど、今回は頑張れば手の届く価格にしたかったんです。もちろん5万円って割といいお値段なのだけど、スカジャンなんて贅沢に刺繍が入っていたり、ディティールにも手がかかっていたり、本当は10万円以上するくらいなんです。

■ 若者がファストファッションを支持する時代に思うこと

二階堂:よしえさんとも話していて感じたのは、ジェネレーションの違いです。50年代のオールディーズの時代や、ヴィンテージと呼ばれる服が生まれた時代って、一着一着が丁寧に作られていたと思います。それに、私の母の時代やよしえさんの時代には、事を我慢してでも、本当にかっこいいと思って惚れ込んだファッションを手にして着るという体験があったと思うんです。でも、私の世代の人たちって、高い洋服を買わないし、ブランドを知らないし、なんでブランドのお洋服が高いのかを分かっていない人が結構いるなって思っています。私自身は、ファストファッションだったりにときめかないで育ってきたし、本質的であったり、本物であったり、いいものを手にするには、それなりの対価が必要だと思う。その本質的ないいものを初めて手にした時に、自分の中から何かが生まれてくるという経験をしてみることが大事だと私は思うんです。

板橋よしえさん(以下、板橋):このふみさんの感覚が同世代や、もっと若い世代にも伝わったら、ファッションがもっと面白くなるだろうなって思っています。ふみさんの、この感性や感覚がとても好きです。

■ファッションと映画の共通項

--普段は映画の世界で活躍されている二階堂さんですが、ファッションと映画に何か通じるところは感じられましたか。

二階堂:自分も映画の作り手のつもりなのですけど、俳優部には映画の作り手であると同時に、自分が衣装を着たりとか、小道具を使ったりとか、そのセットや背景に入るという、出る側だけの役割があります。衣装を着ることや、小道具を持ったり使ったりすることで、意味が生まれるように表現するのが俳優部の仕事。だから、洋服に関しても着心地だったりとか、見え方だったりとか、俳優として感じるものがあります。

自分が映画の現場で持っている感覚と、よしえさんたちが洋服を通じて作ってきた東京の流行、原宿ファッションが融合したのが今回のコラボレーション。映画でも、ファッションでも、いいものを作りたいという一心で、それぞれの作り手が、それぞれの立場から本質的で、リアルで、いいものを作った時、きっと誰が観てもいい作品が生まれるんだと思います。だから、作り手として感じているものは、映画もファッションも同じだなと感じましたし、今回のように硬派な形でコラボレーション出来たことが嬉しいです。

■ 過去から学ぶこと。そして、未来に向けて思うこと

--ファッションでも、過去のトレンドが時を経てリバイバルすることがあります。また、歴史からインスピレーションを受けることは、ファッションに留まらず様々な分野においてもいえることです。二階堂さんが過去から学び、これからも大切にしていきたいことを、ぜひ教えてください。

二階堂:お着物が好きでよく着るのですが、着物を自分で着られない日本女性がたくさんいのはちょっと残念だなと思ってしまいますね。日本を知らなすぎる日本人が多いから、一つの文化を守っていくには弱くなってしまうんじゃないかなと思います。海外からの文化を見たり、取り入れたりする日本の良さもあるんだけど、もともと日本にある文化や刺繍の技術だったり、日本の色について知るという道を通らずに、海外のものを受け入れようとしちゃうから、日本文化の盛り上がりが弱いのかなと感じますね。海外から学ぶことも大切だけど、まず日本にどんなものがあるのかを知ることが大事。映画でもドラマでもファッションでも、日本のもの、Made in Japanがあるってことを知らない子が多い。だから、着物って日本の服なのに“特別なこと”になっているのがちょっと違うのかな…って。

--板橋さんは20周年の節目を迎え、自分の好きなものを振り返る機会があったとお話されていましたが、逆に10年先や20年先を思い描くことはあるのでしょうか。

板橋:いつも5年先、10年先を、あえて描かないようにしています。常に自分の気持ちや感覚を大事に、感じたものを表現することを大切にしています。

音楽が好きでライブをよく観に行くのですが、音楽と触れている時に、パッとイメージが浮かんだりもしますね。普遍的に好きなものと、その時その時に感じた感覚とをミックスさせていつの時代もドキドキやワクワクが感じられるようなコレクションを作り続けたいと思っています。

--最後に、二階堂さんにとってのファッションの魅力とはなんでしょうか。

二階堂:ファッションには、着た時に自分がグッとなれるような魅力がある。それに辿っていくと、ファッションにも歴史的な要素があって、そこはかとない魅力がある。いい服は、シンプルに着ても決まるから、純粋にかっこいいし、好きですね。私がファッションにときめいたように、今回よしえさんたちと作ったファッションが、また誰かのルーツになったら嬉しいです。
Shigematsu Yuka
  • 「洋服を作ったのは初めてですが、普段映画屋として作品を作っているのと近い感覚があった」と語る二階堂さん
  • 「今回は頑張れば手の届く価格のアイテムにすることに拘りました」と二階堂さん
  • 「メンズアイテムとして作ったスカジャンとボンテージジャンプスーツをメンズモデルが着た時に、イメージが繋がった」と二階堂さん
  • いつの時代の、どこの場所か分からない雰囲気をイメージして作られたイメージビジュアル
  • 映画のシーンのような世界観が広がるイメージビジュアル
  • 二階堂さんが手に届く価格に拘ったと語るスカジャン(4万8,000円)
  • もともとスカジャンは、横須賀に滞在した米軍兵がパラシュートの残布に日本らしいモチーフを刺繍してお土産にしたのがルーツ
  • 二階堂さんが手に届く価格に拘ったと語るスカジャン(4万8,000円)
  • もともとスカジャンは、横須賀に滞在した米軍兵がパラシュートの残布に日本らしいモチーフを刺繍してお土産にしたのがルーツ
  • 「デニムのボンンテージジャンプスーツのような男の作業着をどう女性が着こなすかというところも魅力」と二階堂さん
  • ワンピースの襟元には金魚が刺繍されている
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