菊地成孔に訊く音楽とシャンパーニュのマリアージュとエトセトラ

2014.11.21

毎年11月に伊勢丹新宿店で開催されるシャンパーニュの祭典「ノエル・ア・ラ・モード(NOEL A LA MODE)」。12回目を迎える今年は11月19日から25日の期間、同店館6階催物場に約30ブランドの珠玉のシャンパーニュが並ぶ。会場音楽を監修した音楽家の菊地成孔さんにシャンパンの魅力について訊いた。

「音楽とシャンパーニュのマリアージュ」と題し、シャンパーニュを嗜みながら聴くのにふさわしい音楽を同会場のために監修した菊地さん。デューク・エリントンのジャズ、マリア・カラスのオペラから、ファレル・ウィリアムスの「IN MY MIND」、UA×菊地成孔のジャズまで、独自の審美眼でシャンパンを飲みながら聴きたい音楽をセレクトした。

菊地さんにとってのシャンパンの魅力とは、「日本酒ワインがローカリティーを追求する時流の中で、シャンパンというのはローカリティーを持たない存在。シャンパーニュ地方で作られているといった地域性より“シャネル”や“ポルシェ”と同じように“シャンパン”という固有の存在なところ」だとか。

今年のノエル・ア・ラ・モードでは「熟成」が一つのキーワードになっており、会場にも各メゾンこだわりの地下セラーで時を重ねたビンテージシャンパンがそろう。菊地さんにとって時を重ねる感覚とは、「現代の日本は幼児退行的趣味が多く見られるけど、僕は“味覚”だけは絶対戻ることがないと思っています。子供の頃食べられなかった物が食べられるようになったりという味覚における経験は退行することがない。そこが“味覚”の面白さであり豊かさなのでは」と見解を述べる。

来月には菊地さんがプロデュースした菊地凛子のアルバムがリリースされるとのことだが、彼女の持つ魅力についても「普通の日本人男性にはちょっと手に負えないくらいの“えぐみ”があること」だそうだ。

また、菊地さんがリモデル後の伊勢丹で一番気に入っているのが、2階の売り場に出来たバー「ザ・スタンド」だそう。「例えば本館2階の(婦人)売り場の横とか、ちょうど一息付きたい感じのところに上手い具合にスタンドがあって、シャンパンなりコーヒーなり飲めるのがいいですよね。ちょうど峠の茶屋みたいな感じがして」と顔をほころばせ、自身で選んだ「ミシェル・レイビェ」のシャンパンを片手に会場を後にした。
Shigematsu Yuka
  • ノエル・ア・ラ・モードの会場に現れた菊地成孔さん
  • シャンパーニュと音楽のマリアージュと題して菊地さんがセレクトした楽曲のパネルにサインをする
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