日本橋三越リモデルの環境デザインに隈研吾、2018年に第一期オープン

2016.05.23

三越日本橋店の2020年を最終年度とする再開発(リモデル)計画の概要が発表された。2017年より順次リモデルを進め、2018年春に第1期グランドオープンを予定しており、環境デザイン建築家隈研吾が担当する。

同店は2014年3月に「カルチャーリゾート百貨店宣言」を行い、あたらしい形の百貨店への具現化を宣言。本館7階にカフェを軸とした体験型複合ショップ「Hajimarino Cafe(はじまりのカフェ)」をオープンするなど新しい試みを各売り場で提案してきたが、リモデル全体の具体的な内容に関して発表されたのは今回が初めて。

第1期の投資額は約120億円。2020年春までに200億円規模を見込んでおり、2020年度に2016年度との売り上げ比10%増を目指す。因みに同店の店頭売上高(1~12月)は2012年101.8%、2013年103.8%、2014年101.9%、2015年100.5%と堅調に推移している。

同店は1904年に呉服店の越後屋から三越百貨店へと“デパートメント宣言”を実施。「当時における流通業の大冒険を行った先人の勇気に習って、我々も変革を目指す」と中陽次・三越伊勢丹執行役員三越日本橋本店長。同店は2004年に新館をオープンし、2006年に本館地階と1階の耐震改修工事を実施したが、全館リモデルを行うのは数十年ぶりのこととなる。

今回のリモデルでは顧客のグループ化を従来の年齢、性別などの「属」から、趣味、価値観で考察する「族」への考え方にシフトすることで40歳代の客層増を狙う。具体的なMD構成として従来のプレステージゾーンの上位にアート&オーダーを置き、衣(+飾)食住遊のカテゴリー構成比として「あそび(遊)」(美術・呉服・学び・スポーツなど)の展開面積を増やし、接客も同店のDNAでもある呉服の”座売り型“に見直しを図り、品揃えも広さより深さを追求していく方針。

「従来のファッションの金太郎飴状態の百貨店業態から、文化軸の百貨店を目指すには日本橋三越は最適な店舗。歴史的に好立地であったが交通網などの変化によって立地環境が変化し、高齢化などによる同様の悩みを持つ百貨店は全国に80%以上あると想定される。あたらしい百貨店の歩むべき道のひとつの指針となるべきリモデルを目指す」と中店長は話す。

第1期再開発計画では本館1~3階、新館1~2階を対象範囲に、本館上層階と新館を中心に「あそび文化」を展開。リモデルの象徴となるフロアとして新館1、2階に複数のコンテンポラリーアートのギャラリーを新設し、現在本館6階の美術にある5つのギャラリーが本館新館含め10箇所に増える。

「単にインテリアデザインだけではなく、環境を含めたリモデルという人選から、適任ということで依頼した」(中店長)という隈研吾のデザインは、カルチャーリゾートというテーマから、開放感と、聞く接客を実践できることを環境コンセプトに、人が集まる“樹”と人が流れる“道”を中心に構成。それぞれのフロアは森をテーマにデザインされる。
Text:野田達哉
野田達哉
  • 日本橋三越リモデル。2018年に第一期オープン
  • 日本橋三越リモデル。2018年に第一期オープン
  • 本館7階の体験型複合ショップ「Hajimarino Cafe(はじまりのカフェ)」
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