ピーター・バラカン2/2--ラジオと百貨店も全く同じ【INTERVIEW】

2014.09.09

―ご自身の番組でも、「真にクリエーティブで本当に良いもの」だと思ったものを流していらっしゃるということですね。

ラジオでは常に、自分が本当に良い音楽だと思うものだけを取り上げていますね。そもそも、それ以外の基準で選曲することは非常に困難というか、不可能に近いと思うんです。自信を持ってみなさんにすすめられる音楽だからこそ、リスナーから良い反応が返ってきたときはうれしいし、やる気が高まりますね。今って、パソコンの前に座っていなくても、iPhoneを使ってその場でツイッターやメールで感想を送れるでしょう。だから例えば、曲間のトークに対してリスナーからの突っ込みがあったり、私の発言がきっかけでツイッターが一時的ににぎわったりということもあるんです。そういう時はリスナーをすごく身近に感じるし、頂いたリクエストの中から選んだものをかける時には、「リスナーとの共同作業だな」と感じますね。

―9月9日から、伊勢丹新宿店メンズ館のBGMをセレクトされるとのことですが、相手の反応によってお互いが笑顔にもなれるというのは、百貨店での対面接客に通じるものがありますね。

その通りです。以前、InterFMの編成に携わっていた時、「ラジオはリスナーのためのものだということを常に念頭に置いてほしい」とスタッフに言い続けていたのですが、百貨店のサービスも全く同じだと思うんです。どうすれば来店者により楽しんでもらえるかを考えて、彼らに気持ちよく買い物をしてもらえるサービスを提供するのが大切ですよね。私が思うに、小売り店の店員の中には、マニュアル通りの話し方しかできない人が大勢いますが、あれはよろしくないです。お客さん1人ひとりの表情を見ることで、相手の気持ちを察して、話し方に変化をつけることができてこそ、「またここで買い物したい」と感じてもらえるはず。

―BGMも百貨店にとって大切な要素の一つでしょうか?

正直、「あの百貨店はBGMが良いからあそこで買い物しよう」とまで思ってもらうことは難しいと思います。ただ、音楽が潜在意識に影響を及ぼすことはあるんじゃないでしょうか。つまり、全然意識していなくても、買い物が終わって店を出た後に“なんだかいつもよりちょっと気分がいいな”と感じてもらえたら、それはBGMの力が及んだ結果ととらえることもできる。逆に「あの店のBGMはひどいよな」って感じる店にまた行こうとは思わないでしょう。

―根本的な問いですが、ピーターさんにとって良い音楽とはどんなものですか?

知性と肉体の両方を刺激してくれる音楽です。どちらか一つを満たしているだけでもお気に入りの一曲ではあるわけですが、やはり両方を兼ね備えているものがベスト!例えば、今朝の番組でもオンエアしたんですけど、マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)の「ワッツ・ゴーイン・オン(What’s going on)」なんて本当に名曲中の名曲。音のよさ、ベースラインのディテール、歌詞、リズム感…。完璧に知り尽くしている曲なのに、何度聴き返しても飽きることがないですね。

―音に没頭することで身体が刺激されるのを楽しみたいなら、ライブに足を運ぶのもいいですよね。

そうですね。やはり音楽好きなら一番心が揺れ動くのはライブでしょう。アーティストの演奏する姿、演奏中の表情を目の当たりにできるし、演奏する音が空気を動かして、その振動が身体に当たってくるのを感じることは、レコード鑑賞では為し得ない体験。いまCDが売れない時代だっていうけど、みんなライブにはお金を惜しみません。

―ピーターさんも、10月25・26日に恵比寿で開催される「Peter Barakan’s LIVE MAGIC!」をオーガナイズされていますね。

このフェスティバルは本当にぜひ大勢の人に観に来てほしいです。なんとしても出演してほしいと願っていたジェリー・ダグラス(Jerry Douglas)が来日するので特に必見。音色や想像力の豊かさに酔いしれるうち、不意に訪れてくる恍惚の瞬間たるや…!その他にも気骨のあるアーティストがそろっているので、1人でも多くの人に、ぐっとくる音楽との出合いを提供できたらうれしいですね。

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松本玲子
  • ピーター・バラカン氏
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