デジタルなものづくりでライフスタイルを創造する「TOKYO FABBERS」始動

2014.07.29

デジタルファブリケーション技術を軸に、ものづくりでライフスタイルを創造する人のためのコミュニティー「トウキョウ ファバーズ(TOKYO FABBERS)」が始動した。

「FABBERS」とは、3Dプリンターやレーザーカッターなどのパーソナル・デジタルファブリケーション環境を駆使して新しいものづくりを探究する個人を指す。「FABBERS」の「FAB」には、大量生産やマーケットの論理に制約されない「fabrication(ものづくり)」と「fabulous(愉快な、すばらしい)」の二つの意味が込められている。

活動の拠点とするのは、情報産業の集積地であり、多彩な文化創造・発信地である渋谷。2014年度は、渋谷およびその周辺に点在する六つのFABスペースが事業に参加し、FABスペースのネットワーク形成を目指していく。

参加するFABスペースは、厳選されたコーヒーや手作りスイーツをそろえるカフェでありながら、インターネット回線と電源を無料開放してクリエーティブなコ・ワーキングスペースを展開する「FabCafe」、3Dプリンターやレーザーカッターを広く市民に開放するとともにワークショップイベントの運営も行う「FabLab Shibuya」、“世界一ワクワクする印刷工場”をコンセプトとするクリエーティブスペース「Happy Printers」、誰でも自由に使えるプロユースのミシンやアパレルCADをそろえたコ・ワーキングスペース「coromoza」(以上、渋谷区で運営)、世田谷区で廃校となった中学校を再生させた複合施設「IID世田谷ものづくり学校」、日No.1規模の会員制工房「Makers’ Base」(目黒区)の六つ。

7月28日に開催されたTOKYO FABBERS記者発表会では、六つのFABスペース代表が渋谷ヒカリエに一堂に会し、一般参加可能なワークショップ「Fabで建てる小さな家」を開催。会場に積まれた段ボールでメンバーらが家をつくる姿に目をひかれ、足を止める買い物客もちらほら。中には、初めて見る3Dプリンターに目を奪われる子供もいた。

このTOKYO FABBERSが今後実行する事業は主に三つ。一つ目は、FABBERSが各FABスペースをより利用しやすいようネットワークを構築して、コンシェルジュサービスを提供すること。二つ目は、ポータルサイトを立ち上げることによって、個人の創作活動を支援するユーザーネットワークを可視化すると同時に、各拠点やFABBERSが行っている活動を国内外に向けて発信すること。そして最後は、FABBERSの育成だ。これらの実現のため、今後、「TOKYO FABBERS」では、8月27日に「FabCafe」と「Makers’ Base」で開かれるワークショップを皮切りに、様々な学びのプログラムを展開していく。

こうした試みについて、「Fab Cafe」LLP Fab ディレクターの岩岡孝太郎氏は、「コミュティのハブとなるような場所を提供できたらと思う」と語り、「Makers’ Base」COO 松田純平氏は「事業を展開することによって、300人の固定客を抱えるFABBERSがたくさん生まれたらと思っている」と話した。
松本玲子
  • 初めてみるデジタルツールに興味津津の子どもたち
  • 記者会見の様子
  • 「FABBERS」とは、3Dプリンターやレーザーカッターなどのパーソナル・デジタルファブリケーション環境を駆使して新しいものづくりを探究する個人のこと
  • 「FABBERS」とは、3Dプリンターやレーザーカッターなどのパーソナル・デジタルファブリケーション環境を駆使して新しいものづくりを探究する個人のこと
  • ワークショップの様子
  • 「Fab Cafe」作品
  • 「Makers' Base」作品
  • 記者会見当日、各FABスペース代表や一般来場客によって組み立てられた家
  • 記者会見では当日の様子を振り返りながらトークセッションを展開
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