寺山修司、横尾忠則らを撮った無名の写真家・羽永光利の圧倒的アーカイブ集、「一〇〇〇」シリーズ新刊【NADiffオススメBOOK】

2017.06.01

木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiffナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、『羽永光利 一〇〇〇』。東京恵比寿店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)によるご紹介です。

■『羽永光利 一〇〇〇』

無名の写真家、羽永光利。1960から1980年代の激動の時代において、前衛芸術、アンダーグラウンド劇場、イベント、公害問題、学生運動、舞踏、コミューン活動など多岐に渡る現場を記録し続けた作品群が「一〇〇〇」シリーズの5作目として刊行された。

羽永の写真に写るのは、赤瀬川原平や寺山修司、横尾忠則、そして舞踏家の土方巽や大野一雄など、時代を作った蒼々たるメンバーだ。シンナーを吸う若者、ヘルメットを被りメーデーの集会に集まる人々、サイケデリックなファッションをまとった女性たち…羽永の写真は、まさにこの時代を生きた表現者や若者たちの証拠写真と言えよう。1,000ページを超える圧倒的なボリュームでまとめられた本書は、ページをめくる手に時代の疾走感が伝わる一冊になっている。

1939年に東京で生まれ、1999年に亡くなった羽永光利が注目されるようになったのは、ごく最近のことだという。2013年に名古屋美術館で行われた「ハイレッド・センター展」の際に、写真を使用したいと息子の羽永太郎氏に問い合わせがあったことをきっかけに、アーカイブプロジェクトが発足した(『REAR no.32』 羽永太郎「トータル・リコール 羽永光利の仕事」より)。アートフェア東京 2014では「青山目黒」と「ぎゃらり壷中天」が、本格的に紹介。記録写真の位置付けから羽永光利の“作品”として国内外で再評価の機運が高まっている。

なお、「一〇〇〇」シリーズにはこれまで、『町口覚 一〇〇〇』『東京TDC 一〇〇〇』『宇川直宏 一〇〇〇』『中平卓馬 一〇〇〇』が刊行されている。

書籍情報】
書籍名:『羽永光利 一〇〇〇』
執筆:黒ダライ児
発行年:2017年4月
発行:一〇〇〇BUNKO
発売:bookshop M
文庫版/1,024ページ/1色刷り
言語:日本語、英語
部数:初版950部
価格:3,700円

【関連書籍】
羽永太郎「トータル・リコール 羽永光利の仕事」収録
タイトル:『REAR no.32』
発行元:リア制作室
発行日:2014年8月
A5判/140ページ/並製
NADiff
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