異国情緒溢れるこんじきの世界。伊勢丹新宿店で、版画家・坪内好子による個展開催

2014.10.03

10月15日から21日にかけて、伊勢丹新宿店館5階アートギャラリーにて、版画家・坪内好子による「―夢の時間旅行―坪内好子 新作銅版画とガラス絵の世界」が開催される。

手作業での金箔貼り、手彩色によって、一作一作見事に異なる風合いを持つ坪内の作品は、観賞者の心を異世界へといざなってくれる不思議な魅力を持つ。同時に、今回のタイトルにも反映されている通り、“時を超える”を想起させるモチーフがさまざまに描かれている点も興味深い。蒸気機関車や気球、帆船が描かれた世界を彩る金箔は、年月を経て徐々に剥がれるにつれてさらに深みを増し、時間旅行というものの味わいの深さを体現し続けるのだろう。

また、「夢の時間旅行」という言葉は、「幸福の国への旅」という裏テーマも孕んでいるのか、大きな気球にさりげなく引っ掛かっている鍵など、幸せを手にするためのキーアイテムが描かれている作品が満載。一点一点細部までじっくりと観察することで、作家の意図を汲み取る楽しみも味わえそうだ。美大卒業後、スロバキア共和国に渡って数年間版画の勉強をした坪内だからこそ描ける、エキゾチックなアイテムの数々に心を鷲掴みにされること必至。

展示作品数は、新作約10点を含む40点程度。「VENTO BOM, AGUA NA VELA V(日本語訳:良い風が吹いてきた、船出の時だ!)」(45×60センチ/20万5,000円)、「Eppure Si muove III(日本語訳:それでも地球は回っている)」(60×45センチ/20万5,000円)、「とろうるの森」(34×45センチ/17万円)などの大型作品から、「時間旅行-Le Chateau-」(21×15センチ/7万7,760円)など、一人暮らしの部屋のインテリアにもってこいなサイズのものまでそろう。

また、メインの展示となる「時間旅行シリーズ」以外に、ウォーターガラスに描かれたガラス絵作品も併せて展示される。

会場では、制作に使用するプレートやニードルも観ることができるため、銅版画制作についての知識を深めたい人にもぜひ足を運んでみてほしい。

10月18日には、作家本人によるギャラリートークも開催。当日都合がつかないという人は、期間中は作家常駐のため、作品についての質問をぶつけてみるのもいいかもしれない。
松本玲子
  • 異国情緒溢れるこんじきの世界。伊勢丹新宿店で、版画家・坪内好子による個展開催
  • 「王国への鍵 ―TELC―」(45×34cm/17万円)
  • 「幸せを運ぶ人 -TELCへ-」(13×10cm/5万円)
  • 「時間旅行 -Le Chateau-」(21×15cm/7万2,000円)
  • 「とろうるの森」(34×45cm/17万円)
  • 「時間旅行」(11.3×30.5cm/40万円) ※ガラスに着彩した作品です
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