澁澤龍彦入門書。99の断章からなるエッセイ集【NADiffオススメBOOK】

開催日:2017.07.15-09.24
2017.09.07
木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiffナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、澁澤龍彦の『澁澤龍彦玉手匣』。東京渋谷の支店 NADiff modern(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura地下1階)によるご紹介です。



■『澁澤龍彦玉手匣』澁澤龍彦

今年は澁澤龍彦没後30年となる記念すべき年であり、多くの出版社から関連書や再編されたものなどが数多く刊行されている。書は澁澤作品全テクストから選び抜かれた99の断章からなるエッセイであり、澁澤は自身の文才を、推薦文など原稿用紙1、2枚の文章が最も得意な「アフォリズム(金言)型」と称しており、99編の大半が1、2ページと短く、その短く断章された中に龍にちなんで自分の世界を「ドラコニア」と称した、「ドラコニアワールド」の神髄を味わうことの出来る、まさに澁澤龍彦入門書である。

澁澤龍彦とは、ちょうど30歳差という本書の編者、東雅夫は澁澤と一緒に仕事をした最後の世代で、雑誌「幻想文学」の元編集長であり、澁澤関連本にも数多く携わっている。そんな編者が澁澤の亡くなった年齢というタイミングでこのアンソロジーを編むという巡り合わせも感慨深い。

澁澤の本質を理解した編者が抽出した作品、さらにその作品が収められた書物全体へと興味を引かれる事、請け合いでそれぞれ文末に作品名•収録書名などが掲げてあるので、そこからまた新たな世界を広げ、深めていくきっかけとなるだろう。

まえがきにて、「書名の『玉手匣(エクラン)』とは、大切なものを容れる小匣(宝石箱など)を意味するフランス語である」と書かれている通り、妖しく光り「きやきや」させる99の言葉の宝石が詰まった玉手匣だ。

現在、Bunkamuraザ・ミュージアムでは、「ベルギー奇想の系譜」展が開催中。澁澤も愛したアンソールやデルヴォー、マグリットなどの作品も展示されているので、ぜひそちらもご覧頂きたい。

書籍情報】
『澁澤龍彦玉手匣』
著者:澁澤龍彦
編者:東雅夫
出版社:河出書房新社
四六判変形
発刊:2017年7月
価格:税込1,728円

展覧会情報】
「ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1地下1階
会期:7月15日~9月24日 ※7月18・8月22日は休館
時間:10:00~18:00(金・土曜日は21:00まで、入場は閉館の30分前まで)
料金:一般1,500円(1,300円)、大学・高校生1,000円(800円)、中学・小学生 700円(500円)
※( )内は20名以上の団体料金、前売料金。
※障害者手帳のご提示で割引料金あり、詳細は窓口にて。


NADiff
  • 『澁澤龍彦玉手匣』澁澤龍彦
ページトップへ