江戸から続く、東京の都日本橋で大人と子どもの社会見学!創業343年の日本橋三越建造物ツアー

2016.08.08
夏休み番!どこかにに出るのも楽しいけれど、東京の街中に佇む、好奇心を満たしてくれる場所も気になるところ。東京駅銀座からも歩ける距離にある日本橋。古くから栄える日本橋の街に、この夏注目を集めること間違いなしのスポットが。今夏、重要文化財に指定された「日本橋三越本店」。歴史と趣きに満ちた日本橋三越本店の見所をお届け。


今に残る西洋建築は、日本橋という街の矜持

江戸の城下町であった日本橋、明治期以降は日本経済の中心地として発展してきた。明治、大正と移りかわる時代の中、次々と近代的な商業ビルが建ち街を変貌させてきた。日本建築界の重鎮・辰野金吾による「日本銀行本店」、アメリカンルネッサンス仕様の「三井本館」、古今東西の美を集めた「日本橋高島屋」、そして日本一有名な橋「日本橋」など、徒歩10分ほどの圏内に、重要文化財に指定されている名建築が建ち並ぶ日本橋。そんな中、新たに「日本橋三越本店」が国の重要文化財として指定されることに。そこで日本の百貨店建築のパイオニアともいえる「日本橋三越本店」の見どころをご案内しよう。

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現在(2016年)の日本橋三越本店


日本の百貨店建築の礎となった日本橋三越本店

日本橋三越本店の歴史を紐解くと、延宝元年(1673年)創業の“現金掛け値なし”を掲げて、現金販売をいち早く実現して江戸庶民に喝采をあびた呉服店「三井越後屋」が出発点。明治37年(1904年)に呉服商としての商いからさらなる発展を、とロンドン老舗百貨店ハロッズにならい“デパートメントストア宣言”を発表、日本最初の百貨店として名乗りを上げた。大正3年(1914年)に誕生した5階建て鉄筋コンクリート造りの日本橋三越本店は、ルネサンス様式の外観、採光天井の中央ホール、エレベーターなど、美しい装飾と最新設備がそなえられ日本の百貨店建築の礎となる。その後、関東大震災で被害を受けながらも、修復・増改築を行いながら新たな魅力をたずさえて日本橋三越本店は復活してきたのだ。

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大正3年(1914年)当時の日本橋三越本店

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昭和10年(1935年)当時の日本橋三越本店


商業神マーキュリーとライオンが迎える本館ライオン口

そんな歴史のある日本橋三越本店。まずはライオン像が鎮座する本館正面入口側の外観をじっくり観察。増改築を繰り返したとは思えぬ統一感ある意匠は、大正時代より一貫して同じ会社(現・横河建築設計事務所)が施工していることが大きな理由の一つであろう。装飾が施された壁面を輝かせる金色の像は、イタリアの商業神・マーキュリーだ。その下には、通称ライオン口と呼ばれる本館の正面入口があり、2頭のライオン像が鎮座する。明治時代にイギリス視察に出向いた当時の支配人・日比翁助が、トラファルガー広場のライオン像に感動。すぐに製作依頼をして大正3年(1914年)から三越でお客様をお出迎えする存在になった。合格祈願などの都市伝説を持つライオン像には、人・谷川俊太郎さんが像をモチーフに詠んだ詩が飾られているので注目して欲しい。

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本館正面入口に鎮座するライオン像


下からも上からも眺めて欲しい天女像。ホールの壁にはアンモナイト

そして本館にある五層吹き抜けの中央ホールへ。大理石張りの柱や梁、ステンドグラスを配したエキゾチックな装飾の天井、手摺や回廊のガラスへのアールデコ装飾、パイプオルガンなど見どころが満載。またホールの中央には、10年もの歳月をかけて手がけられた「まごころ像」と呼ばれる天女像が置かれている。柔らかな微笑みをたたえる天女像はその前面だけではなく、かわらしい鳥たちやサイケデリックな球体など背面の細やかな彫刻装飾もじっくり鑑賞してほしい。ちなみに1階と3階が天女像を見るベストビューポイントだ。そしてホールの壁のあちらこちらにアンモナイトの化石が「こんにちは」と顔をのぞかせているので、こちらもお見逃しなく。いたるところに発見のある中央ホールは、何度訪れても楽しい場所かも。毎週水・金・土・日の10時半、正午、15時の1日3回パイプオルガンの音色を聴くことができる。

