幕末の天才浮世絵師、国芳&国貞の大規模展が渋谷で開催中!粋なタイトルで浮世絵をポップに再編集

2016.05.02

「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」展が、6月5日まで東京渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている。

所蔵作品45万点を誇るアメリカのボストン美術館は、「古代」、「ヨーロッパ」から「アジア、オセアニア、アフリカ」、「アメリカ」、「現代」に至るまで古今東西の優れた美術品で知られ、その中でも仏画、絵巻物、浮世絵、刀剣など日美術のコレクションは質、量ともに充実していることで知られる。

1876年のボストン美術館開館以来初の大規模な歌川国芳と歌川国貞の展覧会となる同展では、同美術館の優れた日本美術のコレクションにあって、圧倒的な点数を誇る浮世絵コレクション1万4千枚超の中から、幕末の人気浮世絵師であった国芳と国貞の作品170件、約350枚が公開される。今回展示された作品は、一度貸し出されると美術館の規定により5年間は公開されなくなるため、非常に貴重な機会となる。

展覧会では、豪快な武者絵と大胆な構図を描いた国芳、そして、粋な美人画や緻密な表現で一世を風靡した国貞という対照的な作風を持つ天才絵師2人が、いかにして創意工夫を凝らしてきたかを知ることが出来るように、名品の数々を同一のテーマで比較展示。さらに、身近な感覚をもって作品を理解するために、当時最大の娯楽であった歌舞伎の演目になぞらえ、各章のタイトルに一幕目の一「髑髏彫物伊達男(スカル&タトゥー・クールガイ)」や、一幕目の二「物怪退治英雄譚(モンスターハンター&ヒーロー)」、二幕目の六「今様江戸女子姿(エドガールズ・コレクション)」など現代的でポップなルビが振られている。

また、同展では、当時西洋から輸入された化学顔料「ベロ藍(プルシャンブルー)」の濃淡とほんの少しの紅などで表現された「藍摺」と呼ばれる錦絵の中でも特異な作品が展示されるほか、豪華さを演出するために無地背景に雲母粉を用いた「雲母摺(きらずり)」と呼ばれる作品も展示され、浮世絵師の多様な色彩表現が紹介される。

なお、展覧会のオフィシャルサポーター及び音声ガイドのナビゲーターを歌舞伎役者の中村七之助が務める。テーマ曲には、B'zの松本孝弘による書き下ろしの楽曲「Ups and Downs」が使用されている。


イベント情報】
ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
会期:3月19日から6月5日
時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)
※毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
料金:一般1,500円、大学・高校生1.000円、中学・小学生700円
休館日:会期中無休
中村陽介
  • 歌川国芳 「初雪の戯遊」 弘化4-嘉永5(1847-52)年
  • 歌川国芳 「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」 弘化2(1845)年頃
  • 歌川国芳 「相馬の古内裏に将門の姫君滝夜叉妖術を以て味方を集むる大宅太郎光国妖怪を試さんと爰に来り竟に是を亡ぼす」 弘化元(1844)年頃
  • 歌川国芳 「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」 嘉永4, 5(1851, 52) 年頃
  • 歌川国貞 「見立三十六歌撰之内 在原業平朝臣 清玄」 八代目市川團十郎 嘉永5(1852)年
  • 歌川国芳 「水瓶砕名誉顕図」 安政3(1856)年
  • 歌川国貞 「八百屋お七」四代目市川小團次、「下女お杉」四代目尾上 菊五郎、「土佐衛門伝吉」初代河原崎権十郎 安政3(1856)年
  • 歌川国貞 「御誂三段ぼかし 浮世伊之助」三代目岩井粂三郎、「葉 歌乃新」初代河原崎権十郎、「野晒語助」四代目市川小團 次、「夢乃市郎兵衛」五代目坂東彦三郎、「紅の甚三」二代 目澤村訥升、「提婆乃仁三」初代中村福助 安政6(1859)年
  • 歌川国貞 「大当狂言ノ内 八百屋お七」五代目岩井半四郎 文化11,12 (1814,15)年
  • 歌川国貞 「踊形容楽屋之図 踊形容新開入之図」 安政 3(1856)年
  • 歌川国芳 「荷宝蔵壁のむだ書」(黄腰壁) 弘化 5(1848)年頃
  • 歌川国芳 「江戸ノ花 木葉渡 早竹虎吉」 安政4(1857)年
  • 歌川国貞 「当世三十弐相 よくうれ相」 文政4, 5(1821, 22)年頃
  • 歌川国貞 「見立邯鄲」 文政13/天保元 (1830)年
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