全種1点もののパッケージ。丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催中、金氏徹平展の図録【NADiffオススメBOOK】

2016.09.15

各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiffナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京恵比寿店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。

■『金氏徹平のメルカトル・メンブレン』金氏徹平

金氏徹平(1978-)は、身の回りにある量産品(おもちゃ、プラスティック製品、印刷物等)を用いた、ダイナミックなインスタレーション作品を手がけるアーティスト。多種多様な素材から部分を切り抜き、繋ぎ合わせることで、既存の文脈を読み替えるコラージュ的手法を用いて作品を制作している。

本書は2016年7月から11月まで丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催されている「金氏徹平のメルカトル・メンブレン」展の展覧会図録。展覧会のタイトルを考案した小説家の長嶋有をはじめ、デザイナー音楽家、俳優、観客たちと既存の役割を交換しながらつくり上げる展覧会の内容構成に対応する、様々な寄稿者、協働者と共に作られた図録になっている。内容は漫画作品集や、ダンス譜を記載するコンセプトブック、対話・インタビュー・論文集、など、複数の多様な構成。

独自のコンテンツや、本の装幀においても、従来の図録の形式に囚われない形式をとり、展覧会「金氏徹平のメルカトル・メンブレン」における作品としての印刷物の佇まいも兼ね備えている。展覧会の観賞と共に、是非併読したい1冊。

既存の書籍の形式から逸脱した仕様も実にユニークな発想。パッケージの透明ビニール袋には、金氏による直筆のドローイングが全てに施されており、全種が1点ものパッケージという豪華な仕様になっている。その袋の中には複数冊の冊子やクシャクシャに丸められた印刷物が封入され、各冊子の装丁をそれぞれ異なるデザイナーが手掛けているという異種混合のざわめきが、ビニール袋越しからも伝わってくるだろう。

【書籍情報】
金氏徹平『金氏徹平のメルカトル・メンブレン』
発刊:ナナロク社、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
アート・ディレクション:金氏徹平
仕様:4冊組・ビニール袋に封入
サイズ:A4変形(各冊子のサイズは異なる)
発売日:2016年7月
価格:3,700円
NADiff
  • 『金氏徹平のメルカトル・メンブレン』金氏徹平
  • 『金氏徹平のメルカトル・メンブレン』金氏徹平
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