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中央ホールには圧巻の「まごころ像」が出迎える


屋上で金字塔を見終えたら大人もOKなお子様ランチでひと息

大正時代を思わせるレトロモダンな意匠のエレベーターに乗り屋上ガーデンへ。青空にそびえたつような建築物は、大正10年(1921年)に作られた金字塔だ。日本橋三越本店の象徴でもあるので、ここは必ず押さえておきたい。また屋上には向島の三囲神社があるので、楽しい一日を祈念してお参りを。ほかにも豪華絢爛な装飾に圧倒される三越劇場などへも足を運びたい。さて館内の重要文化財スポットをぐるりと巡った後は、名物メニューをいただきにカフェレストラン「ランドマーク」へ。昭和5年(1930年)の登場以来、子どもたちがこぞっておねだりする「お子様ランチ」(800円)はランドマークの目玉メニュー。シュシュと煙を出しながら供される蒸気機関車のには、チキンライス、エビフライ、スパゲティなど、お子様ランチといえど本格的な洋食プレート。大人の注文もOKなのでビールのお供にどうぞ。またライオン像よりずいぶんとかわいい「ライオンパンケーキ」(600円)は、子どものみならず大人女子から人気だとか。

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昭和5年(1930年)の登場以来人気の「お子様ランチ」(800円)


さて日本橋三越本店では、その同店の歴史や館内の名物スポットを詳しく知りたい人に向けて「日本橋三越本店 店内ツアー」を開催中。お買い物ついでに、名建築を学ぶ知的ホリデーなんていいかもしれない。

【日本橋三越本店 店内ツアー詳細】
毎月第2土曜日:第1部11:30~
        第2部14:30~
所要時間:約70分
定員:各回15名
参加費無料
※申し込みは本館1階ライオン口案内カウンターにて受け付ける
※小・中・高生生を対象とした「日本橋三越本店 歴史ツアー」もHPにて受付中
森有貴子
  • 中央ホールには巨大な「まごころ像」
  • ライオン像が鎮座する本館正面入口側
  • 商業神マーキュリーが迎える日本橋三越本館ライオン口
  • 商業神マーキュリーが迎える本館ライオン口
  • ライオン像が鎮座する本館正面入口側
  • 細やかな装飾にも注目
  • 中央ホールの壁にはアンモナイトの化石が隠れている
  • 中央ホールの壁のアンモナイトの化石。探してみるとこんなに大きなものも発見
  • 中央ホールには10年もの歳月をかけて手がけれられた「まごころ像」が置かれている
  • 「まごころ像」と呼ばれる天女像
  • かわいらしい鳥たちやサイケデリックな球体など細やかな彫刻装飾にも注目してほしい
  • かわいらしい鳥たちやサイケデリックな球体など細やかな彫刻装飾にも注目してほしい
  • かわいらしい鳥たちやサイケデリックな球体など細やかな彫刻装飾にも注目してほしい
  • 「まごころ像」と呼ばれる天女像
  • 屋上で見ることができる金字塔は日本橋三越本店の象徴
  • 屋上の三囲神社でお参りも忘れずに
  • 屋上の三囲神社でお参りも忘れずに
  • 屋上の三囲神社でお参りも忘れずに
  • 屋上の三囲神社でお参りも忘れずに
  • 昭和5年(1930年)の登場以来人気の「お子様ランチ」(800円)
  • ライオン像よりずいぶんとかわいい「ライオンパンケーキ」(600円)
  • エレベーター
  • エレベーターの装飾も美しい
  • エレベーター
  • 大正3年(1914年)当時の日本橋三越本店
  • 大正10年(1921年)当時の日本橋三越本店
  • 昭和10年(1935年)当時の日本橋三越本店
  • 現在(2016年)日本橋三越本館の外観
  • 現在(2016年)日本橋三越本館の外観
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