matohu、“手のひらの旅”の出発【2019春夏ウィメンズ】

2018.10.22

まとふmatohu)が10月16日、表参道ヒルズ 館 B3F スペース オーで2019年春夏コレクションを発表した。シーズンコンセプトは「手のひらの・一 小さき衣」。

これまでのようなランウェーショーではなく、プレゼンテーション形式での発表となった今シーズン。プレゼンテーションはこれまでとは逆、冒頭にデザイナーの堀畑裕之と関口真希子が登場。「今回は新しい見せ方のプレゼンテーション、新しいシリーズ『手のひらの旅』の出発点になります。手でものを作ること、手仕事の力が輝いて見えます」など、プレゼンテーションやテーマへの思いを説明することから始まった。

続いて、デザイナー2人が今年の夏、青森県津軽への旅の記録映像を上映し、津軽の自然や祭、風土から、そこで生まれたブナコ、こぎん刺しを伝える研究所、七里長浜までを紹介。その後、デザイナー自身が狙いやポイントを説明しながら3人のモデルが登場。肩と腰に刺し子を使ったコートや胸と襟裏に刺し子を配したジャケットなど、刺し子を現代的に解釈し、軽くスポーティーに仕上げたデザインや、弘前の気候から生まれたこぎん刺しへのオマージュを洗練させたレースのように表現したジャケットなどを発表した。

また、刺し子がどのように使われているのかや、ディテールなどを見て、触れることができるように、モデルが着用した3体に加えて、ボディに着せた20体のコレクションや「ブナコ」を使った作品なども展示した。

日本の美意識が通底する新しい服の創造をコンセプトに2005年にブランドを設立。スタートから5年間10回は日本の歴史からインスパイアされた慶長の美シリーズを、2010年からは新しいテーマ日本の眼シリーズをスタートし、日本の美意識とは何かを問いかけるコレクションを続けてきたまとふ。

堀畑は「ファッションショーをやめるわけではないが、時代が変わった中で、イメージが消費されるだけではないものにしたかった。日本の美意識をテーマにしてきたが、これからの5年間の『手のひらの旅』シリーズは守破離で言えば、離れ、新しいものを生み出す離の部分。服にとらわれず、いろいろなチャレンジをしていきたい」。関口は「これが終わりではない。手のひらの美は世界中にあるので、世界の土地土地に根付いた手仕事などもやっていきたい」と話している。

2020年1月には表参道スパイラルで「日本の眼」コレクションの展覧会を開催することも決定した。

樋口真一
  • まとふのデザイナー堀畑裕之と関口真希子
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